2018年12月11日 

■ありがとうホンダ。そして、さようならダニ・ペドロサ

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 毎年12月に入ると、ツインリンクもてぎでホンダのモータースポーツファン感謝デー「ホンダレーシングサンクスデー」の季節。普段はサーキットという戦場で、ピリピリした緊張感の中で接するライダーやドライバーたちと、その緊張感から解き放たれたシーズンオフに触れ合うことができる、年に一度のチャンス! なにしろこの日は、ツインリンクもてぎのあちこちでイベントあり、トークショーあり、写真撮影会あり、の分刻みスケジュール。メインゲートステージでトークショーがあったかと思ったら、ゲート外でレーシングカートがあったり、ハローウッズでトライアルデモンストレーションがあったり、時にはそれが同時進行で進んでいく。それに加えて、ピットやグランドスタンド裏に、レーシングマシンや市販モデルの展示もあって、出席したライダーやドライバーはもちろん、来場するファンにとっても忙しいイベントなのです。もちろん、バイクだけでなく、クルマも含めて、ホンダのレース活動すべてが詰まった1日なのです。

 この日の二輪ファンのお目当ては、日本人唯一のMotoGPライダーである中上貴晶や、2017年全日本JSBチャンピオン高橋巧、それに2019年からワールドスーパーバイク参戦が決まった清成龍一に、全日本モトクロスIA1チャンピオンの成田亮、ワールドトライアルの帝王トニー・ボウ、世界耐久チャンピオンのジョシュ・フック&フレディ・フォレのTSRコンビ……そして、今シーズン限りでMotoGP現役生活に別れを告げた、ダニ・ペドロサに日本で会える最後のチャンスかもしれなかったのです。

 ペドロサは2001年に世界グランプリGP125クラスに参戦を始めて以来、GP250、そしてMotoGPクラスへとステップアップしながら、一貫してホンダマシンだけをライディング。より環境のいいところ、より条件のいいところに移籍することが日常茶飯事のレーシングライダーにあって、ずっとホンダのレーシングライダーを貫いた一途さ――それが日本のライダーを引きつけた魅力のひとつなのかもしれません。

 身長150cmちょっと、体重50kgにも満たない小柄なペドロサが、最高速度350km/h、最高出力200ps以上のマシンで戦うことは、やはり想像以上に厳しかったのか、いくつもの優勝や表彰台登壇と引き換えに、度重なる大けがと戦いながらの、現役生活18年でした。

 ペドロサは、スーパーカブによる「Cubミックスマッチ」、参加ライダーが各クラスを越えてデモランをする「RC213V-Sドリームマッチ」、ホンダF1マシンとのランデブー「ホンダレーシング2&4」、そしてペドロサが、自らワールドチャンピオンを獲得したRS125R、RS250RW、そしてRC213Vでファイナルデモランをする「ARIGATO!ダニ・ペドロサ」に参加。フィナーレにもRC213Vで参加し、スケジュールに追われながらも、充実した最後の日本での走行を堪能していたようでした。

 「レーシングライダーとしてやってきたこの18年、いい時ばかりじゃなかったしむしろ苦しいときの方が多かった。それでも日本のファンの皆さんは、いつでも暖かく、そして熱心に応援をしてくれました。本当にどうもありがとう。今日は僕がかつて乗った125ccや250ccの2ストロークマシンにも乗れたし、たくさんマシンに乗れて、夢がかなったような日でした。苦しいこともうれしいことも、ホンダのファミリーとして戦い抜くことができた。もうこれで、僕は現役ライダーとして帰ってくることはないけれど、きっとまたすぐに会えると思うよ」とラストランを終えたペドロサ。

 ラストランを終えたペドロサに、ホンダレーシングからはRS125RとRC212Vが贈られ、これでホンダのレーシングライダー、ダニ・ペドロサは見納め。これからは新しい道を行くペドロサに、ペドロサが大好きな日本のファンみんなが、熱い声援を送っていたのが印象的でした。

 そして、ラッキーにも少しインタビューができたのです。これまで何度もインタビューし、コメントをもらってきたペドロサとの、本当に最後のインタビュー。

「まずはライダー生活を終えられてホッとしているし、新しい世界に向けてエキサイティングな気持ちだよ。最終戦を終えて手術して、まずは体のケアをしているところなんだ。年内はまだいくつかイベントに出席するけれど、すべて終わって自由な時間が来たら、そうだな、友だちとサーフィンでもやりに行きたいかな」とにこにこ顔のペドロサ。

 これまで何度も会って、話してきたペドロサの中で、最高に朗らかで饒舌で、ニコニコと笑顔の絶えないペドロサでした。無事にライダー生活を終えられて、本当に良かった。ありがとう、ペドロサ。18年間、お疲れさまでした。

(レポート&撮影:中村浩史)