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Special Interview バレンティーノ・ロッシ『勝利を目指し、チャンピオン獲得を目指す 気持ちの強さは少しも変わらない。』 | WEB Mr.Bike- psp-traumland.info

2018年3月30日

Special Interview バレンティーノ・ロッシ『勝利を目指し、チャンピオン獲得を目指す 気持ちの強さは少しも変わらない。』

■インタビュー・文:パオロ・イアニエリ ■翻訳:西村 章
■写真:YAMAHA

バレンティーノ・ロッシは愛の人である。バイクとレースをなによりも愛している。彼は、世界中を駆けめぐる慌ただしい生活をなにものとも、また誰とも交換するつもりはなさそうだ。そしてまた、いつものようにカタールで彼は表彰台を獲得した。今年で23年目のシーズンを迎えるにもかかわらず、インタビューのテーブルについて彼が話を始めると、時間はあっという間にすぎてゆく。その口から次々と飛び出してくるのは、レースの愉しさや情熱、これから待ち受ける戦いと冒険への好奇心だ。その溢れるような思いには我々同様に、彼自身もひょっとしたら驚いているのかもしれない。

―今年は23年目のシーズンですね。契約更新で再来年が25年目になりますが、これは赤ん坊が生まれてから大学を卒業するまでの期間を優に超えています。1996年の少年時代にデビューした当時の何かは、まだ今のあなたに残っていますか?

「かなりの部分があの頃のままだよ。まったく同じとは言わないけど、ほとんど同じだね。バイクで走りたいという情熱やいいレースをしたときの満足感、達成感なんかは、なにひとつ変わらない。サーキットでバイクとふたりきりになるのは、昔も今もずっと特別な時間なんだ。勝利を目指し、チャンピオン獲得を目指す気持ちの強さも変わらないね。たとえばこの2年間も、チームとともに力を合わせて戦うことを心から愉しんできた。木曜にサーキットに着いてから日曜午後2時のレースまで、隅々まで万全を期して全力で戦ってきたよ」

―もはや無くしてしまったものは何かありますか?

「旅をするのは、ちょっと疲れたね。夢がかなって初めて世界選手権に来たときは、まるでおもちゃに囲まれた世界にいるみたいだった。不思議の国のアリスになったような気分さ。でも、それも20年続けると、もはやそんなふうには感じなくなる。行ったこともない素晴らしい場所はぜひ訪れてみたいと思うけれども、サーキットはもう慣れっこだよ。だから、オフシーズンには一ヶ月半ほどのホリデイがあるけど、わざわざ12時間も飛行機に乗ってどこかに行こうなんて、さらさら思わないね」

―カタールではいつも表彰台を獲得していますが、今年も高い戦闘力を発揮しましたね。

「ああいうレースをできると、モチベーションが高まるね。レース人生を終えるときもこんなふうだといいと思うよ。レースに勝てる、少なくとも表彰台争いをできると思って臨むんだ。去年はともかく、ここ数年はずっとそういう状況で、ランキングも3年連続して2位で終えている。そんなふうに最後を締めくくりたいね」

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―ルイス・ハミルトンは「モチベーションとやる気が最高の状態にある限り、アスリートはトップレベルで戦うことができる」と言っています。あなたも同じ意見ですか?
「僕もずっと考えてきたことだけど……その通りだと思うよ。僕たちの競技は、陸上競技やサッカー、テニス等とはちょっと違う。歳を取ると、モチベーションは低下して体力面でも衰えてくる。パフォーマンスが低下すれば、もっとトレーニングをしなければならない。でも、さいわいなことにハミルトンのF1や僕たちのMotoGPでは、40歳になっても高いモチベーションを維持できれば、肉体的にもまだがんばることができるんだ」

―ベテラン選手ということでいえば、ロジャー・フェデラー選手が36歳6ヶ月で6年振りのATPランキング首位に輝きましたね。

「彼は、僕が最も尊敬するアスリートのひとりなんだ。今の僕も、すごく彼と状況が似ている。彼とは時々、電話で話すことがあるけど、本当に尊敬すべき人物だよ」

―フェデラー選手のどんなところに刺激を受けるのですか?

