YAMAHA NMAX155

 
平成28年排出ガス規制の施行に伴い、軽二輪クラスのスクーター市場にさらなる変化が加速するかもしれない。かつてブームを巻き起こした250ccフルサイズのビッグ・スクーターは、その利便性でユーザーを増やしたが、2007年に主戦場たる都市部で二輪車の駐車違反取り締まり強化、2008年の平成19年国内排出ガス規制による車両価格の高騰などによって台数は減少の一途を辿っているのはご承知の通り。そんな軽二輪クラスでフルサイズのスクーターに代わり台数を伸ばしているのが150ccクラスのスクーター。ヤマハからは2013年のマジェスティSに続き、NMAX155が2017年よりリリースが開始された。

 

■試乗:高橋二朗 ■撮影:依田 麗
■問合せ:ヤマハ発動機 お客様相談室 TEL0120-090-819

 

250クラスと遜色ない動力性能、
余裕あるライポジに安定感・安心感がある走り

 
 軽二輪(125cc超~250cc以下)の中でも150ccクラスの魅力は250ccフルサイズに対し①コンパクトな車体サイズによる軽さ、取り回しの良さ②低燃費③車両価格、など。一方、125ccなどの原付二種に対しては自動車専用道路を走ることができるというメリットがある。つまり、通勤や近所の買い物など、毎日の足としてとても扱いやすく経済的ながら、高速道路を走ることもできるので行動範囲も広い、ということ。実際、150ccクラスは自動車専用となっている国道バイパスが存在する都市部近郊で人気に火が着いたと言われている。
 
 任意保険に関してはリッターバイクなどと金額は変わらず、当然のことながらミニバイク特約が利用できる原付クラスのようなメリットはない。ただ、新車を購入、2年間所有する際の任意保険(年齢などによって各種条件は異なる)を含めた最低限かかる費用(ガソリン、整備代などを除く)を、ミニバイク特約を使わない原付バイクと軽二輪で比較すると、その差は約7,000円(1年あたり約3,500円、1か月あたり290円)でしかなかったりする。その差が大きいか小さいかは考え方にもよるが……。
 
 さて、日本国内で昨年、125版が先行リリースされたヤマハNMAXシリーズだが、グローバルで見ると実は155版の方が登場は早い。昨年、125を試乗してとてもいい印象が残っていたが、今回試乗した155もその好印象をそのまま受け継いでいると感じた。

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ライダーの身長は173cm。写真の上でクリックすると片足時→両足時、両足時→片足時の足着き性が見られます。

 
 最後に125に乗った時から一年以上経っているが、155は明らかに違うトルク感、力強さを感じる。エンジンフィールも125と似たシットリとしたもの。マジェSのような乾いた感じではなく、デュルデュルデュルっ!(あくまで個人的フィーリング)と加速する。車両の個体差か、アイドリング時は振動の荒さがやや気になった。スロットルのレスポンスは鋭く、右手の動きに即反応。これは好みの別れるところで、毎日通勤に使うようなライダーにはもうちょっとスロットルの反応はダルなほうがいいかもしれない。
 
 スタートダッシュから高速域まで谷間なく一気にエンジン回転、車速が伸びていき、気持ちが良い。その感覚は250クラスと遜色ない印象で、高速道路では90キロを超えても加速の伸びを感じた。125の時も感じたが、エンジンブレーキは強め。スポーティな走りにはメリハリが効いていいかもしれないが、スロットルを閉じた時の空走距離を稼げないので、経済走行にはやや不利と言える。125と同じサイズ故、車体の取り回しも軽い。大きからず小さからずのボディサイズに瞬発力のあるユニットは、街中を活発に走ることができる。
 
 偏平タイヤによるものか、乗り心地は固めの印象だが不快ではない。車体(剛性)がしっかりしているのだろう、荒れた路面を通過しても走行ラインを乱されることはない。NMAX155をタンデム走行の状態を後ろから見る機会があったのだが、バネ下だけ動いてシートは動かず、正にフラットな乗り心地を視覚で確認することができた。
 
