ブースカのスズキVストローム250 ABSサマーツーリング クォーターをなめんなよ! 令和元年(=ゼロ)記念 1泊2日福島県ひと筆書き一周ツーリング パート1:ファーストインプレッション

●文&撮影—毛野ブースカ
●撮影協力—玉井久義
●取材協力─スズキ 

 スズキを代表するアドベンチャー/クロスオーバーバイクと言えばVストローム(V-Strom)シリーズだ。現在私の愛車はホンダのアドベンチャー/クロスオーバーバイクである400Xだが、実はちょうど4年前、その前に乗っていたスズキジェベル250XCから乗り換える時に、大型二輪免許を取得してVストローム650に乗ろうか真剣に考えた時期があった。私はアドベンチャー/クロスオーバーバイクのようなスタイルが大好きで、Vストローム以外にもホンダのアフリカツインや、ちょっと古いがトランザルプ400、カワサキのKLE400などを候補に挙げたこともあった。運よくいい出物が見つかって400Xにしたわけだが、今回試乗したVストロームシリーズの末っ子であるVストローム250がもし4年前に出ていたら、当時スズキ乗りだった私は間違いなく買っていたはずだ。実際にはVストローム250はその2年後に発売され、複雑な思いを抱きながらずっと気になっていた存在だった。ということで、気になる隣人(?)であるVストローム250にわずかな間だが浮気してみた。 


↑現在の愛車であるホンダ400X。尖った形状のフロントカウルなどデザインも似ており、排気量こそ違えど同じアドベンチャー/クロスオーバーバイクのライバルと言っても過言ではない。乗り心地や使い勝手など比較してみよう。

←かつての愛車であるスズキジェベル250XC。すでに手放してしまったが9年間で約10万キロを走破し、全国を旅をした思い入れのあるバイクだ。今回は当時を振り返りながら進化した部分などをチェックしてみたい。

 スズキのVストロームシリーズは現在、1000/1000XT、650/650XT、そして250/250ABSがラインアップされている。「V」という名称のとおりVツインエンジンを伝統的に搭載し、250のみGSX250Rと同系なのでパラレルツインとなっている。スタイルはいわゆるアドベンチャータイプ。250もそのスタイルがしっかり継承されており、市販二輪車で世界最大の単気筒エンジン(800ccの油冷!)を搭載した名車・DR800Sを彷彿させる鳥のくちばしのような形状のフロントカウルを採用している。そのおかげで250ccとは思えない存在感を放っている。今回試乗したモデルはパールネブラーブラック/ソリッドダズリンクールイエローのコンビネーションカラー。フロントカウル両側には機種名が書かれたデカールが誇らしげに貼られており、丸型のヘッドランプを相まってなかなかのイケメンだ。
 車体サイズは大きく、一見すると250ccクラスには見えない。私の400Xと並べてみると全長はほぼ同じか、ちょっと大きいくらいだ。数値で見ると400X(2014年式)が2,085mm、Vストローム250が2,150mmでVストロームのほうがやや大きい。一方、重量はカタログ上では189kg、400Xは192kg、ジェベル250XCだと139kg。400Xとほぼ同じで、ジェベル250XCより50kgも重い。確かに押してみるとドッシリしており、400ccの400Xとオフ車のジェベル250XCとは単純に比較できないが、このサイズ感と重量は走行フィーリングに大きく影響を与えるはずだ。
 サイズは大きめだが、長距離ツーリングを意識したシートはクッションが効いており、ポジションは楽、スリムで足着きは非常によく、小柄な方や女性でも安心して跨げるはずだ。このあたりは割り切った形状のジェベル250XCの比ではない。タンクの容量は400Xとジェベル250XCと同じ17リットル。250ccクラスとしては異例の大きさだ。長距離ツーリングにこれはありがたい。気になる燃費はツーリングを終えた後でお伝えしよう。
 アドベンチャー/クロスオーバーバイクに不可欠な高い防風性を備えたウインドスクリーンに加えて、ナックルカバー、大型リアキャリア、サイドケースアタッチメントを標準装備。さらにメーター左側下部にはDCソケットが付属しており、スマホの充電などが可能。これは旅人にとっては嬉しい(特に電源が確保できないキャンプツーリングだとこれは重宝するはず)。こうした装備は後付するとソコソコの金額と手間がかかるので、あらかじめ付属していて車輌本体価格に含まれているのは大きなアピールポイントだ。フル液晶ディスプレイの多機能メーターは見やすく、400Xにはないギアポジションインジケーターがあるのにはちょっと嫉妬してしまった(ちなみに現行の400Xには装備されているとのこと)。これでメーカー希望小売価格が602,640円、トップケースやサイドケースを合わせても70万円台で済んでしまうとはお買い得なのではないだろうか(400Xの場合、全部込みだと3ケタに到達する…)。

