野口オヤビンの夏休み・甲子園表敬訪問と娘の産前見舞いに走りと観光も組み込んだ2014年夏休み欲張りツーリング 後編

ホンダ

ああ、甲子園も雨かいな…

 
 8月16日。6時頃目覚め、窓の外に目を向ける。遠くの山並みには雲がかかり、近場の周囲は霧。まずいな、甲子園も雨かなあ。天気予報は芳しくない。多少の雨でも試合はやるだろう。本日、娘は休みでムコ殿は半日仕事だ。娘に作ってもらったおにぎり弁当を持って7時に出発。車で出勤する優しいムコ殿に阪神電鉄神戸三宮駅まで送ってもらう。初めて乗る阪神電車。特急だか快速にて20分ほどで甲子園駅に到着。2、3駅手前から車窓に青い空が広がりはじめ、陽光も車内に差し込んでいた。まさか晴れるとは…。

 甲子園の入り口はすでに長蛇の列。「中央特別自由席のチケットは売り切れました。1、3塁側の特別自由席かアルプススタンド席をお求めください」とのアナウンス。3塁側の列に並び約10分でチケット入手。1500円也(中央特別自由席は2000円、アルプス席は600円。外野席は嬉しいことに無料開放)。外野からの球場の景色もあとで見てみよう。そう思いながら3塁側入り口の階段を上って座席入り口の通路を抜ける。

 
 ついに来たぜ、甲子園! 外野の芝の緑と内野グラウンドの黒みがかった土とのコントラストが鮮やかだ。観客席を含め球場全体が美しい。5万人近く収容できる大球場だが、テレビで見るよりはややコンパクトな印象で、内野席なのでグラウンドまでの距離も思いのほか近かった。巨大なブーメランのような銀傘の端の下あたりの空席に座る。第一試合はもう始まっていて、雲は浮かんでいるものの陽光射す球場では近江と鳴戸の選手たちが躍動していた。試合は予想外の一方的な展開となり、8対0で近江が勝利。

 城北と東海大望洋の第二試合が始まろうとする頃から雨雲が現れ風も出てきた。最初は小雨だったが、大きな雨粒が風に乗って降り落ちてくる。グラウンドはあっという間に溜まった雨水で光り始めた。雷も鳴り出し、安全も考慮して一時中断。ホームベース上やマウンドにシートがかけられ、選手たちはベンチへ。銀傘の端に陣取ったが、ギリギリで雨をしのげず、持参した折りたたみ傘を広げビニールの簡易カッパも着込む。周囲の人たちもさすがで、席を立つことはせず、傘やカッパを利用し試合再開を待っている。

 数10分で試合は再開されたが雨は降ったりやんだり。日程の関係もあって(台風の影響で開会が2日遅れた)強行せざるを得ないのだろう。悪コンディションの中でも選手たちは懸命に闘い、ユニフォームは1プレーするごとに真っ黒に汚れていく。両チームに拍手、拍手だ。城北が5対3で勝利。厳しい千葉大会で優勝して来たのに望洋、残念。その後も雨は降り続き、当日一番の好カードだと思っていた東海大相模と盛岡大付の試合は天気の様子を見て判断、となった。中止かな? と思いつつおにぎりを食べる。

 20分くらい経過しても試合決行か否かは決まらない。そこで、「一度内野席から出ると再入場はできません」と係員から言われて少し迷ったが、目的のひとつ“甲子園の高校野球観戦”は実現できたし、試合が決行されたら帰ってテレビで見ればいいや、と思って外野席に移動。眺めると、グラウンドのあちこちに土が撒かれている。試合をやる方向で準備は怠らない、というわけだ。外野席を後にし、球場の周囲をひと回りしていたら試合開始を喜ぶ大勢のファンの大拍手。でも俺は翻意することなく甲子園を後にした。


8月16日、8時頃、甲子園に着くともう長蛇の列だった。

第二試合の城北VS東海大望洋戦。雨でグラウンドが…。

第三試合前、小降りのなか、グラウンド整備が行われた。



球場の外に出て、看板の前にて証拠写真。 外野席の高いところから、係員にシャッターを依頼して。

のんびり過ごした日曜日

 駅に向かう途中で娘に状況を知らせ、神戸三宮駅まで車で迎えに来てもらい、帰るとすぐにテレビで第三試合を見る。優勝候補に挙げられていた東海大相模は3対4の1点差で盛岡大付に惜敗。力がある、強いと言われているチームが勝つとは限らない。勝ったチームが強いのだ。その夜は予定どおり外食で、近くに住むムコ殿のお母さんも誘って和食の店に。帰宅して天気予報をみると、明日も関西地方の天候は芳しくない。“大気が不安定で全体的に雨模様、局地的に激しい雷雨も”。もう聞き飽きた文言だ。また雨の中で観戦するのは億劫だし、疲れも溜まっている。明日はテレビ観戦でいいか…。

