欧州最大を謳うカスタム&ドラッグレースのイベント “Glemseck101”はとにかく速い&熱いお祭りです

ずっと行きたいと思ってたドイツのイベント”Glemseck101(グレムセック101)”に参加することが出来ました。
インターネットから流れてくる情報は、ドラッグレースとカスタムバイクの写真。
それだけを見てると??? な状態なのですが、とにかく盛り上がっている様子だけは伝わってくる。
それは行かねばと、ドイツに行ける日を虎視眈々と狙っていたのです。

■文・写真─河野正士
■協力─ ・

 南ドイツの街/シュツットガルトに近い、一般公道を封鎖して行われるカスタムバイクと1/8マイル(200m)ドラッグレースのイベント、それがGlemseck101です。1950年代にWGPのドイツグランプリが開催された公道サーキット/ソリチュードサーキットの一部を使用して行われ、今年で開催10回目。今回、大変お世話になった主催者Jorg Litzenburger(ヨルグ・リッツェンバーガー)さんや、ここに集まったドイツのカスタムビルダーたちは「欧州最大のイベント」と胸を張ります。

 それもそのはず。昨年は4万人を越える来場者を集め、今年はそれ以上の来場者がつめかけ、一時入場制限も掛かりました。レストラン&ホテル「Glemseck」を中心とした一般道は数kmにわたって封鎖され、その道路そのものがイベント会場となり、二輪メーカーやパーツ&アクセサリーメーカー、ショップのブースが展開され、至るところにカスタムバイクが展示されています。またキャンプサイトもあり、カスタム系キャンプミーティングにドラッグレースがセットされているイメージです。

 メインイベントは1/8マイル(200m)ドラッグレースです。イベント開催3日間中2日間は、午後から夕方まで、さまざまなカデゴリーに振り分けられた個性豊かなマシンたちによるドラッグレースが行われ、参加者はもちろんスタンドを埋め尽くした観客も含め大いに盛り上がります。もちろん、レースは“ガチ”です。この日のために仕上げてきた、0-200m用スペシャルのマシンも多数。でもクラス分けされたマシンの排気量や改造範囲はバラバラで、ちょっとしたフライングなんかもお構いなし。良い意味でユルく、それがまたイイ雰囲気でした。全開で走るバイクたちの爆音と排気ガスのニオイ、そして各所で行われるバーンナウトによって漂う、焼けたタイヤのニオイが気分をさらに盛り上げていきます。

 でも、このドラッグレースによってGlemseck101は欧州最大のイベントとなりました。そもそもはカフェレーサーたちのミーティング的な、ごく小規模なイベントだったのですが、主催者のJorgさんは参加者の意見に耳を傾け、世界中のイベントをくまなく見て回り、そのなかで個性的なイベントに進化させたいと、余興的にドラッグレースを始めたそうです。もちろんこの場所が、歴史的なソリチュードサーキットだったことも、レース開催のきっかけになったと話していました。そしてこの企画は大当たり。回を重ねるごとにレース参加者が増え、開催クラス増設とともにイベント規模も大きくなっていったそうです。

 元サーキットとはいえ公道をメイン会場にしていることから、地元自治体や警察ともしっかり連携を取り、開催されています。イベント終了後は、主催者、地方自治体、警察がミーティングを行い、次回開催に向けての意見交換も行っているそうです。街全体がカスタムバイクイベントをサポートしているなんて、なんとも羨ましい。だからこそGlemseck101は二輪メーカーなどの多くのスポンサード&サポートを獲得し、ヨーロッパのバイクファンが一度は行ってみたいという、ヨーロッパを代表するイベントへと成長したのだと感じました。僕たちも、見習わなきゃ、です!


スペインのカスタムビルダー/Valtoron(バルトロン)のブースに行くと、いきなりビールを渡され、続いて革袋入りのワインのおもてなし。 ワインに合うからコレも、と出てきたのがハモンセラーノ。スペインの生ハムは美味しいのです。 Valtoronが造ったBMW K1600GTカスタム。砂型鋳物を得意とするため、クレーで仕上げた外装をベースに、タンク&シート一体型の外装を鋳物で成型。独特の雰囲気で格好いいのです。
Valtoronはカルロスとパブロの兄弟。その2人はビンテージMXも好きで、その参戦用にフェイスマスクを鋳物で制作。超格好良かったのです。やっと実物が見られた! 砂型から出てきた状態の外装。肉厚もあり、かなり重い。 ヤマハヨーロッパが展開するカスタムプロジェクト、YARD Build(ヤードビルド)のテント。
YARD Buildは最近、欧州のディーラーを絡めたカスタムプロジェクトも展開中で、たくさんのヤマハベースのカスタムバイクが展示されていました。 Glemseck101直前に発表になった、台湾のカスタムビルダー/Rough Crafts(ラフクラフト)が制作したXJR1300ベースのカスタムマシン。 こちらはハーレーのカスタムを得意とし、今年の大阪&東京モーターサイクルショーで発表されたBMW K1600GTLカスタムを手掛けたKEN’S FACTORY(ケンズファクトリー)と日本のデニムブランド/IRON HEARTS(アイアンハート)、そしてヤマハによるYARD Buildカスタム。
この会場で発表になったYARD Buildの新作、スペインのカスタムビルダーEL SOLITARIO(エルソリタリオ)のXJR1300。ポートチューンに加えレクトロンの4連キャブなどを採用。スイングアームとバックステップはOVER製で、排気系はオリジナルフレームでJ-GP2にも参戦するアサヒナレーシングにオーダーしたチタン製フルエキを採用。
↑スポンサーであるBMWのブース。

