2017年12月15日

2017 EICMAを振り返る Part2 海外メーカー編 Vol.1 『V4を搭載することに 迷いはなかったのか!?』

■レポート&写真:河野正士

 
 2017EICMAミラノショーの振り返り。すみません、遅くなってますね。なんて言い訳は置いておいて、第2回目は外国メーカー編その1です。
 世界中にインパクトを与えたDUCATI パニガーレV4の車体設計責任者であるクリスチャン・ガスパーリさんにもインタビューしましたよ。

■BMW Motorrad

 2気筒エンジンを搭載するFシリーズに新型エンジン&新型フレームを採用した2つのGSシリーズを発表。K1600シリーズのバリエーションモデルや、400cc以下のスクーターモデルも発表したBMW。R nineTシリーズやG310シリーズ、カーボンフレームのS1000RR HP4レースなど、ここ数年にわたりEICMAで刺激的なモデルを発表し続けてきたBMWにしては、少し地味目な発表のように感じましたが、欧州マーケットの基礎とも言えるFシリーズを一新し、またアメリカ市場でのシェア拡大を狙う”バガースタイル”のK1600シリーズのバリエーションモデルを投入するなど、各カテゴリーのシェア拡大をかなりシビアに狙ってきたなぁ、と感じました。

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新型F850GS。Fシリーズ初となる270度クランクを採用した新型並列2気筒エンジンを採用。排気量も853ccに引き上げられました。これまでFシリーズが採用してきた360度クランクのツインエンジンは、アクセルの開け始めの出力特性がマイルドなこと、また中高回転域のフィーリングとサウンドが気持ち良く、個人的に大好きだっただけに、270度クランクへ変更は少し残念なのですが、トラクション性能やフリクションロスのことを考えると、ツイン、特に並列2気筒エンジンは他メーカーも含め270度クランクが主流なだけに、致し方ありません。新型フレームとともに、そのフィーリングが楽しみです。


 
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新型F750GS。この車両は6.5インチフルカラーTFTモニターやESA(エレクトリック・サスペンション・アジャストメント)システムなどオプションパーツが装着されています。車名は”750″ですが、排気量やフレームは”850″と同じ。850がフロント21インチホイールを、750がフロント19インチホイールを採用し、オフロード色が強い850に対し、750はよりストリート色が強くなっています。オプションでクイックシフターなども装着する事ができます。


 
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K1600グランドアメリカ。アメリカで人気の、ボディと一体化した大型振り分けバッグをリアに装備し、ハイパフォーマンスのエンジンと車体を活かして長距離を一気に駆け抜けるカスタムスタイル/バガースタイルを採用。先に、よりシンプルなスタイルの「K1600B」がリリースされていて、今回発表した「K1600グランドアメリカ」は、そのBに大型トップケースを装着し、より積載能力を高めたモデルです。このバガースタイル、アメリカでは絶大なる人気で、その頂点はハーレーなのですが、それ以外のシェア争いが熾烈なのです。ヤマハの新型スター・ベンチャー、ホンダの新型GL1800ゴールドウィング、そしてこのBMWK1600B&グランドアメリカが、その急先鋒。アメリカ市場を狙ったこれらの、日本&欧州メーカーのバガー・モデルはデザインもモダンで、欧州でも人気を呼びそうですね。


 
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C400X。BMWから排気量400cc以下のスクーターが発表されたのは意外でした。ただ冷静に考えれば、G310シリーズで小排気量カテゴリーにおける新しい世界戦略車を構築したわけですから、シティコミューターとしてより身近なスクーターで400cc以下にアプローチすることは必然とも言えます。また欧州のジャーナリスト仲間に聞くと、やはり道が狭く駐輪場問題も深刻化しつつある欧州において、400cc以下のバイク&スクーターはベストバランスだから、と言います。小排気量車=アジア市場と直結してしまいがちですが、日本と同じくユーザーのバイク離れが進む欧州においても、小排気量モデルはそれに歯止めを掛ける急先鋒なのかもしれません。


