2018年12月10日

CRF450L試乗 第二弾「濱矢編」 『ただのモトクロッサーのレプリカじゃない、 トレールモデルの枠にも収まらない!  これまでにない新しいオフスポーツの誕生だ』

■試乗・文:濱矢文夫 ■撮影:渕本智信
■協力:Honda 

オフロードの経験値が高い上級ライダーの松井勉さんのインプレッションに続き、40歳で初めて林道を走ってからクロスカントリーエンデューロレースにハマった、中級オフロードライダーの濱矢文夫がホンダCRF450Lに乗ったインプレッション。そこで感じたのはCRF450Lは、これまでのトレールモデルや競技車両とは良い方向で違うということだった。

 
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 やっとCRF450Lに乗るチャンスがやってきた。オフロード好きのひとりとして心待ちにしていた。少し前に開発責任者の内山幹雄さんにお話をうかがった時に(『ホンダCRF450Lは何がどうすごいのか』のページへ)、じっくり見て、触れて、触って、詳しい説明を受けていたので、どんなオートバイに仕上がっているのかある程度の方向性というか、姿が見えていたけれど、やはり乗って体験してみないとお話にならいからね。

 
細さや、動きやすさはまさにモトクロッサー譲り。でもシートは低い。

 レーシングマシンであるモトクロッサーCRF450Rをベースに開発された、公道走行可能なトレールモデル。車体やエンジンなど70%ほども受け継いでいるということで、ハンドルを掴んで車体を起こした時の手応えはモトクロッサーと比べると重さはあるけれど、一般的なトレールモデル、それも449ccだと思うと軽々している。

 このカテゴリーの機種としては当たり前なのだが、前後に体を動かそうとする時にじゃまになる部分がまったくないスレンダーさ。シート高=895mmというのは「低い」という印象になる。身長170cm、体重69kgでまた関節が固く足が短い私でもサスペンションの沈み込みもあって両足のつま先がなんとか届いた。オンロードモデルしか乗ってこなかった人にとっては、「高い」と思うかもしれないが、車体にあわせてシートも細いし、1000mmに近いCRF450Rと比べると感動的に足着きがいい。
 私の体格でモトクロッサー、エンデューロなどのレーシングモデルだと両足接地は無理で、片足ステップでもお尻を伸ばす足側に少しずらさないといけないのが普通。だから、オフ車好きならきっと私と同じように「低い」という感想になるだろう。モトクロッサーより重いといっても、トレールモデルとしては軽いのだから、おっとっと、ぐらっと傾いて車体が斜めになっても成人男子なら力を出せば倒さないですむことが多いだろう。
 
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舗装路でも特別な運転技術は必要ない。そう味付けされている。

 セルスイッチを押してエンジンはあっけなく目覚めアイドリング。エンジンから出る音、排気音などCRF450Rと似ている。近くで聞いていると騒々しく感じたけれど、ちょっと距離を置いて聞くと静か。さすがストリート・リーガルだ。

 あいにく降り出した雨の中、最初は舗装路で試乗した。エンジンは低中回転域のトルクを重視したというのはその通りで、スロットルを開けると軽い車体でライダーをグイっと軽々と前に押し出した。スロットルを急に開けると、レスポンスが良く瞬時に力が出る。けれど、そのトルクの出方に角がない。パワフルだけど尖っていない。オフロード系としては接地面積が大きいIRC GP-21F/GP-22Rタイヤ(CRF250Lにも純正採用されている)を履いていることもあって、濡れた路面でも、いきなりグリップを失うようなことがなく、気を使うことがなく走行できた。
 私の体重で純正のサスペンションセッティングだとフロントよりリアの方が沈む感じだ。若干後ろが下がっているような姿勢。これによってフロントの安定感が出ている。速度を上げて舗装の継ぎ目や窪みなどを通過した時や、高速走行時のスタビリティに不安はなかった。レーサーに毛が生えた、ではなくトレールモデルとしてちゃんと仕上げているのは、さすがだ。コーナーリングも何も気を使うことなく素直にリーンして穏やかに旋回した。
 
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しっかりしたトルクとリニアに反応するピックアップだが特性に角がない。

 タコメーターが無いので具体的な回転数はわからないけれど、パワフルに加速するのは中回転域まで。高回転まで回るけれど、進む勢いは落ちる。だから高回転まで引っ張らないでシフトアップするとスムーズに速度をのせていける。
 高くない最高出力に不満の声も耳にしていたが、しっかりした最大トルクが低中回転域で出ているから、発進からの加速や、一般道での追い越しなどで力不足と感じないで走れた。それをもっと明確に感じたのはフラットな林道に入ってからだ。ガードレールもなく、見通しの悪い林道では、高回転域まで回して飛ばして乗るのはナンセンス。というかそうしてもまったく面白くない。林道で出せる速度での走行は、このエンジンで充分すぎる。舗装路で感じた角のない力強さで、グリップの低い雨で濡れたダートでも加速させやすいちょうど良いパワーと特性。

