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■文:中村浩史 ■撮影:森 浩輔
■協力:ホンダモーターサイクルジャパン 

ベストセラーアメリカン、Hondaレブル。
この文にはひとつ、誤りがあります。
なんでしょう――。
それはレブルが、決してアメリカンじゃない、ってことです。

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ライダーの身長は178cm。

 思い返せば2018年10月。熊本・阿蘇を舞台に行なわれていた「ケニー・ロバーツ ジャパン・ラリー」の時、何日目かのルート途中に、興味深いミーティングを目撃したことがあった。ルート途中のパーキング、阿蘇ではバイクがよく集まることでおなじみの三愛レストハウスに、それはあった。
 ホンダ・レブルのミーティングである。
「お、レブルの集団だ。あんまり関東じゃ見ないなぁ」と思っていたら、いるわいるわ、その数30台ほど。隣では、もっと数が多いZ400FXのミーティングも行なわれていたみたいだったけれど、僕の目はレブルのみんなにクギづけになっていた。なんていうか……若い! FXのミーティングに来ていたみんなは、なんていうか僕と同じ匂いがしたのに対して(笑・いわゆるバイク乗ってます!的なね)、レブルのオーナーさんにそれをあんまり感じなかったのだ。
 250だけじゃない、レブル500もいたみたいで、上下レザーでキメキメでチャップスも履きますよ、なんてのもいるにはいるんだけれど、ジーンズにパーカー羽織って、スニーカー、みたいな軽いノリ。女子も多くて、来ていた参加者のひとりに声を掛けてみると、今日は九州レブル乗りミーティング(=KRMっていうらしい)で、宮崎や福岡からも来ているオーナーさんもいるんだという。
 なんというか、いいな、若いな、と思ったのだ。いまや50歳オーバーと言われるバイクのライダー平均年齢も、このレブルミーティングではグッと低そうで女子も多い。みんなスマホホルダーつけてて(笑)、すごく力の抜けたバイクとの付き合い方ができていそうで、みんなの楽しそうな顔が阿蘇の絶景に向かって走っていくのが、なんとも微笑ましかった。

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「関東じゃあんまり見ないな」と思ったのは僕の勘違いで、レブルは実は今、ベストセラーの250ccモデルだ。特に2018年に入ってからは、250ccの販売ランキングでほぼ毎月トップ、PCXとFORZA以外に販売トップの座を譲ったことがない。発売は’17年4月で、発売当初はそう注目されるモデルではなかったけれど、じわじわとその人気を伸ばしてきた。
 そのレブル、はじめてちゃんと乗った。発売直後に、たまたま編集部においてあるのをチョイ乗りしたことはあったけれど、今回は街乗りと高速道路をガッチリ。最初の印象は「軽いな、細いな、結構よく走るアメリカンだな」ってだけ。あれ、これCBR250Rと同じエンジンだっけ――と思ったくらいだった。
 けれど、今回の試乗で印象一新。レブルって、すごく理に適った作りのスポーツバイクだった。
 またがってみる。低いシートとハンドルポジションは、いわゆるアメリカン的だ。シャドウとは言わないけれど、ドラッグスター250とか、そんなカテゴリーかな、と思った。
 けれど、どうも様子が違う。ステップはそんなに前方に投げ出す格好ではなくて、ハンドルも遠くなく、高くない。シャドウでもなければ、ドラッグスターでもない独特の位置づけなのだな。