「業績、ずばぬけた才能、そして36歳でもトップレベルを維持しているところ……素晴らしいと思うよ。5セットのゲームで、たとえばジョコビッチが最高のコンディションでも、ロジャーなら、彼のスタイルを存分に発揮しながら疲労困憊せずに勝つことができるだろう。自分自身を変えてゆく、ということが重要なんだ。僕の場合もそうさ。現代的な乗り方を取り入れて、自分をバイクに合わせていくんだ。10年前のスタイルのままでいたら、きっと今頃は中段グループにいるのがせいぜいだっただろうね」

―ユヴェントスのキーパーでイタリア代表メンバーのジャンルイジ・ブッフォンも、かなりのベテラン選手ですよね。彼はそろそろ引退したほうがいいと思いますか。あるいは現役を継続すべきでしょうか。

「絶対に続けるべきだよ。本人にその気があるならね。トップレベルで戦えるかどうかを知っているのは、誰でもない彼自身なんだから」

―イタリア代表としてプレイすることで、批判も少なからずあるようです。あれはビッグスターへの嫉妬なんでしょうか。

「だろうね。ネガティブなことを言って溜飲を下げたがる人が、世の中にはきっと一定数いるんだよ。そういう人たちは、ものすごく努力をしているところは見ようとしないんだ。でも、素晴らしいアスリートの姿には多くの人が心を動かされて応援するものだし、たいていの人は、いつも他人の悪口ばかり言ってる連中のことなんてあまり相手にしていないと思うな」

―ハミルトンに話を戻しましょう。カリスマ性、才能、華やかさ等々の面で、彼はF1界のロッシ、と言っても差し支えないでしょうか?

「かもね。性格的にはだいぶ違うと思うけど。彼は僕がさほど興味のないことにも関心があるだろうし、逆もまた真なりで、僕の大好きなことは彼にはまったく興味がないだろうしね。いろいろと話題になることが多い人物のようだけど、スポーツで何より重要なのは、結果だから。バイク運転中に自撮りしようが、人気ファッションモデルを連れてあちこち出没しようが、メルセデスに乗って勝てば、それで充分に賞賛の対象なんだよ」

―開幕戦のオーストラリアはセバスチャン・ベッテルが優勝しましたが、やはりハミルトンがチャンピオン最有力候補だと思いますか?

「そうだね。フェラーリもかなり強いと思うけど、メルセデスのほうがちょっと有利だと思う」

―今のハミルトンにはトレーナーやコーチがいないそうです。自分のことは自分が一番よくわかるから、というのがその理由のようです。

「それは何よりだね。僕の場合は、トレーナーのカルロ・カサビアンカがとても助けてくれている。彼とは幼なじみなんだ。アプローチがうまくて、モチベーションや僕の能力の良い部分をうまく引き出してくれる。彼なしでは今の僕はあり得なかった。メンタルコーチについては、僕は不要だと思っているし、必要だと思ったことも一度もない。集中力は自分自身の力で最高に高めることができるから、手助けは要らない。ライディングコーチのルカ・カダローラは、すごくいい仕事をしてくれている。今では、チームの中でとても重要な役割だ。ルカと一緒にいると、かなりレベルの高い仕事ができるから愉しいよ。このコーナーではこう走ったほうがいいと言ってくれることもそうだけど、要は、別の視点で彼がコースサイドから観ている、ということが大切なんだ」

―ハミルトンの契約金は年間42万(ユーロ)だそうです。ベッテルで約25万、フェルスタッペンは22万、という話です。MotoGPの場合、最も報酬が高いのはロレンソで12万。マルケスもほぼ同額でしょうか。MotoGPと比べてF1は高額すぎると思いませんか?

「両競技の能力や技術、リスク、激しさなどの違いを考えると、この報酬差は不当なくらいだね。でも、F1はMotoGPより世界的な認知度も人気も高い。クルマは誰でも持っているけど、バイクはそうじゃない。それに、自動車産業のほうが経済力があるから」

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今年からタイのブリラムにあるチャン・インターナショナルサーキットでMotoGPが開催される。フィリピンやタイで行われたシーズン前のイベントでも人気は絶大だ。


 

―ライダーズアカデミーは今年で10年目ですが、最高のスタートになりましたね。フランチェスコ・バニャイア選手とロレンツォ・バルダッサーリ選手が開幕戦のMoto2クラスで1-2フィニッシュ。Moto3ではニッコロ・アントネッリが4位でした。

「皆、よくやったよ。リザルトに驚いたとは言わないけど、彼らが全力でがんばって結果を出せるだけのものを、僕たちが作り出せたことがうれしいね。彼らはこのプロジェクトの大切さを実感してくれているし、もうすぐ40歳の自分がこうやって彼らと一緒にトレーニングをできている、ということもモチベーションになる。予想していた以上にこのプロジェクトは成功していると思う」

―フランコ・モルビデッリ選手もMotoGPクラスでポイントを獲得し、上々の最高峰クラスデビューになりました。

「いいレースだったね。バイクも最高峰レベルだから今年は厳しい一年になるだろうけど、ライダーとして力を存分に発揮できるだろう。ファクトリーチームに行ける力のある選手だし、少なくとも勝てるバイクを手にできる力は持っているよ」

―2019年に彼がMarc VDS YAMAHAとして走る可能性は?