 
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これ、いまBMWが準備を進めているBMW純正のカスタムパーツ。ディーラーで新車を注文したときに、ラインナップされているオプションパーツを選択すると、そのパーツが装着された状態で納車される”SPEZIAL/スペツィアル”に含まれる、R nineT系のビレットパーツです。なかなか格好いい。新車状態で装着されるということは、もちろん保証対象になるわけで、それに相応しいクオリティに仕上げるべく、試行錯誤をしている最中なのです。国内でどのように展開されるかは未定ですが、とてもたのしみです。


 

■DUCATI

 パニガーレV4は、イタリアはもちろん、世界中にインパクトを与えました。L型2気筒で突き進んできたドゥカティが、MotoGPはさておき、市販車にもV型4気筒エンジンを投入したのだから当然です。最初、この事実がどのように受け止められるのか興味津々でした。しかしエンジンのカットモデルに群がる人、ストリップの車体の脇で話し込む人、そして車体に跨がる人たちの顔は、期待に満ちあふれているように感じました。

 ということで、パニガーレV4の車体設計責任者であるクリスチャン・ガスパーリさんにインタビューしました。

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『V型4気筒エンジンの計画をスタートさせたのは、いまから3~4年前。スーパーバイク世界選手権におけるライバルメーカーのパフォーマンスを考慮しつつ、我々はこのままL型2気筒エンジンを進化させるべきか、MotoGPで培ったV型4気筒エンジンに着手するべきか考えた。その段階で我々が重視したのは、パワーはもちろんだが、エンジン形式によるフレームワークやそれによって変化する重量など、車体のパッケージだ。その組み合わせのなかから、もっとも高い競争力を持つパッケージを考え続けた。その結論がV4だ。V4ありきで計画が進んだのでなく、L型2気筒でもその可能性を最大限に広げた。しかし我々はV4で戦うと決めたのだ。

 今回発表した「パニガーレV4」は、2019年にスーパーバイク世界選手権に出場するマシンとは違う。これはストリート用のスポーツバイクだ。したがってV型4気筒エンジンであっても、2気筒エンジンのような、豊かなトルクデリバリーを重要視した。豊かなトルクは我々が培ってきたスポーツバイク用エンジンに不可欠な要素だ。最高出力や最高回転数ではない。それによって我々は、ライバルたちとはまったく違う乗り味を造り上げることができる。そのために、ライバルメーカーのスーパースポーツモデルは意識せず、自分たちが理想とするトルクを求めて排気量を決めた。

 V型4気筒エンジンを市販車に搭載することに、迷いはなかった。いままで我々はレースの現場で開発したあらゆるモノ、それこそエンジンや車体を、ストリートバイクにフィードバックしてきた。したがってエンジン形式が変わっても、それが市場に受け入れられるかどうかはまったく問題にならなかった。サーキットで培った技術をストリートバイクに生かす。それはドゥカティのフィロソフィーだ。いままでも繰り返し行ってきたし、これからも変わらない。』
 
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みな良い顔してパニガーレV4に跨がるんですね。見ているこっちが、嬉しくなっちゃいます。


 
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パニガーレV4に搭載されている新V型4気筒”デスモセディチ・ストラダーレ”のカットエンジン。ドゥカティ・ブースのほぼ中央に、デーンと配置されていました。


 
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パニガーレV4。エンジンから車体前方に”ニョキッ”と伸びるフロントフレームの形状がよく分かります。またカウル側面の複雑なレイヤー&タンク下側カウルとの繋がりもよく見えます。


 
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フロントカウルは、LEDのアイライン奥にLEDヘッドライトとエアダクトを装備。スクリーン両脇に見えるゴールドのラインは、スクリーンやメーター類を装着するためのマグネシウム製ヘッドライトステー。またカウル側面の重なりはこんな感じになっています。


 
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ムルティストラーダ1260。見た目は変わりませんが、エンジンはかなりしっかりと手が加えられ、スイングアーム周りも変更。いま欧州で世界中のジャーナリストを集めた国際試乗会を開催しているはずです。


 
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欧州では人気が高いムルティストラーダ1200エンデューロ。


 
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L2エンジンを抱く最高峰モデルとなった959パニガーレと959パニガーレ・コルサ(奥)。


 
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スーパーバイク世界選手権を戦ったパニガーレRと、MotoGPを戦ったデスモセディチGP(奥)。


