「ヨーロッパのカスタムカルチャーは熱かった!!」欧州で話題のイベント「Wheels and Waves」に行ってきた!

6月、念願だった「Wheels and Waves/ホイールス・アンド・ウェーブス」というイベントに参加してきました。
いや〜、いい歳してすっかりカブれて帰ってきました。とにかく楽しい、そして格好いい。
バイクに乗っててホントに良かったと心底思い、もっとガンガンとバイクに乗らなきゃと反省し、このイベントで仲良くなったバイク乗りたちみたいに格好良くなりたいと請い、まるで小学生の夏休み日記のようなものを書いている、遠い目をしている自分が今ココにいます。

■文・写真─河野正士
■協力─Wheels and Waves

 「Wheels and Waves」とはバイクカルチャーとサーフカルチャーを融合したイベント。毎年6月、南フランス・ビアリッツで開催され、今年で開催4回目を迎えました。ハーレーを中心としたカスタムカルチャーとは一線を画し、少し古めの欧州メーカーや日本メーカーのバイクをベースとしたカスタムマシンが中心となり、そのスタイルもカフェレーサーやスクランブラー、トラッカーやボバー、ブラッドスタイルといったニューウェイブのカスタムスタイルが中心となっています。とはいえ、そんな判で押したようなカスタムスタイルは少なく、どれも個性的。スタイルがあること、オリジンであることがココでは重要なようです。


ビアリッツの中心に近い古い倉庫“Garage FOCH”で行われたエキシビション「Art Ride」。カスタムバイクやアート作品が並びます。ここにR nineTカスタムプロジェクトジャパンの4台のマシンも展示されました。

 またオリジンであること、という繋がりでファッションやアートが密接に関わっていることもこのイベントの特徴。イベントのこけら落とし的な屋内のイベント“Art Ride”は、その名の通りバイクとアートを同等にとらえて展示し、それを見ながらアーでもない、コーでもないと語り合う。今回は昨年BMWが日本で展開した、R nine Tカスタムプロジェクトに参加したビルダーが招待され、またヤマハヨーロッパは欧州で人気のカスタムプロジェクト“Yard Build”の新展開を発表。そのマシンを製作したアメリカで活動中のカスタムビルダー・木村信也氏も来場していたのですが、彼らを前に、彼らが造ったバイクのデザイン論議を繰り広げたりと、じつに自由で大らか。もちろんビルダーをしっかりとリスペクトしてるからこその論議だったりするところが面白いのです。


ヤマハヨーロッパが発表したカスタムプロジェクト“Faster Sons”のコンセプトマシンを製作したのは木村信也氏。MT-07をベースにオリジナルのアルミ外装をミックス。

 イベント内容も実に大らかです。4日間の日程で行われたこのイベントは、初日の夜から先にも述べたArt Rideが行われ、翌日はビアリッツからバイクで約1時間の隣町、スペイン・サンセバスチャンの農道を封鎖して行われるドラッグレース“Punk’s Peak”。3日目はオススメコースの地図だけが配られるツーリング。2日目と3日目の夜には、多くの出展ブースが並ぶ“Village”と呼ばれるメイン会場でライブやバーベキューが行われたものの、最終日の4日目はチルアウト・デイと称したまったりとした時間が流れていました。


メイン会場“Village”の中のバイクたち。中央はドゥカティ・スクランブラーのカスタムプロジェクトで発表された、イタリアのアーティスト、ビブラツィオーネ・アートワークスのマシン。ロンドンからビアリッツまで自走してきたそうです。その様子も投稿サイトにアップされています。

 大らかなのは、各イベントのオーガナイズ。Punk’s Peakへの誘導も実に大雑把だし、ツーリングもいくつかのグループが勝手に固まりになってダラっとスタートし、それが散り散りになってもお構いなし。日本のイベントオーガナイザーが見たら目ン玉が飛び出るほどラフだけど、誰もそれを気にしていない。いや、むしろ彼らは誰かにオーガナイズしてもらおうなんて、端っから思っていないようにも感じるのです。だって今年のWheels and Wavesはほとんどの日程が雨に祟られたのですが、各会場は人で溢れ、雨が強くなると屋根のあるところに避難するも、小降りになればワッとそこから出てくる。でも、出てきたからといって何をしているわけでもない。彼らは自分勝手に楽しみを見つけ、堪能しているのです。

ドラッグレース“Punk’s Peak”のひとこま。ここではR nineTカスタムプロジェクトジャパンの4台のマシンとカスタムビルダーがデモランを行いました。真剣なレースというよりお祭り騒ぎ的な競争なのですが、沢山のギャラリーがコース脇を埋めました。

 そんなWheels and Wavesは今年、飛躍を遂げました。それはBMWを筆頭に、ハーレーダビッドソンやヤマハヨーロッパといった二輪メーカー、バイクを取り巻く関連メーカー、バイク乗りと関わりがあるファッションブランドなど多くのスポンサーがつき、バックアップしたのです。これは、このイベントに多くの人が集まるから、という理由だけではありません。
 いまヨーロッパのバイク市場はカスタムに沸いていて、そのマーケットに自らのブランドが存在することが、販売戦略上欠かせないからなのです。カスタムイベントをメーカーがバックアップ!? と、日本なら訝しがられるかもしれませんが、ある程度のリスクを冒してでも手に入れたい果実が、ココにはあると判断されているのです。

ハーレーダビッドソンは、日本でも開催される“STREET750”のディーラーカスタムコンテストのプレスローンチを開催。またBMWはGarage FOCHで、R nineTのスクランブラーコンセプト“Path 22”を発表。カスタムシーンとの強いリレーションシップをアピールしました。

 たった4回の開催で、ヨーロッパのバイクシーンに強い影響力を持つまでに急成長したWheels and Waves。その牽引力は、インターネットです。

 イベントを主催するのは「SOUTHSIDERS/サウスサイダース」という、ビアリッツに近い南フランスの街、トゥールーズを中心にしたバイククラブ。彼らが展開するブログの3周年記念イベントがWheels and Wavesのひな形になっているのですが、集まった仲間たちが今に続くニューウェイブ・カスタムカルチャーの中心人物だったことや、彼らのブログやSNSや動画が世界中を駆け巡り、また彼らが媒介することでその魅力が倍増し、瞬く間に伝播していったのです。

とにかく皆、サービス精神が旺盛で、カメラを構えるとポーズを決めてシャッターが切れるのを待ってくれるほど。単に目立ちたがり屋な気もしますが、このイベントに参加してこのカスタムシーンを盛り上げているという強い自負を感じます。

 物書きがこんなこと言っちゃいけないんですが、百聞は一見にしかず。格好いい熱にやられて朦朧としながらも何とかシャッターを押した写真をまずは見て頂き、動画投稿サイトで「Wheels and Waves」と検索してみてください。モニターを通してでも、その魅力を存分に感じて頂けると思います!