「ないとはいえないだろうね。まだ何を語るにも時期尚早だけど、フランコがヤマハで走る姿は見てみたい。そうなれば本人も喜ぶだろうし」

―二年契約を更新したことで、おそらく不可能と思われたことが実現する可能性も出てきました。

「以前に、引退するなら弟とレースをしてから、と冗談で言ったことがあったね。当時はただの絵空事に思えたけど、今では可能性はゼロじゃない……とはいえ、そのためにはルカ(・マリーニ)にかなりがんばってもらわないと」

―カタールでは、ドヴィツィオーゾ選手が今年もチャンピオン候補だと大きくアピールしました。

「僕にとって、今年はドヴィツィオーゾとマルケスが倒すべき相手になると思う。ドヴィツィオーゾのほうがマルケスより少しだけ強そうにも見えるけど、差はごくわずかだろうね。マルケスはどこに行っても速さを発揮するから。ちょっと心配なのは、認めざるをえないね。開幕戦の自分の走りには納得しているけど、今の自分はまだ彼らふたりのレベルには追いついていない。今後は、リアのグリップに厳しそうなコースもある。今年はさすがに去年ほど苦労しないだろうとはいえ、ね」

―ヤマハが三番手というのは厳しいですね。

「去年は方向性を誤って一年損したからね。ドゥカティとホンダが僕たちよりも秀でているのは、時間と金と人材を電子制御開発に投資してきたからだ。そこが、僕たちが最も苦労を強いられている部分なんだ。そこをヤマハは認識して、巻き返していかなければならない。ヤマハならきっとできる。まだ後塵を拝しているけれどもね。この分野では、何人も力を合わせて最高の仕事をしなきゃいけない。ヤマハが躓いたのは、その部分なんだよ」

―カタールの表彰台であなたとドヴィツィオーゾ選手が喜びを分かち合っている姿は、見ていても気持ちよかったです。ふたりの関係は、この数ヶ月でかなり近くなったのではありませんか。

「アンドレアとの関係がぎくしゃくしたことは一度もないよ。彼はきっちりしたライダーだからね。とはいえ、お互いのことをよく知らなかったのも事実だ。だから、そう、たしかにあなたの言うとおりだね。彼はとても真面目なライダーで、僕たちは似ているところもたくさんある。僕がドヴィツィオーゾの最も気に入っているところは、貪欲さとひたむきさ、そして決して諦めないところだ。彼は長い間MotoGPで走ってきたけど、去年のムジェロまでは、あと一歩で勝てないライダーだった。それが精神的な壁にもなっていたんだろう。でも、彼はけっして諦めず、31歳で何度でも勝てるライダーになったんだ」

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第1戦のカタールGPでは3位だった。優勝はドゥカティのドヴィツィオーゾ。「彼は、僕と似ているところがある」とロッシは言う。


 

―今のところ、あなたとドヴィツィオーゾ選手は、ともにチームのエースライダーですね。ロレンソ選手は苦戦傾向で、ドゥカティを去るのではないかという噂もあります。もしそんなことになれば、驚きますか?

「今のロレンソをドヴィツィオーゾと比較するのは、酷だと思う。アンドレアは、ロレンソにできないような乗り方をできるんだから。やがてロレンソが何か大きな決断をしなければならないとしても、今はまだ何を言うにも早すぎるだろうね」

―一方のあなたはというと、ヴィニャーレス選手にかなりのプレッシャーを与えています。だから、今のところヤマハの方向性はあなた次第、といっても過言ではないのでは?

「(笑)。ロレンソのほうがヴィニャーレスよりもずっと苦労しているよ。バイクの開発にしても何にしても、僕は経験もあるしヤマハのことをよくわかっている。だからその意味で、マーヴェリックより役には立てる。とはいえ、今年のヴィニャーレスに勝つのは大変だと思うよ」

―ヤマハにとって、ザルコ選手を手放すのは賢明な選択でしょうか?

「すでに決まってしまったことだし、僕に反対する気はないね。彼は僕のバイクをほしがっていたんだから。ヤマハが僕の残留を選んでくれたのは良かったと思っている」

―アルゼンチンはどんなレースになりそうですか。新舗装の路面はいい方向に作用するでしょうか?

「速さを発揮できると思う。去年はヤマハのベストレースで、今年はもっと高いレベルで走れると思う。ドゥカティとホンダもかなり強いだろうけど」

―今年のレース内容やバイクのフィーリングから見て、今シーズンはあなたをチャンピオンの一角に推す声も多いようです。

「そうなれば最高だね。全力でがんばるし、今のところ死角もない。去年はバイクの強みを全然発揮できなくて、弱点ばかりが露わになったシーズンだった。今も弱点はあるけれども、長所も取り戻した。2017年はシーズン半ばまでトップを争って、最後はマーヴェリックがランキング3位で僕は5位で終えた。今年はもっと上位を目指せる。去年よりもずっと強いよ。だから、チャンピオンを目指して全力でがんばるよ」

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