 シートは幅のみならず、前後長もたっぷりとしているので自由度が高く、180cmを超える長身の人が乗っても余裕があるはずだ。足が伸ばせるのも長距離移動などでは楽だろう。タンデム側も狭さは感じない。クッションは硬めだが座り心地は良好だ。
 
 ライディングポジションはいわゆる股の間で燃料タンクを挟むような乗車姿勢となり、安定感・安心感がある。ステップボードの張り出しがやや足つきをスポイルするものの、身長173cmの私の場合、足つき性自体は同じヤマハ155スクーターのマジェSよりも良好。 シート前端が細くなっているので、私より身長が低くても足つきは悪くないと思われる。
 

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125同様、ヤマハ独自の”BLUE CORE(ブルーコア)”思想に基づいたユニットを搭載。アルミ鍛造ピストンやオールアルミ製DiASilシリンダー、オフセットシリンダー、さらにはVVA(可変バルブタイミング)を採用、爽快なフィールも生み出す。最新の排出ガス規制に適合。 液晶マルチファンクションメーターは速度、時計、オド、トリップ(1&2)、瞬間燃費、平均燃費、Vベルトやエンジンオイルの交換表示の他、バーグラフによる燃料や瞬間燃費の表示も。残量警告が点滅を始めると、その時からの走行距離を表示、ライダーに給油を促す。燃費の単位は「km/L」と「L/100km」の切り替えも可能。
フタのない小物入れはちょっとしたモノやペットボトルなどを置いておけて使い勝手が高い。シート下収納スペース(約24L)は長さ、深さ共にボディサイズに対し十分な容量。
長さ、幅ともにたっぷりサイズのシート。表皮はレザー調で上質感漂う仕上がり。
LEDヘッドランプを採用。ロービーム時は左右2灯、ハイビーム時はセンターが追加され3灯に。テールランプにもLEDを採用。
フロントは13インチながら、マジェスティSより1サイズ細い110mm幅を採用。125同様、ABSが備わる。リアのブレーキもディスクで、タッチ、コントロール含めドラムよりも理想的な仕上がりに感じた。

 
 日本で販売台数を伸ばしている150ccクラスの最新モデル・NMAX155。同クラスにはマジェスティSがベストセラーモデルとして君臨しているが、2台の仕上がりは同じ排気量ながらそれぞれのキャラクター、作りの違いを明確に感じることができるので、機会があれば是非、ヤマハ販売店で2台を比較試乗してもらいたい。マジェSはステップスルーによる利便性という魅力を備えている。NMAX155は走りの楽しさを重視する人にお奨めしたいモデルだ。
 
(試乗:高橋二朗)
 

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●NMAX155 主要諸元
■型式:2BK-SG50J ■全長×全幅×全高:1,955 ×740 ×1,115 mm■ホイールベース:1,350 mm■最低地上高:135 mm■シート高:765 mm■車両重量:128 kg■燃料消費率:49.9 km/L(国土交通省届出値 60km/h定地燃費値 2名乗車時)41.7 km/L(WMTCモード値  クラス2、 サブクラス2-1  1名乗車時)■エンジン種類:水冷 4ストロークSOHC 4バルブ 単気筒■総排気量:155 cm3■ボア×ストローク:58.0 × 58.7 mm■圧縮比:10.5 ■最高出力:11 kW(15 PS)/8,000 rpm■最大トルク:14 N・m(1.4 kgf・m)/6,000 rpm■燃料供給:フューエルインジェクション■始動方式:セルフ式 ■点火方式 :TCI(トランジスタ式)■燃料タンク容量:6.6 L■変速機形式:Vベルト式無段変速/オートマチック ■タイヤ(前/後):110/70-13M/C 48P /130/70-13M/C 57P ■ブレーキ(前/後):油圧式シングルディスク/油圧式シングルディスクブレーキ ■懸架方式(前/後):テレスコピック/ユニットスイング■フレーム形式:バックボーン■車体色:マットディープレッドメタリック3(マットレッド)、マットグレーメタリック3(マットグレー)、ホワイトメタリック6(ホワイト)■メーカー希望小売価格(消費税8%込み):378,000円

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