野口オヤビンの夏休み・甲子園表敬訪問と娘の産前見舞いに走りと観光も組み込んだ2014年夏休み欲張りツーリング

ホンダ

ん? 神戸といえば甲子園だな……。

 
 ♪雲~は~わ~き、光あふ~れ~て……。降り出した雨を吹き払うように、憂鬱になりそうな気持を鼓舞するように、NC750Xで中央高速を走りながら、夏の全国高等学校野球選手権大会の大会歌「栄冠は君に輝く」を大声で唸った。

 子育てが終わりかけてから夏休みツーリングを再開し、ここ10数年、毎年出かけている。ソロの時もあれば息子やバイク仲間と一緒のこともあった。どこも混雑するお盆の時期を避けて、8月下旬頃にスケジュールを組んだ。期間は1週間前後。行く先は7割方東北方面だったが、中部や中国・四国にも行った。今年はどうしようかな…。

 以前から野球が好きで(特にプロ野球と高校野球)、50歳前後からは夏の甲子園への代表を決める東西の東京大会はもちろん、都の春季、秋季大会の試合にも足を運ぶようになった。近所の駒沢球場には歩いて、神宮球場、神宮第二球場大田スタジアムなどにはバイクで。去年は府中市民球場にも初めて行った。草野球は10代の頃から最近までやっていた。でも高校野球の経験はない(甲子園に憧れて硬式野球部のある高校に進学を試みたが、失敗)。自分でもなぜこんなに野球が好きなのか、よくわからない。子供の頃を顧みて、「巨人の星」の影響が強いのかもしれない。

 5月頃「そうか、去年娘が神戸に嫁いだし、子供も授かったから(出産予定日は10月2日)、産前見舞いを兼ねて、球児の聖地、憧れの甲子園に行ってみるか」。6月下旬、その娘が休みを取って里帰りしたとき「この夏、ツーリングしながら甲子園に行って観戦してみようと思う。産前のお見舞いも兼ねて。2、3泊させてほしいけどどう? 土日がらみがいいのかな、やっぱり」。「いいよ、いつでも。夕食をお父さんが作ってくれると嬉しいな」。

 8月に入って娘やムコ殿の都合、甲子園の試合日程、自分の仕事の状況などを勘案して日取りを決め、娘に電話して了解を得た。木曜日の14日に出発し、火曜日の19日に帰宅する、5泊6日の旅程だ。高速を使えば神戸までの600kmも1日で楽勝だから、直行直帰なら3泊4日で、2~3日目は終日甲子園で球児たちの熱戦を観られる。でもそれなら新幹線のほうが楽だし、味気ない。やっぱりバイクでの旅も楽しまないと。そこで初日は奥飛騨あたりで1泊。15日、若狭を回って神戸の娘夫婦宅に。3泊させてもらい、帰路は琵琶湖周辺を観光した後、木曽あたりで1泊し、東京に戻ることに決めた。
 

カッパを着たり脱いだり……。

 
 数日前からお天気が気になっていた。西日本を中心に水害などをもたらした台風11号が去って、予報では14日以降はしばらく好天のはずだった。だが前々日には予報が変わり14~15日は西日本から東日本まで広い範囲で曇りや雨になるという。お天道様に行く先の好天をお願いしつつ、13日夜、就寝。14日朝、6時頃目覚める。準備しておいた荷物をNX750X(DCT仕様ABS付き)に積み、女房に見送られて出発。当初は当然自分のサンダーバードで行くつもりだったがNCで行ってみたら、と薦められ、お借りすることにした。願いを聞き届けてくれたのか、雲は多いものの、薄日もさして「よし!」。



14日7時過ぎ、曇天の下、女房に見送ってもらい、出発。 便利なラゲッジボックス。雨の旅程、本当に重宝した。

 奥飛騨までのコースはお天気次第で柔軟にと思っていた。とりあえず用賀ICから東名高速に乗る。海老名に近づくと西の空には灰色の雲。太平洋沿いはどうなのかな。御殿場あたりで雨になるかも。そこで海老名JCTから圏央道を経て中央高速に。圏央道ではお天道様に照らされて、ウキウキ気分に。でも中央道に入って北西に進路を取ると次第に雲が多くなり、進むほどに雲は厚くなった。雨さえ降らなければ、曇りなら御の字だ、と思いながら先に進む。甲府を過ぎ、9時前、双葉SAに入って一服し軽食も摂る。まだ天気は持ちそうだ、よしよし。と思って出発したら10分もしないうちにとうとう降り出した。



