The Bike Shed London 2017

 
 今年はヨーロッパを中心にカスタム系イベントに行きまくって、世界で何が起こっているかこの目で確かめるぞ! そう意気込んで2月にアメリカ、5月にイギリス、6月にフランスに出かけてきました。また8月末から9月にかけ2週連続ドイツでカスタム系イベントが開催されるため、それにも出かける予定です。
 ということで今回は、少しご報告が遅くなりましたが、5月にイギリス・ロンドンで開催されたカスタムバイクイベント「The Bike Shed London 2017=ザ・バイク・シェッド・ロンドン」のレポートをお届けします。

■レポート&撮影:河野正士
■The Bike Shed London 2017 

 今年で8回目の開催となる「The Bike Shed London」。開催は5月26日から28日の3日間。初日は夜7時からオープンして11時までのバータイムのようなモノ。本イベントは、27日(土)10時からの正味2日間でしょうか。会場はイースト・ロンドンにあるイベントスペース”Tobacco Dock=タバコ・ドック”。19世紀に建てられたタバコ貯蔵倉庫で、ロンドンの中心を流れるテムズ川から細い用水路が引き込まれた場所にありました。そこをリノベーションしてイベント会場として使用しているんですね。この場所での開催も今年で4年目。今年は、昨年から会場面積を広げ約1万5000人が来場したそうです。

001_J0A0001.jpg
会場となった”Tobacco Dock=タバコ・ドック”。イベント開催時はとにかく暑く、ビール飲みまくりでした。マイクを握るのは主催者であり、WEBサイトやレストラン「The Bike Shed」を造り上げたダッチ・ヴァン・ソメレン。

 ユニークなのは、このイベントはカスタムコンテストではないこと。美しいカスタムバイクを通して、今のバイクカルチャーを感じることが目的なのです。したがって、希望者が誰でも車両を展示できるわけではありません。主催者がピックアップした招待車両に加え、事前エントリー車両を書類審査し、それをパスした車両のみがこのイベントに車両展示できる”招待状”を手にすることができるというわけです。
 だからこそ展示されるカスタムマシンのクオリティが高く、そのスタイルが多岐に渡り、それが「The Bike Shed」というイベントが欧州を代表するイベントへと成長を遂げる原動力になったと言えます。ちなみに今年の展示車両数は219台でした。

コンテストじゃないと言いながら僕のお気に入りのカスタムバイクを少し紹介します。デスマシーン・オブ・ロンドン が作ったモトグッツィをベースにしたランドレーサー。メタルワークが超カッコ良かった。
もう一台はスロベニアのリュブリャナをベースに活動するクラケンヘッド が造り上げたホンダGL1000ベースのカフェレーサー。ポルシェ用のウェーバー・キャブを装着するほか、大規模なフレーム加工によってこのスタイルが完成しています。

 彼らがどうやって、質の高い、そして多様なスタイルのカスタムバイクを集められるのか。それは彼らの生業に秘密が隠されています。彼らはそもそも「The Bike Shed」というカスタムバイクのポータルサイトを運営していました。まさにデジタルコンテンツによってバイクシーンに新しい息吹が芽生えはじめたときにサイトが起ち上がり、その後の、カスタムバイクシーンを発端とした欧州バイクカルチャーの復興に大きな影響を与えたのです。

左はメインスポンサーであるオーリンズのブース。今後のカスタムシーンへのアプローチも楽しみです。中央は展示車両に付けられる車両紹介タグ。ロゴに加えSNSアカウントなども表示されていました。右は会場の雰囲気。

 しかし、「オンラインで繋がったバイク好きの仲間たちをリアルに繋げたかった」と言う、創始者であるダッチ・ヴァン・ソメレンが8年前にイベントをスタート。さらにはクリエイターたちが集まる人気地区イースト・ロンドンのショーディッチにレストランとバイク系アイテムのセレクトショップである「The Bike Shed cc」を設立。数年前にはトライアンフが水冷ツインエンジンを抱く新型ボンネビルの発表会を、この「The Bike Shed cc」で行い話題となりました。
 現在はバイク好きたちだけにとどまらず、ロンドンの話題のスポットとなり、連日連夜多くの人で溢れている状態です。

