2017年5月24日

Honda CBR250RR/ABS試乗
『スポーツ性能において、このCBR250RRは頭ひとつ抜け出た メーカーの主張と前評判通りの走行性能だった』

■試乗&文:濱矢文夫 ■撮影:依田 麗 ■協力:Honda 

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日本仕様のカラーバリエーション3台が並んでいるのを眺めている時から、これまでの250フルカウルスポーツとは明らかに違う存在感があった。発進加速、追い越し加速、最高速でクラスNO.1を追求したという走りの性能を味わう前に、まずこれに感心していた。デザインやカラーは個人の好みがあるので多くは言及しないけれど、エヴァンゲリオンっぽい配色のマットガンパウダーブラックメタリックと名付けられた、マットブラックに赤の差し色が入ったものと、他とは雰囲気が違うソードシルバー、そして車両価格が2万円ほど高いスーパースポーツらしさが強まったヴィクトリーレッド、個性的で凝った造形とディテールによるクラスレス感がある。それがライバルより際立つ。まだ2ストロークも沢山あった、’80年代を知っている人の中には、「昔は良かった」と言う人がいて、その意見を少なからず耳にすることもあるけれど、私には、こんなカッコイイ250に乗ることが出来る現代の方がいい。
 

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 外装などを外したストリップ状態のものも置いてあり、鋼管トラスフレームに積まれる新開発された水冷DOHC4バルブ直列2気筒エンジンのコンパクトさに驚く。試乗前の技術説明時に公表されたLPLの人が描いた初期のアイデアスケッチには既にトラスフレームが描かれていた。その説明で、2気筒のCBRは、日本よりマーケットが大きいインドネシアからの「圧倒的な製品が欲しい」という要望がきっかけとなり誕生したとも聞いた。それもあって先にインドネシアで販売されているが、バイアスタイヤを履いたインドネシア仕様と違い、日本仕様はラジアルタイヤ(DUNLOP GPR-300)を履き、それに合わせてフロントフォークはバネレートを上げ減衰力を高め、リアサスペンションもセッティング変更を受けている。エンジンも最高出力はほぼ一緒ながら、ちょっと違う味付け。
 
 ものすごくお尻を跳ね上げたスパルタンなスタイルに見えるけれど、跨ると想像したより良好な足つき。シート高790mmという数値よりも体感的には足が届く。人間が乗るところに大きなくびれを持ったスリムな車体と、前を細くしたシート形状が効いている。セパレートハンドルはトップブリッジ下にクランプしていながら、手前の絞りも適度でハンドルグリップ位置は遠くなく、手首や肘に負担がかからない。体の前傾は強すぎない適度なもの。ライディング中は、身長170cmライダーでヘソの位置より気持ち下側に手の位置がくる。ステップ位置はお尻の中心の下、後ろすぎず、上すぎず、窮屈なライディングポジションにはならない。ニーグリップがしやすいタンク形状で体とのフィット感は良好。いかついルックスとは裏腹に乗ってみると意外なほど優しい乗車姿勢だった。人と同じで見た目で判断してはいけないのである。個人的な小さい不満は、指が短いからグリップを掴んだままウインカースイッチを親指で操作しづらいこと。もう少し高い位置が嬉しい。長時間乗れば慣れそうだが、最初から違和感がないとは言いにくい。
 
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 気を使わず、極低回転でクラッチを繋いでもスルスルっと発進。1万4千回転からレッドゾーンという高回転型だが、低中速のトルクは過不足ない。開ければ開けるほどトルクが湧き出て、スポーツライディングするなら1万回転から1万3千回転までに入れておくと、間違いなくクラス最強と言えるパワーを味わえる。エンジンの振動はバランサーも入っていて上手くおさえられていながら、高回転になるほどビート感があって、排気の音も迫力が増し、NO.1を目指したのはだてじゃないと感じるほどちゃんと速い。このCBR250RRの特筆すべきところは多くあるけれど、その中でも重要なのは電子制御スロットルを導入したことだ。これにより、『Comfort』『Sport』『Sport+』という3段階のライディングモードを設けた。この3つは微妙な違いではなく明確に違う。

 『Comfort』にすると、スロットルを素早く大きく開けても、エンジンの反応が穏やかで、高回転域になるまで待つくらい時間がかかる。『Sport+』はリニアに右手に反応して最もスポーティー。『Sport』はその中間といったところ。試乗をスタートしていきなりワインディングに持っていったから、ずっと『Sport+』モードのままが楽しすぎて、「他のモードは必要なの?」と思っていたけれど、一呼吸をおいて流すように走る時には『Sport+』だとスロットル操作による車体の動きが機敏すぎた。スロットルをオフにすれば走行中もモードが変更できるので、左の人差し指で『Comfort』に変更すると、スロットル操作に気を使わずにスルスルっと快適にクルージングができるじゃないか。このままストップ・アンド・ゴーがある街中に入ると、発進や加速でモタモタ。そこでちょうどいいのが『Sport』だった。最初は懐疑的に思っていたけれど、これはありだ。大きく特性が変わるので使い方に迷いも出ない。電子制御スロットルになったおかげはライディングモードだけでなく、出て来るパワーの角を取っているのがちゃんと実感できて、パワフルで速いけれど乗りやすさがあり、これが安全性にも繋がる。採用は正解だと思う。
 
