2019年5月14日

Honda CB1000R 新しい時代の「CB」ブランドの出発点

■文:中村浩史 ■撮影:赤松 孝/南 孝幸
■協力:ホンダモーターサイクルジャパン 

これは、何の、誰のための、どういうバイクだ?
僕はよく、こんなことを考える。
このバイクは、どういうシチュエーションで
どんな使い方をしたら楽しいのか、って――。
結論は、意外なところに落ちていったのだった。

 
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 たとえばアフリカツインは長距離をわけなく走り抜いて、少しのダートだって苦もなく踏み入っていけるバイクだ。ゴールドウイングはひたすら快適に長距離を瞬間移動するバイクだし、CBR1000RRは曲がりくねった道を走りたいバイク(笑)。
 では、CB1000Rはなんなんだ――まずはニューモデルとして試乗して、それでもハッキリとはわからないから(←乗り手の理解力不足・笑)、ロングツーリングにまで借り出して、高速道路も一般道もワインディングも、1000kmオーバーを走り回って考えた。
結果、CBはCB――。CB1000Rとは、そういうバイクだ。
 
 CB1000Rは、旧CBR1000RRの水冷4気筒エンジンを搭載したネイキッドモデルだ。フレームにはホーネットシリーズでおなじみのモノバックボーンを採用し、フロントに倒立フォーク、リアに片持ちスイングアームとモノショックを使った、ごくオーソドックスな車体構成。ただし、フレーム、フロントフォーク、リアサスやスイングアームとも、そのパーツ単体は当然のように最新スペック。ホンダが「ネオスポーツカフェ」と呼ぶにふさわしい、とても「オートバイらしい」パッケージで登場してきた。
 CB1000Rとしての新しさは、そのスタイリング。2017年秋の東京モーターショーで初登場して「このまま市販するわけじゃないよな」と思われた丸型LEDヘッドライトや、超ショートデッキのシート、スイングアームマウントのリアフェンダーも、ショーモデルそのままに製品化。オーソドックスに、アレンジを加えたスタイリングに仕上げられている。
 
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 セルボタンはキルスイッチ一体式。サウンドは静かすぎず、太い迫力のある音だ。EURO4で騒音規制が世界統一基準になってから、「静かすぎ」なくていいよね。
 アシスト機構つきスリッパークラッチを装備しているからか、クラッチはあっけなく軽い。こつん、とローギアにシフトして走り出すと、まず低回転域のトルクに驚かされることになる。これは145psのパワーというより、ファイナルレシオの設定かな。CB1100&CB1300SF(この2モデルは基本的に同じミッション)よりもローギアードなこともあって、発進でアクセルを開け足さなくてもスッと発進して、ほんの少しアクセルを開けるだけでぐん、と体が持って行かれるフィーリングがあるのだ。
 
 街中でこれを繰り返していると、ちょっとアクセルのドンツキ(=微開領域でトルク変動が大きいような状態。チョイ開けでグン、とくる)があるのかな、と思うけれど、これはアクセル操作をていねいにするか、そうでなければパワーモードを「スタンダード」にすればいい。フルパワーの「スポーツ」だと、特に3速くらいまでワイルド、悪く言うとドンツキが感じられるのだ。
 街中を走り始めると、今度は低回転~中回転域の力強さに驚くことになる。145psの出力を持つ1000ccの並列4気筒エンジン、もちろん街中ではぐんぐん回転をあげられるわけではないんだけれど、街中のスピードだと3000rpmシフトだってスピードが出すぎるくらい。ちなみにこんこんこんとシフトアップしていって、6速で2000rpmで45km/hくらいから走れる。そこからアクセルを開けていっても、急加速でない限り、スーッと普通に加速してしまうのだ。
 この時気づいたのは、クイックシフターの便利さ。もちろん、発進の時にはクラッチ操作するけれど、あとはクラッチを切らずにシフトUP&DOWNが可能。あんまり回転が低すぎると、ミッションが変わったショックが感じられるけれど、3000rpmくらいまで回転を上げながらシフトするのが気持ちいい。これ、慣れるとクイックシフトのないモデルに乗るのが億劫になるくらいだもの。
 
 街乗りをしていると、本当に2000~6000rpmくらいの低~中回転域のトルクが厚いのが印象的なエンジンだ。クイックシフトを使ってのシフトチェンジ、その時の回転のつながりがいいのは、ミッションがかなりクロスレシオになっているおかげもあるようで、全体的にちょっとローギアードかな、と思うこともあった。僕の乗り方かもしれないけれど、同じスピードだと、もう少し回転を落とし気味に走りたいし、それだともっとジェントルに大人の走りができるかな、と。その方がきっと燃費も少しだけいいだろうしね。
 