会場と会場を結ぶテラスはバー&フードスペースになっていました。初日は19時から23時まで。日が長いイギリスの初夏はじつに気持ちが良かったです。

 人々の波が少し落ち着いたイベント最終日の夕方。少しマッタリとしてきちゃったなぁ、なんて考えながら会場内を散策していました。昼間はギュウギュウ詰め状態でしたが、バイクが展示されている会場の床に腰を下ろし、くつろいでいる人も大勢いたからです。そこで主催者のダッチと立ち話したとき、僕は少し驚きました。
 彼曰く「やっと人が減って落ち着いてきた。これから、少しゆったりとバイクが見られる。この雰囲気が好きだし、これこそが僕が求めていたクラブの雰囲気だ。バイク好きは皆仲間なんだから、バイク好きが集まる場所はクラブだ。僕はバイク好きが集まる、リアルなクラブが作りたかったんだ」と。

カスタムポイントを娘と奥さんに説明するお父さんがいたり、日曜の夕方にはビール片手に会場の床に座り込んでいるグループやカップルがいたりと、じつにノンビリとした雰囲気。

 こんなイベントを、やはりバイクメーカーやバイク関連メーカーが支えています。ホンダ、ヤマハの両国産メーカーにインディアン、BMW、ドゥカティ、トライアンフやロイヤルエンフィールドなどの外国メーカー、そしてレブイットなどライディングウエアブランドです。国内には未入荷ながら、欧州では人気が高いハイエンド・ライディングギアブランドも多数出展していました。
 なにより驚いたのは、今回のメインスポンサーがサスペンションブランドのオーリンズだったこと。それは何故と担当者に聞けば、「だってこんなにオーリンズのサスペンションを付けたカスタムバイクが世に溢れているのに、我々がそこに出て行かないわけにはいかない」と。とはいえ、オーリンズがカスタムイベントに出展したのはこれが初めてとのこと。
 う~ん、世界は動いているなぁと、実感しました。