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 車体、サスペンション、タイヤ、ブレーキからなるしっかり感が素晴らしく、良く効くブレーキを強くかけてもへこたれず、思うように制御できる。コーナー進入は軽快な身のこなしで、リーンしてからの自由度と安定感は高い。とくにフロントフォークはこのクラスでトップクラスのものだと感じた。リアサスペンションと合わせてノーズダイブが小さく、ダンピングが効いて路面に追従。常にタイヤが接地していることが伝わってきて、沈ませてからの旋回がとにかく気持ちいいのである。軽快なんだけど、軽快すぎないのも好きだ。トリッキーな動きがまったくない。これなら幅広い技量のライダーがスポーティーなコーナーリングを楽しめるだろう。走りのレベルが高い故に、贅沢な気持ちになって、もうちょっとリアショックのダンピング(特に伸び)を強くしたら私好みになるのに、なんて思ったくらい。

 速さを含むスポーツ性能において、このCBR250RRは頭ひとつ抜け出た。メーカーの主張と前評判通りの走行性能だった。それは走る楽しさに直結しているけれど、オートバイの魅力はそれだけでないのが面白いところ。今や各社からいろんな機種が出ている。横並びではなく、価格の違いや個性がはっきりしてきた。どれが、どれより上とか下、良い悪いではなく、違う魅力を持っている並行した世界。ホンダの巻き返しを体感しながら、このカテゴリーが成熟してきたことの面白さを実感した。
 
(試乗:濱矢文夫)
 
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開発キーワードは『直感、体感、新世代“RR”』。力強さと速さを直感させる独自の存在感を持つスタイリング、優れた動力性能を安定して引き出せる操縦性を実現した車体、気持ちよく速さを体感できる出力特性とエキゾーストサウンドを持つパワーユニット、スタイリングや走りとシンクロした先進性の電装制御。250クラスのスーパースポーツとして最も進化した「走りの質」やクラス初となる“スロットルバイワイヤ”システムの採用などにより『操る楽しさ」ナンバーワンを目指したという。

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SHOWA製の倒立式を採用したフロント足周り。直径37mmのスライドバルブによる高い剛性確保とバネ下重量の軽減による高い路面追従性を実現した。ダンパーを左側のみに使用することでフロントブレーキの右側装着と合わせ操舵系の左右重量バランスの最適化と摺動抵抗低減を図っている。

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パワーユニットはコンパクト化を目指してプライマリードライブギアをカムチェーン内側に配置したほか、別体式が一般的なオイルポンプもエンジンロアケースの右前側で一体化、クラッチレリーズ機構を左側に配置してACGハウジングの幅よりも内側にセット、ウォーターポンプをRC213Vと同様にシリンダーヘッドに配置。

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ブレーキはリアにφ240mmのシングル、フロントにφ310mmのシングルディスクをそれぞれ採用。また、前後とも新設計のウェーブ形状を採用。ABS仕様もタイプ設定されている。

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硬質で塊感のある面構成で「力強さ」を、キレのあるエッジにより「速さ」を表現したというスタイリング。

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液晶エリアを取り囲む枠を極力薄くデザインし、液晶部を大型化して視認性を向上させたフルデジタルメーターを採用。ラップタイマーやギアポジションインジケーターも採用。

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タンク後端からシート先端部を絞り込むことでニーグリップのしやすさと良好な足付き性を実現。

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●CBR250RR〈CBR250RR ABS〉 主要諸元
■全長×全幅×全高:2,065×725×1,095mm、ホイールベース:1,390mm、最低地上高:145mm、シート高:790mm、車両重量:165〈167〉kg■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ、総排気量:249cm3、ボア×ストローク:62.0×41.3mm、圧縮比:11.5、最高出力:28kw(38PS)/12,500rpm、最大トルク:23N・m(2.3kgf・m)/11,000rpm、燃料供給装置:電子制御燃料噴射装置(PGM-FI)、始動方式:セルフ式、点火方式:トランジスター式バッテリー点火、燃料タンク容量:14L、クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング、変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:ダイヤモンド、キャスター:24.30°、トレール:92mm、ブレーキ(前×後):油圧式シングルディスク × 油圧式シングルディスク、タイヤ(前×後):110/70R17M/C 54H × 140/70R17M/C 66H、懸架方式(前×後):テレスコピック式(倒立タイプ) × スイングアーム式(プロリンク)
■メーカー希望小売価格 756,000円~〈806,760円~〉(税込)


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