2017年6月6日

MBHCC E-1 西村章 MotoGPはいらんかね

Vol.118 第6戦 イタリアGP Presto Vivace

MBHCC E-1

第117回 第5戦 フランスGP Rd05 Le Mans'

 ムジェロサーキットは、シーズン全体でも最高の盛り上がりを見せる一戦である。今年の動員数は、三日間総計で16万4,418人。それだけの観客が見守るなかで、日曜の決勝レースではMoto3クラスでアンドレア・ミニョ(SKY Racing Team VR46)、Moto2はマティア・パジーニ(Italtrans Racing Team)、そして最高峰のMotoGPはアンドレア・ドヴィツィオーゾ(ドゥカティ・チーム)と、イタリア人が全クラスを制覇したのだから盛り上がらないわけがない。
 特にドゥカティは、ここムジェロがホームコースで、ファクトリーのあるボローニャのボルゴ・パニガーレまで車で一時間、と文字どおりの地元である。イタリアのサーキットでイタリアメーカーファクトリーのイタリア人選手が優勝するのは、いわば1985年の阪神タイガースの甲子園バックスクリーン三連発みたいなもので、ファンにしてみりゃちょっとおかしくなってしまうくらいの快挙だ。デスモドビ、というニックネームがこれほど輝かしく、力強く感じられたこともないだろう。余談になるが、こういった選手の呼称はご存じのとおり韻を踏む言葉が選択されるのだが(キングケニーしかり、ファストフレディしかり、ステディエディしかり。日本人がらみでは、スーパーシンヤ、ヒロ・ザ・ヒーロー、なんて語呂が用いられたこともあった)それにしてもデスモドビ、という呼称は独創的かつ象徴的で、つくづくよいニックネームである(といいながら勝手なモノで、低迷しているときには無理矢理感を嗅ぎ取ってしまうのだろうけれども)。
 ところで、優勝を遂げたドビ自身は、「最終ラップでも後ろのマーヴェリックが0.8秒差でつけていたし、このコースは一気に差を詰められてしまうこともあるから気を抜けなくて、最終コーナーで背後の気配を感じなくなるまで勝利を確信できなかった」という。
 一方、2位のマーヴェリック・ヴィニャーレス(モビスター・ヤマハ MotoGP)はというと、「今日はドビが本当に強かった。最後の6~8周で勝負を狙ったけど、あまりリスクも冒したくなかったので2位確保に切り替えた」とレース展開を振り返った。紙一重のようでもあり、見た目以上に大きな差のようでもあり、あるいは総合的な戦闘力向上を狙う選手と年間総合優勝を見据える選手の違いのようでもあり、レースというものは立場によって見方や戦略や展開が様々に変化するものでありますね。
 そして3位には、またもやイタリア人選手のダニロ・ペトルッチ(プラマック・レーシング/ドゥカティ)。この選手もドビたちと同じく2017年仕様のデスモセディチGPを駆っているのだが、どちらかといえば実戦開発要員のような側面があり、毎戦いろんな部品を投入しながら走っている。今回はホームGPということもあってレースに集中するため新規パーツを入れることなく、前戦のルマンと同じ状態で臨んだことも、好結果の一因になったようだ。
 そしてペトルッチといえば、話の面白さにも定評がある。受け応えの面白いライダーといえばカル・クラッチローが代表選手で、コーリン・エドワーズも現役時代にはスマートなジョークをよく飛ばしていたが、そういった英米流のユーモアと違い(じつは英と米も全然違うんだけど)、ペトルッチの場合は自分自身を笑いのめす自虐ネタがじつに上手い。今回も「プラマックの社長に『地元だからがんばって表彰台を獲れよ』と激励されたんで『じゃあ金出して表彰台買収しましょ』と返答した」とか「マーヴェリックには、彼がMotoGPに上がってきた直後のスズキ時代もいつもラスト2周で抜かれていたから、まあ、そりゃ今回も抜かれますわ」とか。昨年も、テストで中手骨などを骨折しプレートを挿入した際には「気象予報士より正確に天気がわかるようになったし」と苛酷な自分の状況を笑いにする一方、レースではその負傷した手をぱんぱんに腫れ上がらせながら痛みに耐えて最後まで走りきる強い精神力の持ち主でもある。この選手の自虐ネタは、そういう根性論を前面に出すことを照れるような、ちょっとシャイな性格から来ているのかもしれない。