ドゥカティのブースに展示されていた2台。Scrambler Sixty2をベースにしたクラシックスクランブラースタイルのカスタムバイクを作り上げたのはアンヴィル・モトチクレッテ 、そしてScramblerをベースにカフェスタイルのマシンを作り上げたのはサウスガレージ。
019_J0A7779.jpg
インディアン・ブースに展示されていたランドレーサー。映画『世界最速のインディアン』の主人公であるバート・マンローの、世界最高速記録樹立50周年を記念したマシン。実際このマシンで、ボンネビルで開催されたソルトレイク・フラッツに参戦しています。
020_J0A8622.jpg
トライアンフのオフィシャルブースに並ぶように出展していたデボラックス・エンジニアリング が製作した、トライアンフ・スラクストンをベースにしたカスタムマシン。細部にいたるまで徹底的に手が入っているものの、純正部品に見えるように仕上げることを目標にしていることから、仕上がりはじつに美しく自然でした。
BMW Motorradブースは大量のカスタムバイクを展示。メタルワーク全開のR100RSベースのマシンはスペインのカスタムビルダーXTR Pepo とスペインのバイク雑誌Revival of the Machineとのコラボ作。戦闘機のようなスタイルを持つR1200RベースのマシンはスイスのカスタムビルダーVTR カスタムズ によるもの。K100RTベースのカスタムマシンもVTRカスタムズの作品。カウルやタンク上部にウッドパネルをデザインするなどユニークな手法が特徴。スモーキン・カスタムス が作ったR100/7ベースのマシンはリアのモノショック化など大がかりなカスタムを施しているのに、こちらも純正然としたスタイルを目指してデザインされています。R nineTスクランブラーをベースにしたのはドイツのカスタムビルダーJvB Moto です。
027_J0A9556.jpg
ヤマハは現在、オランダの時計ブランドTW STEELとタッグを組みカスタムプロジェクトを展開中。老舗スイスブランドは親父たちが愛した時計。その息子たちである自分たちは、腕時計にも新たな価値を見いだしているというコンセプトの元”Son of Time”のスローガンを起ち上げ、ヤマハのバイクを使い、カスタムビルダーとともに新しい価値観を持ったカスタムバイクを作り上げているのです。
その”Son of Time”のカスタムプロジェクトから生まれたMT-10ベースのカスタムバイク。手掛けたのはスペイン人カスタムビルダー、アンソニー・パートリッジ 。MotoGPでも活躍するエンジニアと協力し、オートシフターなどハイテク系パーツも満載されている。
こちらも”Son of Time”のカスタムプロジェクトから。ベースはXSR900、カスタムを手掛けたのはドイツ・ミュンヘンをベースに活動する若きカスタムビルダー、ダイヤモンド・アトリエ。
032_J0A9647.jpg
こちらはヤマハ・ヨーロッパのカスタムプロジェクトYard Builtから。マシンはXSR700がベース。ワンピースのタンクカバー&シートカウルは簡単に脱着画が可能。フレームが加工されていないことから、着せ替え人形感覚でカスタムが楽しめることがコンセプト。製作は台湾のラフクラフト。
なんと会場には、ホンダが公式にブースを出展。EICMAで発表したカスタムコンセプトバイク「CB1100TR」を展示するとともに、レブル500をベースにタトゥー・アーティストとコラボしたカスタムバイクを展示しまた。これ以降ホンダは、欧州の主要カスタムイベントにオフィシャルブースを出展していくことになります。
自分の気に入ったモノを作りたいと一人の青年が起ち上げたブランド、アシュリー・ワトソン 。自らの名前を冠したブランドではワックスコットンのジャケットを製作。プロテクターの位置や機能性、その他の耐久性や着やすさを試すため、旅をしながら商品開発を続けたと言います。シンプルで、なかなかよいジャケットでした。
数年前に起ち上がったバイク系バッグブランド、マレ・ロンドン 。クラシックなビジュアルなのにハイテクで、タフでスタイリッシュ。バイクに装着してもバイクから離れても使える、実物が見たくて見たくて、やっと見ることができたブランド。はい、欲しくなりました。オリジナルのワックスコットン生地が秀逸。その生地を使い、今季はジャケットにも挑戦するそうです。
ライディングウエアブランドのレブイットもこういったカスタム系イベントに積極的に参加するブランドのひとつ。今回は、新開発したレーシングスーツやスポーツ系ジャケットのプロモーションのため、カワサキ・H2ベースのカスタムマシンを展示。マシンを製作したのはデンマークのカスタムビルダー/レンチモンキーズ。
044_J0A0202.jpg
英国のヘルメットブランド、ダビダのブースで、巨大なキャンバスに、ポスカのようなサインペンを使い、下書き無しのフリーハンドで、イベント開催中の2日間に壁画を描き上げたのはベルギーで活躍するアーティスト、ローランド・グロテクレース。
045_J0A8617.jpg
バイク系イベントやカスタム系バイク雑誌の表紙を数多く手掛けるアーティストのロードキルことライアン・クイックフォールの作品。
カスタムやビンテージのイベントに出かけ、その場でスケッチするアーティストがマーティン・スクワイア。現場でスケッチし、帰宅してから色を付けするそうです。彼も大好きなアーティストひとり。
ステイ・アウトサイド の名前で活動するデザイナー、イラストレーターのトリア・ジェームス。イベントポスターやカスタム系バイク雑誌の表紙などを手掛けていたことからその名前と作品は知っていたものの、女性だったとは今回初めて知りました。
050_J0A0032.jpg
そのステイ・アウトサイドのトリアと一緒に写真に写るのも、ロンドンを拠点に活動するアーティスト、マックスウェル・パターノスター。 おどろおどろしく、それでいてファンシーな作風も大好きです。
英国のダートトラック選手権DTRAと、ダートトラックを中心としたカスタムバイク&カルチャー誌サイドバーン・マガジン の合同ブース。おふざけ系ダートトラックイベント、Dirt Quake(ダート・クウェーク)の主催者でもあります。

| 欧州で話題のイベント「Wheels and Waves」に行ってきた! |

| “Glemseck101″はとにかく速い&熱いお祭りです |

| BMWが主催する音楽イベント? その先にオートバイを取り巻く新しい世界が見える!? |