 そう思ったのは、サスのセッティングも少し影響していると思う。特にフロントフォークのバネレートが低いのか、ソフトな感じで、低い回転でわざとアクセルON/OFFをすると、車体がぎくしゃくしてしまう。もちろん、これは意図的にぴょこぴょこ動かしているだけだけれど、長く乗っていると、無意識に疲れにつながっちゃうことがあるからね。
 逆にリアはコツコツと路面の凹凸が伝わってきて、プリロードがかかりすぎてるかな、と。
もしこれが自分のバイクなら、サスを調整していく楽しみもあるだろうな、と思った。特にフロントフォーク、圧側減衰をちょっと強くして伸びを遅くしてみるとか、いやリアから押されるから、リアのプリロードを抜いてみようとか何とか……。裏を返すと、そう思わせちゃうほど動きが繊細というか、エンジンの出力特性とサスがリンクしている動きなのだ。
 
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 高速道路に乗ると、その圧倒的な中間加速が楽しい。トップ6速で80km/hは3400rpm、100km/hは4200rpmくらい。ちょうどそこはエンジンのトルクがあふれている回転域だから、もう飛ばしたくて飛ばしたくて(笑)。この4000rpmくらいでハンドルに微振動が出ているのも、エンジンが回っている感覚につながっているようで、大きな声では言えないけれど、あと1000rpmくらい余計に回せば、この振動は消えていきます(笑)。
 これは上にも書いたローギアードな設定も一因のようで、100km/hで走っている時すら、エンジンが結構回っている感覚が強い。調べてみたら、CB1100/CB1300SFに比べると、1速のレシオは高く、2速が同じ、3速以上は、レシオがクロスして全体的にローギアード、6速もオーバードライブ(=レシオが1.000以下のこと)になっていない。これは、もしも僕が買ったら、ドリブンスプロケットをハイギアード化するかな。いま44丁のドリブン側の丁数を減らしていくか、いま15丁のドライブ側を増やしていくか。うーん、そういう楽しみもあるねw。
 
 クルージングは快適そのもので、街乗りで少し気になったサスの細かな動きがきれいに収束されていて、コツコツとしたリアクションはなく、しなやかに路面の凹凸やうねりを吸収してくれる。これ、サスペンションの設定というよりも、モノバックボーンフレームの縦剛性がうまく外乱を吸収してくれているのかもしれない。もちろん、サスペンションの設定も込みで、明らかに車体の動きがCB1100や1300SFとは異質。どっしり安定しているというより、もう少し軽くフットワークがいい、そんな印象だった。
 ただ、シートが少し硬めかな、と思った。タンクとつながっているあたりのシェイプがすごくきれいで、シートクッションをナナメにカットして足が降ろしやすいぶん、そのシェイプの終わるあたり、ちょうどお尻を載せる両サイドがダイレクトに、硬く感じられた。もちろん、シートは乗り方や座り方、座る位置にもかかわってくるので、僕のクセもあるんだけどね。
 ちなみにタンデムでもしばらく乗ったけれど、タンデム部分は座面も広くなくてクッションも薄め、グラブバーはシート下にうまく隠されている分、握りにくい、と言われました(笑)。特徴的なリアフェンダーも、背中への泥ハネはなくとも、グラブバーあたりには巻き上げちゃうらしい。やっぱりこの手のタンデムは、エマジェンシーなのかな。
 
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 街乗りもしたし、渋滞も走った。タンデムもしたし、高速道路も走ったし、ワインディングでペースも上げてもみた。1000kmオーバー走って、結果CB1000Rは、つかみどころがないスポーツバイクだった。つまり、何でもハイレベルでこなせちゃう、そんなバイクなのだ。
 ツーリングもするし、タンデムもする、峠も走るし、街乗りもする――そんなユーザーが手にして、満足度が最高に高いバイクだと思う。

 考えてみれば、ホンダスポーツバイクのメインブランドである「CB」って、そんなバイクだ。1969年デビューのナナハンだって、79年発売の750Fだって、高次元にバランスされた万能選手。そこからCBRが、CBXが派生してキャラクターを特化させていく、元になるスタンダードなバイクってこと。
 少し気になるのは、このルックスが少し先を歩きすぎて、オーソドックスさを隠していないかな、ってこと。やっぱり「CB」は、もっとオーソドックスで、オーセンティックな存在でいてほしい、って思うのは僕だけだろうか。
 僕の世代は、CB=カッコいいホンダのバイク、ってイメージ。LEDの丸ヘッドライトはいいさ、ヘアライン仕上げのシュラウドもいい、でもテールカウルは欲しかったし、メーターは2眼、スイングアームは2本がいいな、フェンダーだってテールカウルから伸びてほしいし、立派な四角いテールレンズでね。750FやBIG1のように、ヘッドライト下にダブルホーンがあるのがCBだ、なんてアイコンを守ったりしてね。
 例えばCB1000Fってバイクがあって、それが僕のイメージのようなオーソドックスでオーセンティックなモデルで、その派生が、この「1000R」なのかな。いや、違うな(笑)。
 