 見た目の印象はバッチリだが、走りはどうだろうか。バイクを預かって乗り出した時の最初の印象を一言で表わすなら「穏やか」。最高出力は18kw(24ps/8000rpm)最大トルクは22N・m(2.2kgf・m/6500rpm)、ちなみに400Xは34kw(46ps/9500rpm)37N・m(3.8kgf・m/7500rpm)、ジェベル250XCは22kw(30ps/8500rpm)27N・m(2.8kgf・m/7000rpm)となっており、これも単純には比較できないが、パワーと重量から考えるとマイルドな性格と言ってもいいかもしれない。今さらだが数値上ではジェベル250XCは意外とパワフルなバイクであることがわかる。確かにそんな記憶もあり、ちょっとじゃじゃ馬的な一面もあった。それからすればVストローム250はかなり洗練されて乗りやすく音も静かで、令和時代にふさわしいバイクなのだろう。
 ギアは400Xやジェベル250XCと同じ6速で、中低速トルク域が使いやすく、無理なくスムーズに加速する。ボディの大きさが功を奏しているのだろうか、ドッシリしているのでふらつくことがなく、ハンドリングしやすい。見通しがよく足着きもいいので、急な操作にも対応しやすい。ジェベル250XCと400Xを乗り継いできている人間からすると、ちょうど中間的な走り心地で扱いやすい。アドベンチャーな見た目だが都会派の一面も兼ね備えている。都市近郊への通勤・通学でも使いやすいはずだ。しかし、このバイクの主戦場はやはりツーリングだろう。ということで、高速走行やワインディングでの走行フィーリング、実走燃費、装備の使い勝手を確かめるべく、久々にハードな1泊2日のツーリングに出かけてみよう。





車体色はレーシーな雰囲気を漂わせるパールネブラーブラック/ソリッドダズリンクールイエロー。それ以外にパールネブラーブラックとダイヤモンドレッドメタリックが用意されている。兄貴分である1000や650の持つスリムなフォルムを踏襲しており、鳥のくちばしのようなフロントカウルがアイコンとなっている。一見すると250ccには見えない。


かつてのDR800Sを思わせるようなデザインのフロントカウル両側には「V-Strom」のデカールが貼られている。

さらにその後ろ、タンク両側には「SPORT ADVENTURE TOURER」とライダーを旅へと誘うデカールが貼られている。 今回試乗したモデルはABSが標準装備されている。フロントタイヤのサイズは110/80-17M/C 57H、ペダルタイプのディスクが採用されている。


ジェベル250XCと似た丸型のヘッドランプ。ヘッドランプ外周は某社の腕時計を思わせるようなタフなデザインを取り入れている。 ナックルカバーもアドベンチャー/クロスオーバーバイクに欠かせない装備。ハンドル先端までステーが伸びており、高い防風性と倒した時のレバー類の保護に役立つ。
各インジケーターが見やすく配置されたフル液晶ディスプレイの多機能メーター。ギアポジションインジケーターがついているのが個人的に気に入った。ジェベル250XCとは比較にならないほど豪華だ。 メインスイッチをオンにすると一瞬だけ「READY GO」を表示されるニクイ演出も。旅人のやる気スイッチもオンになる。 夜間はバックライトがブルーに光る。走行中でも各インジケーターが確認しやすい。ターンシグナルインジケーター(=ウインカー)は上下両端が光る。


アドベンチャー/クロスオーバーバイクにふさわしい装備のひとつであるウインドスクリーンが標準装備されているのは嬉しい。コンパクトだが防風性と視界を両立させている。 エンジンはGSX250Rと同じ水冷4ストローク2気筒SOHC2バルブのパラレルツイン。プロジェクトタイプのスパークプラグは両側に露出しており整備しやすい。ギアは常時噛合式6段リターン。


メーター左側下部にDCソケット(12V)が標準装備されているのも旅人には嬉しい。 タンクバッグなどが装着しやすい鉄製のタンク。容量は17リットルとなっており、まさに長距離ツーリング向け。
フューエルタンクキャップはタンク真上に付属しており、樹脂製のキーカバーを跳ね上げるとキーの差し込む口が現れる。フューエルタンクキャップはヒンジタイプになっており、なかなか凝ったデザインだ。


両側をシュラウドに覆われたラジエーター。ちなみにジェベル250XCは油冷だったのでオイルクーラーが付属していた。 エンジンとエキゾーストパイプを保護するように鉄製のエンジンガードが装備されているのもアドベンチャーバイクらしい。


専用サイドケースとのコンビネーションを考えてデザインされた異型断面形状のサイレンサーを採用した2-1エキゾーストシステム。 メンテナンスに便利なメイン(センター)スタンドに加えてサイドスタンドも付属している。400Xはメインスタンドはオプション扱いなので、ちょっと羨ましい。


一体型のシートは座り心地がよく実際に長距離ツーリングでもお尻が痛くなりにくかった。小柄な方でも足着きは確保されている。 アドベンチャーバイクに欠かせないリアキャリア。別売のトップケースプレートセットを装着することで専用トップケースが搭載可能になる。高さはシートと平行になっており、荷物がセットしやすい。


リアキャリアには荷掛けフックが付属している。今回のツーリングでは写真のように防水バッグをテンションコードでくくりつけたが、フックの外側がテーパー状になっているので、コードを掛ける時にちょっと工夫が必要だ。


前後とも10本スポークのキャストホイールを採用。リアタイヤのサイズは140/70-17M/C 66Hとなっている。 視認性に優れた面発光LEDを採用したリアのテールランプ。マッドガードも長くてしっかりしたデザイン。
身長170cmほど、体重76kgの筆者が跨ってみたところ。足着きは良好で、ハンドルはプルバック形状なのでライディングポジションはとても楽。視界も広く確保でき、長距離ツーリングでも疲れない。正面から見るとウインドスクリーンが高い位置まできているのがわかる。


我が愛車ホンダ400X(写真奥)とVストローム250を並べてみたところ。尖ったフロントカウルなど全体のデザインは似ており、重量もほぼ同じくらい。わかりにくいかもしれないが、Vストローム250のほうが全長がちょっと長い。 アドベンチャー/クロスオーバーバイクにふさわしい装備の充実さにちょっと嫉妬してしまった。しかし、そんな装備も旅をしてこそ意味がある。真の実力を試すべくツーリングに出発だ!

[パート2は7月中旬に公開予定ですしばらくお待ちください]

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