 8月17日、日曜日。8時前に起き、テレビで観戦。第一試合の沖縄尚学VS作新学院は3対1で沖縄尚学が勝利。第二試合はそぞろな気分で観戦。11時過ぎ、昼食はどうする? と娘に聞くと、近くの喫茶店でサンドイッチセットを食べる、というので俺も同行。その店は昔ながらの“サテン”という雰囲気で風情があり、BGMにジャズを流しているのも気に入った。3人がお好みのセットを注文。予報に反してお天気はよくなり陽が射してきた。テレビで見ていた甲子園も晴れていた。複雑な気分…。食後、俺は車で送ってもらって帰宅し高校野球を観ながらお留守番。ふたりは買い物に出かけ4時頃帰って来た。

 今夜のメニューはひき肉とナスなどの野菜のキーマカレーにトマトと卵のスープ、サラダ、枝豆などつまみ数種。近年、時折自宅でも食事を作ることがあり、味はまずまず。ただ、女房に比べると段取りが悪くて時間がかかる。野球観戦はそこそこに、5時過ぎから準備を始める。自宅と娘のところでは文字通り勝手が違う。調味料の種類や容器、ガスレンジの火の強さが異なる。スープの塩気が強すぎたがなんとか帳尻を合わせ、結果的にはいい味になったのでほっとした。キーマカレーも好評だった。めでたしめでたし。

 6時頃起床。お天気は予報どおりで雲はまだ多かったがお天道様が顔を見せている。7時、ムコ殿が出勤するのを駐車場まで送る。「もうすぐ父親だね、今後も娘をよろしく。仲よくね」。そう心の中で呼びかけつつ「今回はいろいろありがとう、いってらっしゃい」。「子供が生まれて落ち着いたら東京に行きます」。戻ると娘は朝食を摂っていた。赤ちゃんのためにもちゃんと食べないとね。まだ産休前で、本日も出勤だ。いつも7時半頃家を出て、近くのバス停から最寄駅まで行くという。娘が食事している間にNCに荷物を積む。

 7時半、娘と一緒に出る前「もうすぐ母親になるけれど、その前に女であり、妻であることを忘れないように」。歩いて50mほどのバス停まで行くとちょうどバスが来てしまい、挨拶もそこそこに彼女はバスに乗り込んだ。バスを見送る俺に手を振る娘。涙こそ流さなかったが、やっぱり寂しい気分になった。里帰りするのは来年のGW頃だという。


ムコ殿も以前はバイク乗りで、XJR1200に乗っていた。

とりあえず記念にムコ殿とのツーショットも(日曜日昼頃)。

17日に俺が造った夕食。段取り悪く手間がかかった。

琵琶湖畔で観光し中津川泊

 さあ、出発だ。本日、8月18日は琵琶湖周辺を巡って中津川で一泊する予定だ。昨夜のうちに大まかなルートは決めていた。来たとき利用したR428を北上して吉川IC近くまで。晴れていて明るいので15日の夕刻走ったときとは印象が違った。でもコーナーが続くワインディング区間が多いことに変わりはなく、交通量も少ない。快調にNCを駆りコーナリングを楽しむ。吉川から3桁国道や県道を通って琵琶湖までと思っていたが時間がかかるし、大阪や京都周辺は混むだろう、と、吉川ICから中国自動車道に乗り東進。

 陽光が照りつけて暑くなるなか、吹田JCTで名神高速に入って瀬田西ICで降りる。R1から琵琶湖岸のさざなみ街道へ。5、6年前、あるツーリング取材で琵琶湖周辺に来たときこの道を走って、景色のよさと交通量の少なさが気に入り、今回も走ることにした。青い空に輝くお日様の位置が高くなってさらに気温は上昇していたが、琵琶湖の水景色と切る風が涼を与えてくれる。まずは近江商人発祥地のひとつである近江八幡を目指す。「売り手よし、買い手よし、世間よし」。三方よしの思想こそ、商人の心意気だ。

 近江八幡市も一度取材で訪れて、石垣積みの八幡掘りや昔の面影を残す商家の街並みを巡り、再訪してみたいと思っていた。八幡掘りをめぐり、立派なうだつや見越しの松を構えた見事な商家が残る街並みも訪ねる。お盆過ぎの月曜日とあって観光客の姿はまばらだ。昼前、さざなみ街道に戻って彦根に向かう。彦根市はかの大老・井伊直弼で知られる井伊家のお膝元だ。まずは国宝の彦根城に。天守もお堀も、各櫓も見事なものだ。以前の取材時に、時間をかけて城跡内を巡ったので、今回はお堀端を回ってみた。

 1時を過ぎていたので昼飯を、と、お堀端の一角にあった蕎麦屋の暖簾をくぐる。このあたりの蕎麦は“伊吹そば”というらしい。彦根城を訪れる人にお盆は関係ないようで、店は混んでいて10分ほど待つ。おいしそうなおそばのメニューが並んでいた。迷った末に、井伊の赤備えにちなんだ「よろい重そば」を注文。3段の小ぶりの朱塗り椀にそばが盛られ、数種の薬味で異なる味を楽しめる。量は少なめだが味は悪くない。食事を終えたのは2時近かった。中津川の宿には暗くなる前には着きたいと思っていた。

