Kawasaki Z400試乗

 
昔はヨンヒャク速かったよな、いま2気筒なんだって?
そういうおじさまは少なくない。
でも信じちゃだめだぞ、そのおじさまはきっと
このZ400に乗ったことがないんだから!

■試乗・文:中村浩史 ■撮影:赤松 孝/南 孝幸
■協力:カワサキモータースジャパン 

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ライダーの身長は178cm。(※写真の上でクリックすると、両足➝片足、片足➝両足着きの状態が見られます)

 

――ここんところのニューモデルで、いちばん印象に残ったバイクってなーに?
 職業柄、ほんとにこんな質問をされることが多い。そんなこと言われたって、魅力的なモデルはたくさんあるんだし、そんな1台だけ突出してることなんてまれなんだけれど、そうか、1台アレがあったか! 去年、いつだったか聞かれた時、こう答えたことがあったのだ。
「Ninja400がよかったなー!」
 
 Ninja400はコチラ<http://psp-traumland.info/?p=141600>で試乗、紹介文を書いたことがある。その時ぼくは、「Ninja400は、400ccクラスのマーケットを一変させるかもしれない可能性を秘めたニューモデルだ」と結んだ。それほど、近年の400ccモデルとしては出色の出来だったのを強烈に覚えている。
 Z400は、そのNinja400のネイキッドバージョン。2018年2月に発売されたNinja400がフルカウルモデルだったのに対して、当然あとからラインアップされるだろうと思われていたノンカウルモデルのZ400の発売が、2019年の2月まで待たなければならなかったのだ。ぼくは、本命登場だと思った!
 Ninja400の項でも書いたように、このカワサキの新400cc兄弟は、基本設計をNinja250/Z250と共通とし、乱暴な言い方をしてしまえば「250ccの車体に400ccのエンジンを積んだ」モデルだ。これまでの250cc/400cc兄弟モデルと言えば、ほぼ例外なく「400ccの車体に250ccのエンジンを積んだ」仕様だったのに対し、このNinja兄弟は真逆。ここが、新Ninja400/Z400のエポックメイキングなところだ。
 
 ちなみに先代のNinja400R(車名末尾に「R」がついていた)は、車体、エンジンとも、海外向けの650ccをベースとしたモデルだった。水冷並列2気筒エンジンを積んだ、ER-6ベースの、あの旧Ninja400Rです。最高出力は44ps、車重は211kg、ホイールベースは1410mm、これが650ccと共通だったのだ。
 その旧Ninja400Rに対して、新型Ninja400は出力は4psアップに留まるけれど、車重は166kgとなんと45kg減! これは、小柄な女性ひとり分軽い、ってことだ。ホイールベースも1370mと40mm=4cmも短い。
 ちなみに、ぼくが動力性能の目安としてよく見る「パワーウェイトレシオ」(=1psがどれだけの車重をカバーするか、って数字。当然、数字が小さい方が軽くて力がある、ってことになる)も、旧Ninja400Rが211kg/44ps=4.80kg/psで、新Ninja400は167kg/48ps=3.48kg/ps。ちなみに400cc専用設計のベストセラー、ホンダCB400 SUPER FOURは201kg/56ps=3.59kg/psで、レーサーレプリカ世代の馬力規制メいっぱいだった1991年型ZXR400Rは159kg/59ps=2.69kg/psだった。やっぱりスゴい数字だ。

 

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 そしてZ400は、期待にたがわぬパフォーマンスを見せてくれた。まず、軽い! そりゃそうだ、250ccクラスのモデルとしても軽いZ250より2kgしか重くないんだもの。Z400にまたがってサイドスタンドから引き起こすと、スッと、まるで中身が入ってないデモ車のよう。
 走り出しもスッと軽く、加速も軽やか。先代のNinja400Rが穏やかなレスポンスとどっしりした安定志向の車体だっただけに、新Ninja400はキャラクターも真逆だ。とにかく45kg減量、250ccとほぼ同じ車重というのが効いているのだ。
 当然、Ninja250/Z250と比べて+150ccの分、パワフルで余裕がある。パワーを絞り出していないというか、回転を上げなくても前に進む感覚が、やはり250とは段違い。ゼロ発進も高いギアのままの加速も、もちろん全開加速もスルドい!
 CB400 SUPER FOURでも感じないような軽さ、力強さだ。その意味でも、現行400ccモデルの中では頭ひとつ抜けたパフォーマンスなのだ。
 アクセルを開けて行くと、5500rpmから7000rpmといったあたりで力が盛り上がって、1万2000rpm以上まで伸びていく。グンと力が盛り上がるというより、フラットトルクな特性で、厳密にいえば振動も消えきれていなくて、パワー感がダイレクトに伝わってくる。でも、この振動はほとんど気にならないものだけれどね。
 ハンドリングは安定志向で、シャープにシャキシャキ動くというより、軽快にスッスッとラインをトレースできる。Z250はコーナーでスパッと寝始めるけれど、Z400はいったんタメがあってバンクし始めるし、バンクしている間の安定感も高いのだ。
 高速道路に乗り入れてのクルージングでは、軽さがデメリットになることもなく、安定性を残したままで、400ccなりの軽快さがあるハンドリング。トップギアの巡航では、80km/hで4800rpm、100km/hで6000rpm。軽いな、力あるな、安定性も申し分ないな。これはもう、1000ccとはまったく別の乗り物だけれど、600とか650、要らないんじゃない? とさえ思ってしまった。