↗→↘昨年発表したR nineTカスタムバイク4台にくわえ、そのマシンを制作したカスタムビルダー3名を日本から招待しイベントに参加。会場ではエンジンを掛けるたびに人だかりができるほどの人気ぶり。
R nineTカスタムバイクだけのドラッグレースも開催。日本人ビルダーも自ら作ったバイクで参加。現在アメリカ在住でイベントに参加できなかったBrat Style高嶺氏に代わり、BMW Motorradの車体デザインのボス/オラ・ステネガルド氏がBratStyleのマシンで参戦しました。レースは勝ち上がり制で、HIDE MOTORCYCLE(ヒデモーターサイクル)の富樫氏が優勝
46Worksの大ファンで、中嶋氏が造るマシンのクオリティがあまりにも高いため、それをコピーしたくて造ったというドイツ人ビルダーのマシン。 スイスのカスタムビルダー/VTRが造った、ボバースタイルのR nineTカスタムマシン。 こちらもスイスVTRのマシン。R80Policeをベースに、スーパーチャージャーをセットアップ。
元SBKチャンピオン/トロイ・コーサーも来場。エキシビションレースに参戦しました。日本人カスタムビルダーが造ったR nineTに跨がりこのポーズ。翌日のドラッグレースでは自身のエキシビションが終わっても、つなぎ姿のままスタート脇の特等席で、最後までレースを観戦。お好きなのねぇ〜。 R nineTカスタムプロジェクトに参加し、このイベントに招待された3人の日本人ビルダーは大人気。みな気さくに声を掛けてくる。 マシンの後ろに立てかけられる4人の日本人カスタムビルダーの等身大ポスター。その準備中におどけるチェリーズカンパニーの黒須氏。
BMWブース前には「Make Life a Ride」のキャンペーンロゴを、大胆に道路にスプレー。 今回、いろいろとお世話になったBMW Motorradの皆さん。 日中から、メインステージではコンサートが行われていました。夜12時を過ぎても音は鳴り止まず、ビールもドンドンすすみます。
会場で見つけたカスタムマシンたち。レースに参加するために持ち込んだもの、ココまで走ってきたものといろいろ。個人的にはセパハンのカフェカスタムに、大きなバッグをセットした「旅の装い仕様カスタムバイク」が大好物です。
キャンプサイトで見つけた兄弟。お父さん(ハーレーでした)と一緒にこのイベントに参加。ホンダMB-50とPUCH(プフ)というのが良いですねぇ。自分が高校生の時にMB-50に乗っていたよ、と話しかけ、しばし世代と国境を越えた会話を楽しみました。 JAWAのカフェレーサー。日本ではあまり見かけませんが、シンプルで良いですねぇ。
イベント用のポスターを描いたりドラッグレースの進行をしたりしていたイケメン(名前聞き忘れた……)のカスタムバイク。日本の暴○族に影響を受けてカスタムしたそうです。欧州では暴○族スタイル、人気です。 キャンプサイトも大賑わい。ツーリングファンもカスタムファンも、一緒になってキャンプを楽しむ。日本でもキャンプイベントは人気ですので、それにカスタムやレースなど、いろんなバイクシーンがミックスすると良いですね。
トロイ・コーサーがエキシビションレースで駆ったLotus C0-1。実車はもちろん、走ってる姿も初めて見ました。KTM RC8Rのエンジンを搭載。なかなか速かった。注目度も抜群でした。 200mのドラッグレーストラック(といっても封鎖した公道なのですが)を使って、オーナーズクラブ的な人たちの紹介も行われていました。 写真撮らせて!と声を掛けると、ちょっと待って、とかぶり物をしっかり被ってこのポーズ。みなエンターテイナーです。
とにかく格好いい方々。ついシャッターを切ってしまいました。
レーストラックのスタートポジションに設置される藁の固まりが搬入されていました。あえて藁を使うあたり、スタイルも大事にするGlemseck101のこだわりが感じられます。 勝ち上がり選手を書き込むスコアボード。黒板&チョークを久しぶりに見ました。文字の形にもこだわり、レースカデゴリーごとに書き換えられていました。さすがタイポグラフィー先進国、というか古いタイポグラフィーが今も息づくドイツらしい。 スペインのカスタムビルダー/Valtoron(バルトロン)のライダーが被るヘルメット。砂型鋳物を得意とする彼ららしく、ベンチレーションパーツを鋳物で製作。