木曽~飛騨間の山中のスタンドにて、燃費計測のため自分で給油。 岐阜県道87号線、山の中にきれいな牧場があった。

 小雨じゃなくて本降りだ。こんなことなら双葉SAで着ておけばよかった、と後悔しながら樹木下の路肩にNCを停めてカッパを着込む。諏訪ICで降りて国道152号線で伊那へ。数年前、飛騨に行くとき通って、気に入っていたルートだ。伊那の高遠からR361を右折。R19をしばらく南下し、道の駅「日義木曽駒高原」で一服。雨は強くなったり弱くなったりで止む気配はまったくない。終日カッパ着用を覚悟して、木曽路を離れ、R19からR361に再び入り、御嶽山の東北麓を通って高山方面に向かう。

「あ~あ、晴れていれば気持ちのいい道で景色もいいのになあ」。思わず愚痴が出る。が、いかん、と思い、♪雲~は~わ~き~、光あふ~れ~て…。いくつかトンネルを抜け、長い権現トンネルを抜け出る。と、陽光の出迎え。やったぜ! 一気に元気が出る。NCの燃料計が点滅し出したのでペースを少し落とし、数10km走ったところにあった山の中のスタンドで給油。燃費を計測すると概算で約32km/Lと良好だ。スタンドのオヤジさんと(と言っても俺より若いと思う)世間話をしながら休憩し、もちろんカッパも脱いだ。

 テレビ中継の高校野球も少し見て、スタンドを出たのは昼頃だった。しばらく進んで道の駅「ひだ朝日村」に寄る。青い空に白い雲が浮かび、暑い。食堂に入って“朝日ラーメン”を食す。味はまずまずだが、量がお上品だった。その後、お盆時期の高山市内が混むことは知っていたので、市街地に入る手前の県道87号経由でR41へ。悲しいかな、好天は長く続かず、また雨が降り出してカッパ着用。めんどくせえなあ…。

 下呂の手前でR41からR257へ乗り入れる。R472にぶつかったところのバス停でバイクを停め、しばし思案。雨は上がっていた。まだ4時過ぎで、投宿するにはちょっと早い。宿とは逆方向になるけどせっかくだから連載コラムでも書いたお気に入りのを走ってみようと決めて、R427を高山方面へ。お盆だったが交通量は少なく、渓流沿いのワインディングを気持ちよく走る。数10km行ったところで折り返し、国道から県道を右折。郡上市・明宝地区の山間にある民宿に着いたのは5時半頃で、客は俺一人だった。本日の走行距離488km(うち高速約190km)。


県道や3桁国道の峠越えではこんな感じの道も多い。

せせらぎ街道の郡上寄り、R257との交差点。宿はもう近い。


せせらぎ街道の高山寄りにある看板。証拠写真です。 渓流沿いの美しい道、せせらぎ街道。次はぜひ秋に訪れたい。

ワンボックス、ナイスプレイ!

 
 2日目。夜半頃からまた降り出した雨は朝になっても止んでいなかった。6時に布団から出てテレビで天気予報を見る。雨脚は弱くなったり強くなったり。周囲の山には雲が垂れ込めている。予報は芳しくない。7時に朝食をいただき、8時前、腹を決めカッパを着込んで出発。R427で郡上まで行き、そこからR156に入って白鳥へ。雨は次第に強くなり、R158を左折して九頭竜湖脇を通る頃は半端ない雨量になった。6、7年前、中国・四国に3人でツーリングした初日、同じルートで越前方面に抜けた。お天気がよく景色もきれいで、交通量は少なく快適に走れた。同じ道でもその時とは雲泥の差だ。