 そんなチャレンジもした、新しい「CB」シリーズがどう育っていくのかは、ホンダだけでなく、日本の、いや世界のバイク界の注目すべきところなんだと思う。
 CBってブランドは、それほど重いのだ。
 
(試乗・文:中村浩史)
 
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新世代CBのファーストモデルを意識してか、オーソドックスな丸型ヘッドライトを装着。ただしヘッドライトとウィンカーはフルLEDで、ライトリムにリングランプも採用。


 
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タンクエンドの意匠をわざわざ別建てとしたフューエルタンク。容量は16Lで、取材中の実測参考燃費は街乗り16.96km/Lから高速道路20.47km/Lといったところで、満タン250kmくらいを目安に給油しました。タンク下のサイドプレートとラジエターシュラウドはヘアライン仕上げで、オトナの質感を演出。タンクには、これまたシブい丸ウィング。


 
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シート高は830mmと決して低くはないが、乗車位置あたりのシートサイドのクッションを上手く削り、足つきのよさを確保。タンデムシート下には標準装備のETC車載器と車載工具が内蔵され、タンデムシート裏には荷かけフックとしてフラップが装備されている。ヘルメットホルダーは、同梱のホルダーワイヤーをシート裏に連結するタイプ。


 
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エンジンは旧CBR1000RRの水冷並列4気筒をベースに、燃焼室形状や吸気ポートを拡大するなどのモディファイを施して専用設定。本来はカウルの中に隠れ「見せる」要素のないCBR系エンジンを、金属の質感をアピールしてデザイン。エンジンは出力モードをスポーツ/スタンダード/レインに設定でき、出力特性やエンジンブレーキ&トラクションコントロールを任意に設定できるモードも存在。UP&DOWN両方向のクイックシフトも標準装備。


 
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国内販売のなかった先代CB1000Rと同じく片持ちスイングアーム。マフラーはテールパイプを2本、縦に並べたサイレンサーデザインで、太く低いサウンドが印象的。面白いのはエアボックス上面にスリットを設けて、あえて吸気音を演出していること。アクセルオンオフでキューキュー鳴きます。タイヤはブリヂストンS21で、ハイパーネイキッド的設定だ。


 
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φ310mmのフローティングローターとCBR-RR同様のトキコ製ラジアルマウント式4ピストンキャリパーを採用し、ABSは標準装備。フロントフォークはショーワ製のビッグピストン倒立フォークを採用。左フォークに減衰機構とスプリングを、右フォークにスプリングのみを装備したS.F.(セパレート・ファンクション=機能分離)フォークを採用している。


 
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片持ちスイングアームはご覧のスーパースポーツ的イカツさを表現。ドリブンスプロケットカバーは塗装後に切削加工を施す凝ったデザインで、シリンダーの表面ともバランス。リアサスはプリロード調整が可能で、ダンパー内のオイルと空気が混ざることを防ぐ分離加圧式を採用。インナーリアフェンダーの採用で、雨の日の泥はねも少なかった。


 
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リアフェンダーはスイングアームマウントでテールランプ回りがスッキリ。今回新たに、急ブレーキ時にハザードランプが高速点滅するエマージェンシーブレーキランプを採用。


 
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ギアポジションインジケーター内蔵の液晶メーターは、デジタルスピード+アナログタコメーターの組み合わせで、スピード表示下左に瞬間&平均燃費、消費ガソリン量、平均速度、走行時間を、右にオド&ツイントリップを表示する。ハンドルスイッチは制御切り替えが左に集中し、モードボタンでメーター表示部を選択、上下のセレクトボタンで設定と表示を変更する。スピード表示右のマークは、T=トラクションコントロール、EB=エンジンブレーキ、P=パワーを表し、パワーモード切替ごとに目盛りが変わるギミックだ。


 
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■Honda CB1000R(2BL-SC80)主要諸元
●全長2,120×全幅790×全高1,090mm、ホイールベース:1,455mm、シート高:830mm、●エンジン種類:水冷4ストローク直列4気筒DOHC4バルブ、排気量:998cm3、ボア×ストローク:75.0×56.5mm、最高出力:107kW(145PS)/10,500rpm、最大トルク:104N・m(10.6kgf-m)/8,250rpm、燃料供給装置:電子制御燃料噴射(PGM^FI)、燃費消費率:22.5km/L(国交省届出値 定地燃費値 60km/h 2名乗車時)、16.7km/L(WMTCモード値 クラス3-2 1名乗車時)、燃料タンク容量:16リットル、変速機形式:常時噛合式6段リターン、タイヤ:前120/70ZR17M/C 58W、後190/55ZR17M/C 75W ●メーカー希望小売価格:1,636,200円


 



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