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 走り始めてみると、あの乗り慣れたCBR250Rのエンジンのイメージに近く、どの回転域でもそこそこのトルクが出ていて、高回転にかけての盛り上がりもきちんと残されている。ん? なんだか知ってるな、と思ったら、CBR250Rのネイキッド、CB250Fのまま。そりゃそうだ、パワー面では、レブル用にマフラー以外には大きな専用設定もされていないからして、パワーフィーリングがそっくりなのは当たり前。なんというか、小さい、細い、そして低い――。こりゃ、KRMに女子がちらほらいたのもうなづける。ちなみに後で知ったことだけれど、九州の知り合いの女子(人妻です・笑)もレブル乗りだ!
 ハンドリングは、少し寝かされたキャスターと前後のファットタイヤが独特で、アクションにワンテンポのラグがあって、ゆっくりとステアリングが切れるイメージ。そこに、アメリカンらしさは感じなかった。もっとも、キャスターが寝かされているとはいえ、その数字は28度――これは30度以上も寝かされているアメリカンたちとは違って、やや控えめな数字だし、ステアリングヘッドとフォークレイクをずらすことで実質は30度に届いていない、と説明を受けたことがある。ちなみにシャドウ400は34度30分だったし、DS250は35度で、これはアメリカンの作法として「前輪が大きく、後輪が小さい」から車体が後ろ下がりになり、結果キャスターも寝かされているからだろう。レブルは前後16インチだから、車体が極端な「前上がり後ろ下がり」イメージではないのだ。
 それでも、やはり高速クルージングではピタッと直進安定感がすごくて、そうスピードは出ないけれど、100km/hのクルージングなんかラクラク。タコメーターはついていないけれど、減速比はCB250Rと同じだから、トップ6速で80km/hでは5000rpm、100km/hでは6300rpmくらい回っているのだろう。6速80km/hくらいで、クルマ通りの少ない高速道路を流すなんて、レブルがいちばん気持ちのいい瞬間なのだ。

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 たとえばCB250Fや、現行のCB250Rよりはハンドリングがゆったりしていて、シャキシャキ曲がるイメージではない。それでも、シャドウやドラッグスター250のように、狙ったところのひと回りアウトサイドを大回りするようなイメージがなく、すごくまっとうなハンドリング。CB250Fより少し以前の、フロント18インチのバイク的なキャラクターで、18インチと言えばCB223Sに似た感じかもしれないな、という気がした。そういえばCB223Sもちょいファットタイヤで、バイクの姿勢こそ違えど、似てるのかもなぁ、と。
 ここでハッキリした。レブルはアメリカンじゃない。単にシートが低くて、ハンドルが近いスポーツバイクなのだ。
 アメリカンと言えば、トルク型のエンジンが低回転からドロドロドロッと回って、回転を上げなくても、ストレートをのんびり走っていくようなイメージのオートバイだ。クネクネ曲がるような道を走るよりは、まっすぐな道をのんびり走るようなシチュエーションが気持ちいい。
 けれど、レブルは違う。回転の上下でトルクのメリハリがあって、高回転まで回せばキビキビと速い。ハンドリングだって、まっすぐな道をだらーんと走るよりは、くるくる曲がる道を走ったって気持ちがいい。スタイリングはアメリカンっぽいけれど、その立ち位置はトラッカーというか、ストリートバイク、それもシート高が思い切り低くて、誰にでも乗れるストリートバイクだ。これを今、アメリカでは「ボバースタイル」って呼ぶのだ。
 たとえばホンダが250ccのアメリカンを作るのだとしたら、もっとフォークを寝かせてフロントタイヤをナロウにして、フロント18/リア15インチのワイヤースポークホイールにしたんじゃないかな。ステップももう少し前、ハンドルは、ステアリングヘッドを低くして、少しプルバックハンドルでね。
 エンジンは、もう少しスロー燃焼にしてイナーシャを大きくつけてみるとか、250ccでももう少しドロドロ回る味付けにしたはず。そうしなかったのは、このレブルを、アメリカンにし過ぎたくなかったからなのだろう。

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 そういや、レブルってバイクは1985年発売の「初代」があった。あれは空冷2気筒を積んだ、Newレブルよりももっとアメリカンに振ったモデルで、プルバックハンドル、ふかふかのシート、ステップだってNewレブルよりずっと前方に取りつけられていたし、キャスターだって寝かされて、ちゃんとフロントタイヤは18インチ/リアは15インチだった。
 けれど、あのレブルだって、決してアメリカンすぎはしなかった。いい意味で「テキトー」に作ったバイクで、広告宣伝だってお気楽に力が抜けていたバイクだったし、まだハタチ前だった僕はミスター・バイクで佐藤信哉さんのインプレを読んで、なんだこりゃ、って笑ったのを今でも覚えている。普通のインプレッションはもちろん載っていたけれど、それより「レブルでの正しい待ち合わせ」つってバイクの上に寝そべっていたり、「レブルの汚れ、正しい拭き方」つって革ジャンの袖でガッと拭く、なんてコマが載ってたんだよね。あぁ懐かしい。