 
これまでのトレールモデルになかった高性能を味わえる。

 自分のことで申し訳ないけれど、私は免許を所得してからずっとオンロードモデルばかり乗り続け、初めてオフロード車を買って初めて林道を走ったのはほんの10年前。その時は中古のXRだった。それと比べるとCRF450Lはオフロード走行性能が段違いに高い。凸凹などは、スロットルを開けて加速しながらも前後のサスペンションが吸収して何事もなかったように進めてしまう。
 これまでのトレールモデルだともっとひとつひとつの障害物の存在感を感じで避けるように舐めるように進むところもまったく気にせず突っ込んでいける。トルクが急激に出て、より引き締まった足のモトクロッサーのCRF450Rで同じところを走るより、間違いなく楽に乗れて、操りやすい。結果、安全で速い。

 ハンドリングはモトクロッサーのような軽快性とは違う。サスペンションと車体の性能がトレールバイクのレベル以上で、自由自在感は高いレベルだけど、ターンインの時や、切り返しなどフロントに適度な粘りがあって、逆にそれが先の読めない状態において、いろんな路面状況で対応しやすく、運転的にも心理的にも余裕につながっている。舗装路で感じたちょっとお尻が下がったハンドリングが、ここでもポジティブに働いている。幅広いライダーに使いやすい高性能である。凸凹でハンドルが振られるような時でもコントロールが易しい。エンジン特性も含め、ベテランだけでなく、林道を走り始めたばかりのビギナーでも楽しんで乗れるのではないか。それほど運転しにくいところがない。
 前後の荷重を変化させるのも簡単で、ちょっとした段差や溝などスロットルひとつでフロントを上げてクリアできた。’90年代にあった2ストロークモデルを含めても国内メーカーのトレールモデルで、ここまでオフロード走行性能が高いものは記憶にない。ブレーキターンをしてみたり、コーナー立ち上がりでリアタイヤをパワーで流してみたりするのがよりイージーにできて楽しめた。
 
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CRF450Rベースだが、バランスよくまとまった別物だということに気持ちよく納得できた。

 林道を後にして、今度はオフロードコースに移動。

 雨を含んだ黒土と草の上はツルツルと滑るけれど、そこでも車体を安定させ、トラクションさせやすい。モトクロスコースではないので本格的なジャンプはないが、傾斜を駆け上がって飛んでみた。遠くに飛ぶのではなく、ふわっと上がってフラットに着地。これを普通のトレールモデルでやると、ガシャンという感じで前後サスペンションがフルボトムして反動が来るところ。CRF450Lでは無理なく猫のようにショックを吸収し何事もなかったように着地ができる。いくら公道用に変更しているとはいえ基本の足周りやフレームがモトクロッサーベースという恩恵だ。
 でも、それだから、モトクロッサーCRF450Rと比較して考える人が出てくるのも事実。確かにベースはCRF450Rだけど、それの公道版ではなく、CRF450Rを下敷きにした、これまでになかった高性能トレールモデルバイクということ。事前にそれを知識として分かってはいたけれど、乗ってから明確に理解した。違う乗り物だ。そんな感想と同時に、国内ではお世辞にも大きいとは言えないオフロードバイクの市場に、こういう意欲的な機種を出してくれたことに嬉しくなった。
 
(試乗・文:濱矢文夫)
 
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■Honda CRF450L(2BL-PD11)主要諸元

●全長×全幅×全高:2,280×825×1,240mm、ホイールベース:1500mm、シート高:895mm、●エンジン(PD11E):水冷4ストローク単気筒OHC(ユニカム)4バルブ、排気量:449cm3、ボア×ストローク:96.0×62.1mm、最高出力:18kW(24HP)/7,500rpm、最大トルク:32N・m(3.3kgf-m)/3,500rpm、燃料タンク容量:7.6L、燃料供給装置:電子制御燃料噴射(PGM-FI)、燃費消費率:31.0km/L(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 1名乗車時)、25.7km/L(WMTCモード値 クラス2-2 1名乗車時)●車両重量:131㎏、タイヤ:前80/100-21M/C 51P、後120/80-18M/C 62P、懸架方式:前テレスコピック式、後スイングアーム式(プロリンク)、フレーム形式:セミダブルクレードル ●メーカー希望小売価格:1,296,000円


 
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ライダーウェアは、ホンダとアルパインスターズがコラボしたライディングジャケット&パンツを着用しています。


 



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