EICMA zakkan Part1

 
世界最大級のモーターサイクルショー、EICMAミラノショーが終了して、あっという間に2週間が過ぎてしまいました。ショー開催中から、SNSやバイク系デジタルメディアはお祭り状態。ショー終了後は、日本や欧州では早くもメディア向け試乗会や撮影会が開催されています。なのですが、ここでは数回に分け、EICMAを振り返ってみたいと思います。
まずは、国内4メーカーから。

■レポート&写真:河野正士

■Honda

 なんか2017年に入り、ホンダの底力を感じています。昨年一昨年とEICMAで、各種CBをベースにデザインスタディモデルを発表。今年に入ると欧州のカスタムバイクイベントにオフィシャルブースを展開。そして今年、”Neo Cafe Concept”を引っ提げ「CB1000R」を発表。さらには「CB300R(国内ではCB250R)」「CB125R」までラインナップしてのEICMA登場です。もちろん、会場はこの3台のCBの跨がり待ち&この車両を前に叔父さま方が喧々囂々なわけです。

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CB1000R。
CB125R。 CB300R。

 

 また、これまで北米市場を中心に人気を博してきた、という認識だったゴールドウィングですが、エンジンもフレームもデザインも新しくなった「GL1800ゴールドウィング」は、予想以上の大人気ぶりでした。EICMAのお客さんは、装備されている機能やケース類の中身をじっくりと検討する傾向にあります。にしても、跨がり可能なゴールドウィングの周りはそんな人でごった返していました。ゴールドウィングの新デザインは欧州受けすると感じていましたが、さらに多くの新機能が彼らの心を掴んだようです。

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GL1800ゴールドウィング。
歴代ゴールドウィングも展示されていました。この人混みの中に新型「GL1800ゴールドウィング」があるのですが。人だかりで見えません。

 

 そして人気の「CRF1000Lアフリカツイン」。パリダカールマシンのDNAを受け継ぐ旧アフリカツインと、現ホンダのファクトリーダカールレーサーである「CRF450ラリー」とともに、スペシャルモデルである「CRF1000Lアフリカツイン・アドベンチャースポーツ」が展示されていました。もちろんここも、跨がり待ち組&細部凝視組で大混雑です。電子サス付きの新型アフリカツインが出る!? なんて噂は蹴飛ばされてしまったのですが、それでもその可能性を感じる非公式な情報も相変わらず飛び回っています。ライバル/BMW R1200GSを、大股で追っかけてる感じですね。

砂漠をイメージした展示は迫力満点。「CRF1000Lアフリカツイン・アドベンチャースポーツ」は大人気でした。
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レッドブルカラー&モチュールカラーのCBR1000RRレーサーもなかなか格好いいですね。
欧州で好調なセールスを続けている「X-ADV」の社外ビルダーが製作したカスタムコンセプトモデルも展示されていました。なかなか面白いアプローチでした。

 

 そして個人的には今年のEICMAで一番グッときたのがこのマシン。ホンダR&Dヨーロッパによるデザインスタディモデル「CB4 インターセプター」です。このマシンを担当したデザインチームのボス/バレリオ・アイエッロ氏によれば「我々はクラシックを追求した。クラシックには、古典的とともに、最上級とか模範的という解釈がある。我々は古典を求めたのではない。バイクらしさを求めたのだ。だから普遍的なスタイルとともにモダンなテクノロジーも採用した。バイクとは、元来そう言うモノだ。だからビンテージとクラシックは違うのだ。空冷のCB1100もクラシックだが、新しいCBとはクラシックの方向性やエッセンスの使い方がまるで違う。このインターセプターは、新型CBの、クラシックにおける可能性を追求したものだ」と話してくれました。

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ホンダR&Dヨーロッパのスタイリング・クリエーション&リサーチセクション・マネージャーのバレリオ・アイエッロ氏。
タンクは新型CBの意匠を受け継ぎながら、フロントカウルへと繋がる独自のラインを採用。カウル中央のタービンを走行風で回し、そこで生み出した電力によって車両に搭載する電子デバイスを駆動する。もちろんベースとなるのは新型CB1000Rです。

