2018年12月25日 

■普通のライダーが選ぶ「日本バイク・オブ・ザ・イヤー」始まる

大賞・カワサキZ900RSに開発者が

 12月19日、千代田区のホテルで「日本バイク・オブ・ザ・イヤー」の授賞式が、ユーザーや二輪業界関係者ら100人が集まる中で開催された。原付、軽二輪、小型二輪の車格別3クラスと、車格を問わない外国車クラスの合計4クラスから部門賞が選ばれ、それらすべてのモデルから大賞であるベスト・バイク・オブ・ザ・イヤーを選ぶというものだ。


カワサキZ900RSのトロフィーは、モーターサイクル&エンジンカンパニーの設計者である萩尾清二課長が受け取った。「我々が受け入れられるだろうと考えたことと、ライダーのニーズが合致したことは、開発者としてとてもうれしい」と喜びを語った。

 2018年、初めてのベスト・バイク・オブ・ザ・イヤーは、小型二輪部門賞を獲得したが、外国車部門賞のを抑えて栄光に包まれた。

 このイベントの主催は一般社団「日本二輪車文化協会」(港区赤坂)。《一企業や業界内の損得を優先せず、ユーザーと二輪車マーケットの環境改善を最優先して行動する》団体で、4つの部会が、女性ライダーを増やす活動や親子ライディング教室、事故に巻き込まれた時のファーストエイドの講習など、それぞれの事業を展開する。「日本バイク・オブ・ザ・イヤー」は、そんな活動の1つとして始まった。


普通のライダーが選ぶ今年の1台

 選考委員は14人。能楽師太鼓方の大倉正之助氏、三重県知事の鈴木英敬氏、神戸情報大学院副学長の福岡賢二氏、自民党オートバイ議員連盟事務局長の三原じゅん子参議ら多彩な面々で構成された。主催団体の代表理事である吉田純一氏はこう説明する。

日本バイク・オブ・ザ・イヤーを主催する日本二輪車文化協会・吉田純一代表理事。

「みんなバイクでつながっている人ばかりですよ。ライダーだったり、オートバイ文化に理解が深かったり。秋田書店の牧内真一郎執行役員が入っているのは、漫画『ばくおん!!』を製作する出版社だから。唯一の特徴は、メーカーなんかとしがらみがないこと。その選考委員が、インターネット投票でノミネートされたバイクの中から選んだ結果です」

 乗用車を対象とするカー・オブ・ザ・イヤーを例にするまでもなく、授賞対象となるモデルはいわゆる専門家が選ぶのが一般的だ。専門誌が選ぶ1台も、その代表例だろう。だが、平成最後の年にスタートした「日本バイク・オブ・ザ・イヤー」は、その真逆で“素人らしさ”を前面に押し出した。

 だから、そのほかの部門賞でも、原付は、軽二輪はと目の肥えた専門家が選んだ一品というよりは、誰もが思い浮かべる代表的なバイクが選ばれた感がある。だが、歳月を重ねると、それが他とは違う個性になる可能性を秘めている。

 日本バイク・オブ・ザ・イヤーのエンブレムをデザインしたデザイナーの菊池武夫氏は、この活動に共感してエンブレムデザインを無償で引き受けた。

「バイクは若い時にちょっと乗ったぐらいだけど、バイクのデザインは子供の時から大好きだった。特にクラシックなバイクでいいデザインのものがあるとファイルに収めるという生活を送っています。エンブレムも長く使われることを願って、クラシックの中に今の感覚を入れて、みなさんに愛されるデザインを目指しました」

 吉田氏はオートバイショップの団体である全国オートバイ組合連合会の前会長で、30年以上の長い間、バイク環境の整備に努めてきた。組合活動を離れて、新たに見出したのがその年のベストバイクを選ぶ日本バイク・オブ・ザ・イヤーの創設だった。彼は言う。

「しがらみのない人に選ばれた、一般の目にとまる授賞でありたいと思ってます。だんだんと盛り上げて、今年人気の1台を確かなものにしていきます」

 部門賞のほかに、今年はとも特別賞(ロングランヒット賞)を受賞した。第一回にロングランヒットが特別賞の条件となったのも、人気のバイクを長く世の中に残したいという思いがあるようだ。

(取材・文:中島みなみ)

原付部門賞、特別賞を受賞したホンダモーターサイクルジャパン・赤坂正人氏。 軽二輪部門賞を受賞したスズキ東京支店・赤間俊一支店長。
ドゥカティ・ジャパンのマッツ・リンドストーム社長は、なめらかな日本語で「安全、ハンドリング、楽しさ、すばらしいバイクばかりの中で、(外国車部門賞を)授賞できたことは本当にうれしい。日本のバイクの生活を増やすために頑張りましょう」と語り、ガッツポーズを作った。 特別賞を受賞したヤマハ発動機販売・宮本義信安全副本部長。「1978年に発売を開始したSR400はヤマハの魂といっても過言ではない。デザインを担当したデザイナーでGKダイナミックス社長だった石山篤氏が11月に亡くなったが、その墓前にささげたい」と語った。