 我慢の走行で大野市を目指す。トンネルを抜け市街地に近づくと雨が上がった。期待してなかったので、いいぞ! と喜ぶ。ただ、長く続かない可能性が高く、乾かす意味もあって、カッパは着たまま、R476を選択して南越前市に向かう。小さな峠越え区間はまるで舗装林道だ。山間を縫う3桁国道にはよくあることだが、そんな道も面白い。道を少し間違えて越前市からR8に入って敦賀湾を右手に見て海岸線をしばらく走る。陽が射してきた。海水浴客で賑わっている入り江もある。敦賀からR27にスイッチ。数年前、訪れた小浜を目指す。昼食は以前食して気に入った名物の焼サバ定食を、と決めていた。

 うろ覚えだったが、小浜公園近くにある食事処にたどり着いた。また小雨が降ってきた。店に入ると「すみません、今日は予約の方だけなんです」。なんだよせっかく来たのに…。「近くでほかに焼サバ定食を食べられる店ありますか」。2軒紹介してもらった。1軒はその店のすぐ近くだったが混んでいて1時間待ちだという。踵を返し、数100m離れたフィッシャーマンズマーケット内の店に行く。お盆なので土産物などを買う客で満杯状態だったし、焼サバ定食が食べられる食堂はやはり1時間待ちとのことで、諦めた。

 マーケット内にはフードコート的スペースもあって、テレビで高校野球をやっていたので、焼サバ寿司とお茶を買い、観戦しながら昼飯を摂る。焼サバ寿司も小浜の名物のひとつで、美味い。もう2時半くらいになっていた。食べられなかった焼サバ1本を土産に買い、港を後にする。一気に神戸に向かうつもりで、郊外のスタンドに寄って給油。スタッフに神戸までどのくらいかかるか尋ねると、下道だと4時間、高速でも1車線の対面通行区間がい多いので、3時間くらいみておいたほうがいいという。そのときもう3時になっていた。娘夫婦とは6時すぎに最寄駅で待ち合わせていたので、急がないと。


2日目のR476、きれいな景色に足を止め、駐車していた軽の青年にシャッターを頼んで。

焼サバ定食を求めて小浜公園近くの店に行くも…残念。


焼サバ定食を諦めて、焼サバ寿司でお昼ごはん(税込1080円)。 フィッシャーマンズマーケットのある小浜港にて。若狭はいいところです。

 空模様も芳しくなく、周囲の空は雲に覆われ、今にも降り出しそうだ。カッパのズボンは着たままだったが上着も着て、NCにまたがり、小浜ICから舞鶴方面に向かう。すぐに雨が落ちてきて本降りに。ひたすら我慢の走り。でも福知山あたりから雨は上がってくれたし、2車線区間になったので少しペースアップ。すると、姫路ナンバーの速いワンボックスがミラーに映ったので先を譲り、後につく。いいペースで走っていると、ワンボックスが急に速度を緩めた。ふと走行車線に目をやると、紺のクラウン。特殊車両のようだ。

 ワンボックスはそのクラウンの後ろに、俺はワンボックスの後ろに入る。しばらくおとなしく走っていたが、+10km/hくらいで何台かの車がクラウンを追い越していく。ワンボックスも同じように追い越し車線に出て、俺も後を追う。追い越しざまクラウンに目をやると、やはり制服を着た男性が二人乗っていた。ワンボックス、ナイスプレイ! ありがとう、おかげで助かった。吉川JCTで中国道に接続。ワンボックスは姫路に帰るのだろう中国道を西へ。俺も付いてゆき、吉川ICで降りることにした。ICを出る前に横に並び、サムアップ。顔ははっきり見えなかったが、40代後半かと思われるドライバーはニヤッと笑って手を振った。

もうカカトで蹴ったりするだろう。

 
 吉川ICで降りてR428を南下する。3桁国道なので盆の時期でも空いているだろうと読んだが、的中。それに低中速コーナーが続く区間が多く、面白い。待ち合わせの駅までは20kmほどだ。雨は上がったままだったが雲は多く、いつまた降り出してもおかしくない空模様だった。それにしても、2日連チャンでカッパを着たり脱いだり、なんて、過去あまりなかったことだ。そりゃ、終日振られ続けるよりはありがたいけど…。