■YAMAHA

 今年のEICMAにおける目玉は、フロント2輪のLMW大排気量モデル「ナイケン」だっただけに、それを直前に開催された東京モーターショーで見ていた我々日本人にとってはちょっと物足りなく感じたヤマハ。しかし近い将来に”買うことができる”マシンにしか興味を示さない欧州のユーザーは、彼の地で発表されていた”コンセプトモデル”としての「ナイケン」が本当に発売されるとあって興味津々でした。
 
 そう、EICMAに限らず欧州の二輪四輪ファンはかなりドライで、”絵に描いた餅”的な、企業が取り組んでいる新しい技術を取り込んだコンセプトモデルに興味を示しません。だって、それ買えないんでしょって感じです。だから東京モーターショーで話題になった「モトボット」や「モトロイド」の展示もナシ。企業理念や思想、未来へ向けての取り組みのプロモーションは、ショー会場ではなく「CES」のようなテクノロジーの見本市やインターネット上が主になっていくのですね。
 
 今回発表された「MT-07」と「トレーサー900」シリーズは、初の欧州主導でのモデルチェンジとなったようです。メインマーケットである欧州で造り込むことで、さらに両車の個性を伸ばそうとしている、と想像しました。もちろんアジア市場に向けた製品が影響力を強める中、あえて欧州主導での開発を謳えば、それすらも商品力を高める要素となります(実際にヤマハがそうするかどうかは不明ですが)。なるほど、そういった商品力の高め方もあるか、と感心したのでした。

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トレーサー900。いやー、想像以上に現地での注目度が高い。成長を続けるヤマハ/スポーツツーリングカテゴリーでシェア半数を占めるという発表は伊達ではありません。
トレーサー900GT。各部をチェックするライダーがひっきりなしで写真撮るの、苦労しました。
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デザインを一新したMT-07。ボディにめり込むような、力強く、それでいて俊敏なイメージを作り上げています。
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プレスカンファレンスではしっかりと撮影できなかった、プロトタイプとなったテネレ700ワールドレイド。このまま出しちゃダメなの!?と思うハイクオリティ。
「ナイケン」は、LMW機構がよく分かるように、車体を傾けての展示のみ。多くの人が車体を下側から覗き込みその機構を興味深く観察していました。スクーターでは複数のメーカーがフロント2輪を採用しているのですが、大排気量バイクとなると彼らも未経験。本当に大丈夫なの!? どんなフィーリングになるの!? と興味津々です

■SUZUKI

 今年はプレスカンファレンスを行わなかったスズキ。この静けさ、大いに気になります。何かを企んでいるような気がしてなりません。来年の動きに注目ですね。

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欧州初登場となった「SV650X」。
個人的にツボだったのは、マルコ・ルッキネリが駆ったWGPレーサー/RG500が展示されていたこと。このカラーリングとNAVAのヘルメット、大好きです。あ、カスタムバイクも展示されてました。
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話題になった、というか話題になったと報じられている「カタナ」のデザインスタディモデル。これ、スズキが発表したモノじゃありません。イタリアのバイク雑誌とデザインスタジオの共同企画で、プレスデイ初日のみスズキブースに展示されていました。オフィシャル発表はナシ&現地で聞いたら”アレはアンオフィシャルなモノだ”と。だからメディア向けの撮影があった初日のみスズキブースに展示したようです。イタリア人の友人に聞くと、”さぁ、どこにあるか知らない”と冷めた感じ。ほんとうに彼らは、コンセプトモデルに興味を示さないんです。で、その雑誌ブースとデザインスタジオのブースで現車を確認。ポツンと置いてありました。デザインスタジオの車両は、半分のみ塗装したクレーモデルでした。

■KAWASAKI

 一般公開日以降のカワサキブースの人気は、スゴいモノがありました。個人的な感想ですが、ブーススペースは昨年の2倍近くまで広げられていたのに、それでもブースが狭いと感じるほど、いつ行っても黒山の人だかりだったのです。

スーパーチャージャーを搭載する新型車「Ninja H2 SX」や「Z900RS」だけじゃなく、「Z900RS CAFE」という隠し球まで用意していたカワサキ。その高い注目度を予測してブースを広くしてファンを待ち構えていたあたり、さすがです。これまで大型車のトピックスを海外勢に奪われていただけに、このカワサキからの反撃の狼煙は、じつに痛快ですね。


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