 NCに戻って先のルートを思案。R8からR21とつなぎ、東に進む。米原を過ぎ、伊吹山を左手にみて関ヶ原を通過。上空は晴れ渡り、夏の雲に交じって高みには秋の雲も見える。岐阜前後はバイパス道路で2、3車線区間もあり、順調に距離を稼ぐ。各務原に入るとジェット機の爆音が耳に入ってきた。見上げると自衛隊の練習機らしきジェット戦闘機が一機、また一機と青空を切り裂いている。各務原はゼロ戦の開発・製造にかかわった街で、吉村昭の小説「零式戦闘機」でそれを知った。今も自衛隊の基地がある。

 各務原を過ぎたあたりから行く手の左方向に、見事な積乱雲が3連で膨れ上がっていた。夏らしい、入道雲という表現がぴったりの勇壮さだ。大丈夫だよな、行く先で大雨を降らさないでくれよな。そう願いながらNCを走らせる。土岐でR21と交わるR19を左折。R19も2車線区間があって流れはよく、中津川の市街地から数kmの山中にある民宿に着いたのは5時半頃だった。本日の走行距離372km(高速道路利用約90km)。


琵琶湖岸にて。18日はお天気がよくて暑かった。

さざなみ街道。琵琶湖畔を走るグッドロードです。

今回は寄らなかったけど、さざなみ街道沿いにある道の駅。


八幡掘りにて。ドカ・モンスターのライダーに撮ってもらった。 昔の面影を残す近江八幡の商家の街並み(右側)。


八幡掘りは小型の観光船で巡ることもできる。 近江八幡とさざなみ街道の間にはこんな道も。


お天気がよくなって、琵琶湖の美しさも格別に。 彦根城のお堀にいるブラックスワン。初めて見た。



彦根城の桝形。今や道路がクランク状に通っている。 彦根城は石垣も建物もお堀も美しく立派。通りがかった女子高生にシャッターを依頼した。


↑これが「よろい重そば」。1000数100円だったかな…。

←堀端から垣間見える彦根城天守。

うなぎを食し高速で一気に帰京

 予報はよく、お天気のことは全く心配していなかった。6時前に目が覚めてしまったので外に出てみると、東南の方向に聳える恵那山に薄く雲がかかり、それに朝日が少し当たっていた。きれいな朝焼けになるのかなと期待したが、次第に雲が増して山頂が見えなくなった。朝飯は7時からで、時間があったので散歩がてら近所にある苗木城址に行ってみた。石垣を組み、大きな自然石も利用した立派な城跡が遺されていた。

 7時前に戻って朝食を食べ、荷物をまとめていると、広がり始めた雲間から小雨がぽつりぽつり。でも出発してしばらくすると止んだ。東京までのルートはどうしようか。最終的には東名高速を使いたいが、どのへんから乗るかだ。結局、浜松あたりまで下道を利用することにした。昼飯はちょっと奮発してうな重で決まりだな。R19からR363に入って南下を続け、恵那でR257に。どちらも快調に飛ばせる楽しい道で、山越えのワインディングではコーナリングも満喫。道の駅で一休みし、土産も入手して浜松に向かう。

 その頃には完全に晴れて、蒸し暑い。浜松市内より浜名湖近くのほうがうなぎ屋さんが多いしわかりやすいと考え、県道を走って湖岸に出てから三ヶ日IC方面に向かう。インター近くのスタンドに入り、給油したのは11時半頃だった。その近くの、過去何度か入ったことがあるうなぎ屋に入り、うな重を注文。タレはちょっと濃い目で、うなぎは蒸さない関西系に近いのか東京のそれより少し弾力がある。ボリュームはそれなり。味はまずまず。テレビで高校野球を中継しており、食後もしばらく画面に目を向けていた。

 1時頃、東名高速に乗る。4時頃には帰れそうだな、と思いながら快調に走る。清水付近でちょっと渋滞し、御殿場手前では俄か雨にも降られたが、カッパは着ないですんだ。鮎沢Pで休憩。空は青く白い雲が浮かんで、蝉の声も賑やかだ。東京まであとひとっ走り。前半は天気に翻弄されたが、後半は好天に恵まれた。終わりよければすべてよし、かな。ほぼ予定時刻に帰宅。本日の走行距離428km(高速約250km)。


中津川の宿近くの苗木城址。立派な山城跡だ。

宿の庭から見える恵那山。19日朝、出発前。


R257。ワインディング区間が多く、面白い。 19日の昼飯のうな重。食べる前に撮るのを忘れ、途中で気付いて。

 今夏の欲張りなツーリングも事故やトラブルはなく、予定通り終了した。NCは終始快調で、NCだったから後半も疲れが少なくて済んだと思う。甲子園もよかった。娘たちと過ごした数日も楽しかった。走り終えたばかりで少し疲れているけど、一晩寝れば…。さてと、明日からまたテレビで甲子園の高校野球を見るぞ! 一番面白いと言われている順々決勝4試合も数日後で、楽しみだ。野球馬鹿オヤジの夏はまだ終わらない。

*総走行距離は6日のうち実走4日間で、1680km(出発時オドメーター4281km、帰宅時オドメーター5961km)。トータル燃費は31km/L。


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