 神戸市に入り、待ち合わせの駅を目指すが、去年秋の結婚式のときは新幹線で行って車で移動したため、駅の所在が不明瞭だった。事前に調べておかず、なんとかなるだろうと思っていた。信号待ちで止まっていた軽の若者に聞くと「じゃあ、近くまで行くので付いてきてください」と言ってくれた。15分ほど走ると駅の近くに到着。若者にお礼を言って駅前に。NCを停めてヘルメットを脱ぎ、娘に電話するともうすぐ着くという。

 一服していると車が到着し二人が降りてきた。娘とは2か月ぶり、ムコ殿とは結婚式以来、10か月ぶりの再会だ。車の後について少し走り近くのスーパーへ。今夜と明後日の夜の食材を仕入れるためだ。身重の娘に夕食を作ってほしいと言われたときから、初日と3日目の夜に食事を作り、2日目の夜は外食、と決めて、その旨を出発前に娘にも話しておいた。買い物をすませて娘夫婦の住居に着いたのは8時近かった。NCを駐輪場に置いて持って行ったカバーをかける。本日の走行距離392km(うち高速約100km)。

 夕食のメニューは烏賊とシメジの和風スパゲティにトマト&レタスサラダ。枝豆などつまみ数種。それに小浜で買った焼サバ1本。料理がほぼ出来たところで後は娘に任せ、俺が風呂に入ってから食卓を囲む。ビールがうまい! 食後「どれどれ、赤ん坊はもう動くだろう、カカトで蹴ったりするだろう」。娘や息子たちができた時のことを思い出して、思わず顔をほころばせてしまう、もうすぐジイさんになる俺だった。まあ、男でも女でもいい、元気な赤ちゃんであれば…(娘の顔があまりきつくなってなかったから、女の子かな)。

 さあ、明日はいよいよ念願の甲子園だ。お天道様、お天気よろしくお願いします。そう祈りながら、12時頃、布団の上で横になった。(後編は9月下旬公開の予定です。しばらくお待ち下さい)



娘とムコ殿。第一子誕生に期待と不安と…。大丈夫だよ。 初孫となる赤ちゃん、元気に育ってますか~、と、もうすぐジイさん、の俺。


ツーリングは快適で最適だが、あえてDCTに言わせてもらえば。
NC750Xショートインプレッション



 NCシリーズの“X”は700の時から気に入っていて、ツーリング好きの自分に合うと思っていた。アップライトなライポジで疲れが少なく、荷物が積みやすくてラゲッジボックスも重宝する。実際、今回のツーリングでも、雨の峠道や高速走行も含めてNCだから疲れが少なくて済んだと思う。ラゲッジボックスも防水だから濡れて困るモノを放り込め、出し入れしやすいので助かった。燃費も31km/Lを超える優秀さで、レギュラーガソリンでOKだから嬉しい。燃料タンクおよび給油口はリアシート下なので、給油時は積んでいる荷物を降ろさなければならない。面倒かなと思ったが燃費がよく、1日一度の給油で間に合ったので、苦にならなかった。ツインエンジンはよく出来ていて、実用上充分な性能を有し、低回転域はテイスティなフィーリングもある。ハンドリングは素直で倒し込みがスムーズだしバンキング中の安定性も高い。サスやブレーキの性能には文句がない。だから低速から中高速コーナーまで楽しめる。また、シートの座り心地もよく、長時間ライドでも尻が痛くなりにくい。
 保守的なアナログ人間なので、バイクはギアチェンジして乗りたい、と思っている。ただ、DCTを否定するつもりはない。元気よくスポーティに走ろうという気にならない、我慢しておとなしく走らなければならない状況下で、DCTは有効だった。何度かSモードやマニュアルモードでも走ってみたが、結局は面倒でほぼドライブモードで走った。気になった点もある。乗り手の感覚に反してシフトアップすることが多々あり、加速時もエンブレを使いたいときもそうだから困惑した。高速走行での追い越しでもアクセルを普通に開けた場合、加速力が若干鈍い。大きめに開けても1速シフトダウンするだけなので素早い追い越しができない。慣れると楽だからつい依存して、その点が気になった。改良の余地はあると思う。加えて、エンジンのレブリミットがあと1000回転高くても……。と、注文もあるのだが、総合的に見ればよく出来ていて、長距離ツーリングにも適している魅力的な一台だと実感。

●NC750Xインプレッション記事は。



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