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 リターンのおじさま方とか、「むかしオレ単車乗ってたんだけどさ」って人は、いまだに400cc=4気筒がサイコー、って言う人がいる。実際に乗り比べたわけじゃなく、イメージでね。
 ぼくもこれまで、あぁ4気筒は良かったな、CB400 SUPER FOURがバリバリのスポーツモデルだったらな、と思うことはあった。けれどNinja400に乗って、もうそれはナシ。これは、きっとあの頃のZXR400よりも、ずっと意のままに扱えて、ずっと気持ちのいいスポーツバイクだ。
 4気筒ならではのスムーズさはもちろんある。けれどその分、2気筒にはツブ立ったパルス感がある。
 中間加速は、4気筒よりも2気筒の方が軽いし、たとえば120km/hまでの加速は、2気筒の方が軽々と回る気がする。もちろん、その上の超高回転の回り込みは、4気筒の方が上だけれど、そこ、使う? 1990年当時だって、あんまり10000rpmってエリア、使わなかったでしょ?(笑)
 フルカウルのNinja400と、ぼくが本命だと感じたZ400。本命だと思ったのは、ノンカウルの方が普段乗りできるカジュアルさがあるからだ……けれどこれはぼくの個人的好み。フルカウルの方がカッコいいいよ、って若いファンは確実にいるからね。街乗りにも、毎日乗りでも、遠出するにも使える――それが新Z400だと思う。いいぞ、これ。
 
 Ninja400が400ccクラスのマーケットを一変させるかもしれない――と書いたけれど、Z400は実は少し、ライバルを慌てさせている。
 あるメーカーの400ccクラスモデルの開発技術者に、Ninja400乗りました? と尋ねてみた。
「カウル付きじゃない方に乗りましたよ。作りは荒いけれど、いいですね、アレ。400ccもこんなに動力性能あるんだ、って勉強になりましたよ。次期モデルの時には(競争相手として)アタマに入ってるでしょうね」
 作りが荒い、っていうのはきっと高回転まで回した時の振動のことを言ってるんだろうな。けれど、このNinja400とZ400の登場で、日本の400ccマーケットが少しずつ変わろうとしているのだ。
 
(試乗・文:中村浩史)
 

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完全新設計の水冷DOHCツインは、エアボックスを拡大し、ダウンドラフト吸気経路として高回転の伸びを確保。バランサーを装備し、アシスト&スリッパークラッチを装備した。クラッチは軽い操作感で、高回転からのバックトルクを緩和。
フロントブレーキはZ1000と同径のφ310mmペータル形ディスクをシングルで装備し、キャリパーは片押し2ピストン。スポーツランのときには、レバー入力がややルーズになったから、重量増を覚悟の上でダブルディスクが欲しかった。 マフラーは仕上げも美しいφ28.6mmエキパイを2in1レイアウトで右出しする。集合部後方にキャタライザーを装備し、サイレンサーは艶消しブラックの6角断面(いや7角形?)のスタイリッシュなもの。ヒートガードも標準装備する。
Ninja250が140サイズのバイアスを履くのに対し、400はNinja/Zとも150サイズのラジアル。リンク式リアサスはシリンダー背面マウントの5段階のプリロード調整式で、ドリブンスプロケットは250の1丁増し(=ショートギア)。 Z250同様、LEDのデュアルヘッドライトを持つフロントフェイス。小ぶりなスクリーンは純正オプションでロング長のものも用意され(税込7106円)、ビキニカウルを含め、整風効果も多少感じられた。丸目ヘッドライトも見てみたいな。
純正オプションでハイシート(税込1万6524円)も用意されるセパレートシート。キーロック式のタンデム部を取り外すとフックワイヤーがあり、そこを引くとライダー側も取り外せる。シート下にはフタつき小物入れ、ETCスペースも確保。
荷かけフックは最低でも前後左右で4ヶ所必要。カワサキ車はウィンカー前に簡易フック、タンデムステップ裏にヒールプレート兼用のフック部分があり、とてもかけやすい。80年代のバンジーフック以来、荷かけフックはカワサキの良心だ。
メーターはシングル、アナログ風の液晶メーターで、わざわざNinja400とは別設計。メーター中央にギアポジション表示、スピード表示、オド&ツイントリップ、燃料計、残ガス距離計、瞬間&平均燃費、水温、時計、エコライドランプを装備。 ラジエターシュラウドは、ただの外装パーツでなく、ラジエターを通した熱気をライダーにあてないようエアマネジメントしてくれるラジエターカバーを兼ねる。温度上昇はさほど感じなかったが、真夏の渋滞路では快適に過ごせそうな装備。
Z250同様の、ZX-10Rを思わせるテールデザイン。テールランプもLEDを標準装備し、ウィンカーはクリアレンズ+カラーバルブ仕様。テールカウルはサイドパネルとテールパネルを組み合わせた凝った造形で、使い勝手、デザイン、個性を両立。 バーハンドルは250よりもやや幅を広げたレイアウトで、ポジション、形状とも車格にベストマッチ。グリップのポジションは、兄弟モデルのNinja400とステップ位置は同じまま、コブシひとつ分高く、おなじくコブシひとつ分フロント寄り。
●Z400(2BL-EX400G) 主要諸元
■全長×全幅×全高:1990×800×1055mm、ホイールベース:1370mm、シート高:785mm■エンジン:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ、ボア×ストローク:70.0×51.8mm、最高出力:35kW(48ps)/10,000rpm、最大トルク:38N・m(3.9kg-m)/8,000rpm 、燃料消費率:国土交通省届出値、定地燃費32.1km(60㎞/h)(2名乗車時)、WMTCモード値24.8km(クラス3-2)(1名乗車時)■タイヤ(前×後):110/70ZR17M/C 54H × 150/60ZR17M/C 66H、車両重量:166㎏、燃料タンク容量:14L
■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):618,000円(2019年2月15日発売)

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