ドイツのMotoGuzziスペシャリスト/Radical Guzzi(ラジカルグッツィ)のライダーは、古いSHOEIをガムテープでカスタム。雑なのに格好いい。自分がやると信じられないくらいにダサくなるのに……はい、僕は外国にカブレてしまったようです…… Glemseck101のヒーロー、フランスのカスタムビルダー/Lucky Cat Garage(ラッキー・キャット・ガレージ)のセバスチャン。彼が造った、ダストビンカウルを装着したBMWドラッグレーサー/Sprint Beemer(スプリントビーマー)は超速くて、ヨーロッパでは超有名。Glemseck101を大イベントに押し上げたのは、彼の存在があってこそ。今回は誰が彼を負かすかがイベントの裏テーマになっていて「Who’s gonne be CAT KILLER」なんてクラスもできたほど。しかも彼自身が「Who’s gonne be CAT KILLER」のロゴ入りTシャツを造り、皆に配っていました。しかも彼、BMW Motorradフランスの広報マンなのです。 彼がミスターGlemseck101。主催者のJorg Litzenburger(ヨルグ・リッツェンバーガー)さん。巧みな話術でイベントMCをこなし、もちろんレースにも参加。ドラッグ(悪い薬の方ね)に手を染めてしまった子供たちを、さまざまな形で支援する仕事をしているそうです。
レースには「ドイツ対フランス」なんてクラスがあり大いに盛り上がりました。これはレース後の記念撮影。こんなクラス、やっちゃうんですね。もちろん、皆仲良しです。 女の子クラスも有り。しかも皆ガチ勝負で、見事なアクセルの開けっぷり。もちろん男どもはニヤニヤしながら、こんな感じで写真撮りまくりデス。 コースから少し離れたところには大型モニターが設置され、そこでもレースを観戦可能。コース脇のスタンドはずっと満席なので、ここでビールを飲みながら観戦する人も多い。
ツーリングバッグのトップメーカー/SW-Motech(エスダブル・モーテック)も、カスタムシーンに合わせたカジュアルなスタイルの新作バッグ「Legend Gear(レジェンド・ギア)」を初披露。 SHOEIも新作ジェット型ヘルメットを初披露。あえてGlemseck101で初披露するほど、このイベントの影響力が大きいと言うこと。日本では来年以降に発売予定とか。 カメラを向けると、皆イイ表情をしてくれます。
ドラッグレースの最高峰クラス/Sprint International(スプリント・インターナショナル)で勝利した、ヤマハTR-1を駆るSchlachtwerk(シュラクトウェルク)のトーマス。 打倒Lucky Cat Garageクラスの前に、Lucky Cat Garageのセバスチャンが配った自虐ネタTシャツ。 チーズ削り器(スミマセン正確な名前が分かりません…)を使い、粉にしたチョークを水で溶き、それで車体にゼッケンを書く。
ドラッグレースは午後の時間を使い2日間開催。メインスタンドは、常にこの状態。 こんな感じでスタート。マシンはLotus C0-1を駆るトロイ・コーサーと、カワサキH2Rを駆る、イタリアカワサキのテストライダー(女性です!)フランチェスコ・ガスペリ。
彼女もGlemseck101のメインアクトレス。スタートフラッグを振る姿はとにかく格好いい。1日中ジャンプしながらフラッグを振るので、体力的にもかなりしんどいはず。でも最後までジャンプ&フラッグ振りまくりです。 Sprint InternationalのTOP3。優勝はヤマハTR-1を駆るSchlachtwerk(シュラクトウェルク)のトーマス、2位はSprint Beemerを駆るLucky Cat Garage(ラッキー・キャット・ガレージ)のセバスチャン、3位はHolographic Hammer(ホログラフィック・ハマー)のシルヴァイン。シルヴァインは元BMW Motorradのデザイナー。
打倒Lucky Cat Garageを誓い、セットアップを重ねてきたスイスのYoung Guns Speed Shop(ヤングガンズ・スピードショップ)のMotoGuzziレーサー。Young Gunsは今売り出し中の若手カスタムビルダー。 Lucky Cat Garage(ラッキー・キャット・ガレージ)のSprint Beemer。
ビューエルをベースにドラッグマシンを製作したのはイタリアのPLAN B(プラン・ビー)。エレクトリックサスを使用していて、車高調整も簡単にできるそうです。 SchlachtwerkのヤマハTR-1。 Holographic Hammer(ホログラフィック・ハマー)のスズキGSX1200INAZUMA。