 
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スクランブラー1100。単体で置いてあると、さほど大きさは感じませんが、800スクランブラーと並ぶとやはり少しマッチョに見えます。新たに採用した、3つのライディングモードやトラクションコントロール、そしてコーナリングABSの装備なども気になりますね。それを含め、1100の登場によって”スクランブラー”シリーズがどのように変化&進化していくか楽しみです。スタンダードモデル(黄色タンク)に加え、オーリンズ製サスペンションを装着したスクランブラー1100スポーツ(黒タンク)、クローム仕上げのエキゾーストパイプやヘアライン仕上げのサイレンサーなどドレスアップパーツを装着したスクランブラー1100スペシャル(グレー・タンク)も合わせてラインアップ。


 

■Husqvarna

 ここ数年、オフロードブランドから総合バイクブランドへと進化すべく、カフェスタイルのスバルトピーレン、スクランブラースタイルのビットピーレンのコンセプトモデルを発表してきたハスクバーナ。その排気量390ccのスバルトピーレン401とビットピーレン401、そして排気量690ccのスバルトピーレン701の市販モデルが発表されました。その中で僕は、スバルトピーレン701にやられてしまいました。コンセプトモデル時から変わることのない前衛的なシルエット。401も同様なスタイリングなのですが、そのシルエットとサイズ感のバランスは701が素晴らしいと感じました。

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スバルトピーレン701。この適度なボリューム感と流れるようなフォルム。僕は701の方が好きです。


 
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こちらはスバルトピーレン701のオプションパーツ装着車両。こんなシングルシートカウル、初めて見ました。


 
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こちらはコンセプトモデルとして発表されたビットピーレン701。これまでビットピーレン=スクランブラースタイルだったのに、この701はダートトラッカースタイル。いま欧州では、ダートトラックレースが人気となり、そのカスタムスタイルも注目度が上がっています。それをいち早くキャッチアップした感じでしょうか。


 

■KTM

 KTMは、新型の並列2気筒エンジンを搭載した、市販車とコンセプトモデルを発表しました。排気量790ccのこのクラス、激戦です。ヤマハのMT-07&09、BMWの新型Fシリーズ、ホンダNCシリーズなどなど強敵ばかりです。しかしDUKEシリーズやRCシリーズで成功を収めたKTMが、総合バイクメーカーとして確固たる地位を確立するためには、この中間排気量でのシェア獲得も必須。だからこそ、今回790DUKEでロードスポーツモデルを、またコンセプトモデルである790エンデューロRを発表したわけです。う~ん、このあたりのシェア争い&ニューモデル開発競争も興味深いですね。

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790DUKE。DUKEシリーズ共通の、個性的なフロントフェイスを採用。レイヤーデザインのタンク&タンクカバーも健在です。エンジン、想像していたより四角いです。


 
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コンセプトモデルとして登場した790アドベンチャーR。エンジン周りがカバーされているのですが、フレームやエンジンは790DUKEと共通、のはずです。


 

■Triumph

 トライアンフは人気のアドベンチャーモデル、タイガーシリーズの1200と800をモデルチェンジ。1200は”タイガー史上もっともオフロード性能を高めた”というほど、エンジン特性やフレーム&足周り、装備やスタイリングを徹底的に見直したようです。個人的には、大排気量アドベンチャーモデルのなかでは、ワイルドというよりラグジュアリーなイメージのタイガー1200が、どのようにオフロード性能を高めているのか気になります。この車両も、欧州ではすでにメディア向け試乗会が開催されていますね。日本人的、というか僕個人としてはコンパクトな800が好みなのですが……こちらも1200同様、大幅にアップデートが行われています。
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写真はオフロードの装備を充実させたタイガー1200XCA。ほかにキャストホイールを採用したタイガー1200XRもラインナップ。新デザインのスタイリングも採用されています。


 
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タイガー800XCA。1200とリンクするボディデザインを持ちながら、よりコンパクトで軽快なスタイリングに仕上がっています。


 
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そのタイガー800をベースに製作したプロトタイプマシン「タイガー・トラモンタナ」。この車両は実際に、モロッコで開催されたパンアフリカン・ラリーに参加した車両。タンク形状はスタンダードながら、フロントカウルやフロントフェイス周りを、トレンドのラリールックに変更されています。これ、かなり格好良かったです。


 
ということで、次回に続きます。
 



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