#04

25ポイント加算でランキング2位に浮上。

#25

今季4回目の表彰台。

#19

2015年第12戦以来の表彰台。

*   *   *   *   *


  一方で、レース序盤からトップグループにつけ、終盤まで表彰台圏内に食い下がったバレンティーノ・ロッシ(モビスター・ヤマハ MotoGP)は4位でゴール。先週のモトクロストレーニングで身体を痛めて、レースウィーク初日の金曜は「5~6周走ると呼吸がキツくなる」「予想外に、右腕に痛みが出る」と、体調が万全ではない様子だった。日を重ねるごとに回復傾向にあったとはいえ、
「プラクティスから速く走れたので行けそうだった反面、内心では23周の戦いは厳しいとも思っていた。残り8周から10周でだいぶ厳しくなり、ペトルッチの後で諦めずにがんばったけれども、勝負を仕掛けられなかった。表彰台を獲れなかったのは残念だけど、火曜日段階ではレースをできないかもと思っていたので、それを考えると良いレースだった」
 と振り返った。この体調に38歳という年齢も加味して考えると、4位という結果は相当にたいしたものと評価されていい。もちろん本人は、このリザルトに納得はしていないだろうけれども。

#46

ランキングでは3番手に。

#29

今回は10位フィニッシュ。


*   *   *   *   *


ところで、今回のレースウィークは、5月22日に逝去したニッキー・ヘイデン選手を悼み、多くのチームや選手が様々な形で彼に対する弔意をあらわす週末になった。日曜の決勝レース前には、彼のバイクナンバー69にちなんで69秒の黙祷も捧げられた。
 そしてレースは続く。
 次戦は2週連続開催の第7戦カタルーニャGP。今年から、最終区間にシケインが増設されることになった。はたしてこれがどんな影響をレースに与えるのか、というところにも要注目である。
 ではまた次回。

#69

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■2017年6月4日 
第6戦 イタリアGP
ムジェロサーキット

順位 No. ライダー チーム名 車両

1 #04 Andrea Dovizioso Ducati Team DUCATI


2 #25 Maverick Viñales Movistar Yamaha MotoGP YAMAHA


3 #9 Danilo Petrucci OCTO Pramac Yakhnich DUCATI


4 #46 Valentino Rossi Movistar Yamaha MotoGP YAMAHA


5 #19 Alvaro Bautista Pull & Bear Aspar Team DUCATI


6 #93 Marc Marquez Repsol Honda Team HONDA


7 #5 Johann Zarco Monster Yamaha Tech3 YAMAHA


8 #99 Jorge Lorenzo Ducati Team DUCATI


9 #51 Michele Pirro Ducati Team DUCATI


10 #29 Andrea Iannone Team SUZUKI ECSTAR SUZUKI


11 #53 Tito RABAT EG 0,0 Marc VDS HONDA


12 #45 Scott Redding OCTO Pramac Yakhnich DUCATI


13 #94 Jonas Folger Monster Yamaha Tech 3 YAMAHA


14 #8 Hector Barbera Avintia Racing DUCATI


15 #43 Jack Miller Marc VDS Racing Team HONDA


16 #17 Karel Abraham Pull & Bear Aspar Team DUCATI


17 #50 Sylvain Guintoli Team SUZUKI ECSTAR SUZUKI


18 #76 Loris Baz Reale Avintia Racing DUCATI


19 #22 Sam Lowes Aprilia Racing Team Gresini APRILIA


20 #38 Bradley Smith Red Bull KTM Factory Racing KTM


RT #35 Cal CRUTCHLOW LCR Honda HONDA


RT #26 Dani Pedrosa Repsol Honda Team HONDA


RT #41 Aleix Espargaro Aprilia Racing Team Gresini APRILIA


RT #44 Pol Espargaro Red Bull KTM Factory Racing KTM


※第17回小学館ノンフィクション大賞優秀賞と、2011年度ミズノスポーツライター賞優秀賞を受賞した西村 章さんの著書「最後の王者 MotoGPライダー 青山博一の軌跡」(小学館 1680円)は好評発売中。西村さんの発刊記念インタビューも引き続き掲載中です。どうぞご覧ください。

※話題の書籍「IL CAPOLAVORO」の日本語版「バレンティーノ・ロッシ 使命〜最速最強のストーリー〜」(ウィック・ビジュアル・ビューロウ 1995円)は西村さんが翻訳を担当。ヤマハ移籍、常勝、そしてドゥカティへの電撃移籍の舞台裏などバレンティーノ・ロッシファンならずとも必見。好評発売中です。


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