「レブル」って「反逆者」とか「反抗する者」って意味。けれどこれは「テキトー」とか「型にハマらない」自由なバイクだと解釈すればいい。一見アメリカンに見えて、実はものすごくシート高が低い、まっとうなスポーツバイクだ。
 250ccアメリカン作ろうか、からスタートして、いやすごく普通のスポーツバイクにして行こう、それもシートの低い、誰にでも乗れるようなやつにさ――って開発が進んだモデルなのかもしれない。だからこその、250ccベストセラーなのだ。
 
(文:中村浩史)
 

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CBR250RやCRFシリーズと共通のDOHC4バルブ単気筒。低回転からトルクがあふれるタイプではなく、軽く吹けて、高回転でもパワーの出るキャラクター。燃費は参考までに街中が約28km/L、高速道路が約35km/Lといったところ。 今どき珍しい90扁平の16インチタイヤと、シングルディスク+ニッシン製片押し2ピストンキャリパーの組み合わせ。太いタイヤはハンドルが切れるスピードが穏やかで、乗り心地が良く安心感が高い。ABSは装着車/非装着車が選べる。 ハンドルはセミアップのインチバーを採用。プルバックでないスタイリングが、レブルのポジショニングをよく表している。アメリカンとするならば、メッキハンドル、タンクonメーターが正統派だから、あえてそうしていないのがわかる。
マフラーはレブル専用設計。φ120mmのサイレンサーは、2室構造としてパルス感を出し、消音しすぎないことで、サウンドに迫力があって、もちろんうるさくない。特に低回転からのアクセル開けはじめの手応え、パワー感が気持ちいい。 スイングアームはφ45mmのスチールパイプ。チェーンアジャスターやアクスルホルダーも最小限のパーツでシンプル極まりない。リアのツインサスも太く短く、スタイリングにイメージを合わせてある。プリロードは5段階に調整可能。 タンデムシート、リアフェンダーがマウントされているアルミダイキャストのリアフレームはボルトオン、つまり取り外しが可能、ってこと。フェンダーは質感の面でも、重量感という意味でも樹脂製ではなく、あえてスチール製としている。
ファットタイヤとすることで、左右フォーク間が広く、堂々としたスタイリングに仕上げられる。ヘッドライトはアンダーブラケットからダイキャストパーツで持ち上げるタイプで、シンプル、スッキリ。シングルメーターも潔し! ティアドロップでもない、ピーナツ形状でもない独特なタンク形状。フューエルタンクと前後フェンダー以外はほとんどブラックとしているから、イジり甲斐があるのはホンダの狙い通り。タンク容量11Lは、最低でも200km巡航が可能だ。 シートはシンプルだけれど、クッション厚もあって、2時間連続走行でもお尻が痛くはならなかった。タンデム部は別体式で、タンデムの機会がない人は取り外してキャリアを取り付けてもいい。それもボバースタイルの拡張性の良さだ。
ここも、雰囲気重視ならばアナログ採用がセオリーだけれど、レブルはそうはしなかった。メーターはタコメーターなし、燃料計とスピード、時計とオド&ツイントリップを標準装備。最小限の装備だけれど、これでいいのだ。 右にキルスイッチとハザードスイッチ、セルボタン、左にライトの上下切り替え、ホーン、ウィンカーボタンという、ごくオーソドックスなスイッチ配置。ただし、悪名高い、ホーン上/ウィンカー下のレイアウトになっているのが気になる。
●レブル250(2BK-MC49) 主要諸元
■全長×全幅×全高:2,190×820×1,090mm、ホイールベース:1,490mm、最低地上高:150mm、シート高:690mm、最小回転半径:2.8m、装備重量:168kg、燃料消費率:46.5km/L(60㎞/h定地走行テスト値、2名乗車時)、34.1km/L(WMTCモード値、クラス2-2、1名乗車時)■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒DOHC4バルブ、総排気量:249cm3、最高出力:19kw(26PS)/9,500rpm、最大トルク:22N・m(2.2kgf・m)/7,750rpm、燃料タンク容量:11L、変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:ダイヤモンド、ブレーキ(前×後):油圧式ディスク × 油圧式ディスク、タイヤ(前×後):130/90-16M/C 67H × 150/80-16M/C 71H
■メーカー希望小売価格:レブル250 537,840円/レブル250<ABS> 588,600円(税込)
※試乗車は、2018年モデルです。


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