オオカミ男のひとりごと

HERO‘S 大神 龍
年齢不詳

職業フリーライター

見た目と異なり性格は温厚で性質はその名の通りオオカミ気質。群れるのは嫌いだが集うのが大好きなバイク乗り。
時折、かかってこい! と人を挑発するも本当にかかってこられたら非常に困るといった矛盾した一面を持つ。おまけに自分の評価は自分がするものではないなどとえらそうな事を言いながら他人からの評価にまったく興味を示さないひねくれ者。

愛車はエイプ100、エイプ250?、エイプ750?。
第65回 海外編第12章 Church

 
教会の中では何組かの客がお茶を飲みながらくつろいでいた。壁に貼られたメニューを見ているとオバちゃんの店員が愛想よく話しかけてきた。メニューを指さしながら終始笑顔で色々と聞いてくる。
はっはぁ~~・・・・全然、わかんねぇ。でもすげぇフレンドリーだし。
訳も分からずイエス、イエスと答えた結果、食パンにトマトのスライスだけが挟まれたサンドイッチとコーヒーが出てきた。やっちまったなぁ、オレ。サンドイッチを一口食べてみたがやはりこれは飲み物なしには完食は不可能。コーヒー一杯で足りるだろうか。
できれば中のトマトだけ食べたいんだけど・・・店員のオバちゃんがものすごく親切だったため残すのも悪い気がする。ここは礼を重んじる国の日本男児としては食べきるしかなかろう。ええ、黙々と食べましたよ。なんとかね。そんなオレの苦労も知らずオバちゃんは勘定をした後も笑顔でThank you!!と。

店を出ようと出口へ向かっていた時、厨房から一人のオヤジが出てきてオレの前に立ちはだかった。さっきのオバちゃんとは対照的で愛想はまったくない。
一体、何事? 味もそっけもないものを食った不満が顔に出ていたのだろうか、オレは。まさかそんな事で怒ったりするとは思えないがここはマン島である。自国の常識が当てはまらない事は多々ある。オレの中に警戒と緊張が走る。するとオヤジはしわがれた声で何かオレに語りかけてきた。これもよくわからんが・・・・建物の2階の方を指さしこっちへ来いと手招きしながら階段の方へ歩いていく。まさか別室でボコボコにされるのかオレは。教会なのに。いや、それはない。もしそうならばボコボコになるのはこのオヤジの方だ。

オレは腹を括り、意識を戦闘モードにしてオヤジについていった。
階段を上り2階の広間に辿り着いた。こっ、これは!?
教会の2階はギャラリーになっており数々のマン島レースの写真が展示されている。数十年前のものから最近のものまで。
にとっては取るに足らない事なのだろう。窓の外に目をやると広大な牧草地が延々と広がっている。

 
オレがあっけにとられているとオヤジはさっきまでとは打って変わってニコニコ顔であれを見ろと言わんばかりにステンドグラスを指さした。
神々しい雰囲気のステンドグラスにはよく見るとマン島を走るライダーの姿が描かれている。なんと罰当たりな、そしてなんと清々しい。TTレースは島の人たちにとっても特別なものなのだというのを改めて実感する。

 
これは外から見たのでは絶対にわからない。しかも誰かに教えてもらわなければ教会の中にこんなところがあるなんてよそ者にはわかるはずもない。なんだかとても得した気分である。このオヤジに感謝だ。ただ・・・・まぎらわし過ぎるわ! このオッサンは。
ギャラリーを堪能したのち、オレは教会を出て帰路についた。
この後、ホームステイ先の家で大騒動が起きるとも知らずに。


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