KTM 125DUKE試乗

■試乗&文:松井 勉 ■撮影:富樫秀明/依田 麗 ■協力:KTM JAPAN 

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ひさびさに対峙した125デューク。排気量からすればミニバイク、でも兄貴分は390が控え、そのサイズは同等だ。クルマで言えば正にホットハッチのベーシック版。火付け役の名の通り、実力をサーキットで堪能する。

ライダーの身長は183cm。写真の上でクリックすると片足時→両足時、両足時→片足時の足着き性が見られます。

 
 久々に脳みそのシワが痒くなるほどサーキットランを楽しんだ。2017年、新型にスイッチした125デュークは、コンパクトプレミアムとでも呼びたくなる装備だ。LEDヘッドライト、輝度の高い光源が可能にしたヤジリのようなユニットデザイン、それに呼応するウエッジシェイプなイメージのタンクスタイル。サイドビューは長兄に当たる1290スーパーデュークRと同様で、相当かっこいい。
 
 800mmから830mmへとシート高が上がった新型は、長身な僕にとってポジションが前作よりもしっくりきた。頂点部は高くなったが、シートのシェイプは足着きをしっかり考慮していて、太腿の付け根を開かれる感じがない。足着き感がとても良い。シート位置が変化した分、ポジションが前傾になったようでスポーティーに思えた。増量になったタンクもエッジを効かせてマッシブに仕立てている。
 
 それにしてもしっかりした125だ。価格は250クラス並だが、これは見ればナットク。というか、そこにプライオリティーがあるならば他に選択肢がいくらでもある。それに、小型自動二輪免許で乗れる、任意保険がミニバイク特約でイケル等々、このクラスが持つコストメリットもある。が、むしろ、これは免許を取ってから最初のバイクがビッグバイク、全開までしたことない、という人に最高に勧めたい。なぜなら、正真正銘、これはライディングトレーナーバイクだからである。
 
 今回、サーキットでの試乗ということで、一般道では試せない実力を体験してみたい。
 

 軽快なエンジンフィールは以前同様。シフトタッチやクラッチの操作感など、チープなところはどこにもない。
 
 ピットレーンを走り出す。11kW/10,000rpm、12Nm/7,500 rpmというスペックと、性能曲線から見て取れるとおり、このエンジンはフラットなトルク特性で扱いやすさを信条とする。シフトライトが光ってからも伸びがあるが、パワーはそのまま盛り上がるというよりは緩やかな下降を描く。それでいて単気筒にありがちな苦しさや回りたがらないという部分がない。
 
 シフトペダルの踏面が短い点に慣れたらあとは持ち前のコーナリング性能に身を委ねる番だ。125㏄という原資の限られた中でサーキットをどう走らせるか。これは哲学的な学問だ。引っ張るのか、ショートシフトしてトルクを活かすのか。前後に履くメッツラー・M7RRにグリップの不足があるわけもなく、むしろ、無駄に深いバンクをさせたり、無駄にワイドなラインを通らず最短距離で旋回できるようなクリップを探したり、脳みそが痒くなるほど懐深い走りで応じてくれる。
 
 アップダウンが如実に解る限られたパワーながら、走るのが楽しくて仕方がない。と、いうのも、ベストラインにベストな操作を重ねてコントロールすると、直線で抜いていった250や390、時には1290にまでコーナーで大接近できるし、あわよくば、コーナーのエントリーで並べる、かわせる痛快さも持ち合わせている。
 
 旋回へ寝かし込んで行く時、デュークは軽快さの奥に安定したしっかり感がある。まるで、大きなバイクにあえて小排気量エンジンを搭載したような。そのフィーリングは初代から受け継がれる美点だ。シャーシがパワーに勝る、という表現があるが、正にそれ。走りの何処にもチープ感がない。
 
 ブレーキング開始から旋回しながらのレバーのリリースまでダンピングの効いた足周りでフワ着くことがない。前後のブレーキの制動性能もハナマル。リアはかけ過ぎればABSが補佐してくれるが、フロントはタイヤのグリップとサスのよさもあり、路面を離さず良質な減速ファンを堪能させる。
 
 エンジンもへこたれない。連続して全開だ。パワーオンで回れるようにアプローチから旋回を組立て、あとはアクセル全開時間を伸ばす。メーター読み110キロ+が上限速度となり、前のラップより早めの位置でシフトポイントを迎えたらそれはもう大成功だ。
 

 とにかく直線ではじっくりと考える時間がある。反省点と応用編を考え、次のラップに挑む。1コーナーは4速、最終コーナーは5速で入り、速度が落ちたところで4速に、という走りに落ち着いた。
 ポジションが改善した結果、とにかく走りが楽しい。ストレートでは尻を引くと私の身長ではリアシートとの段差がもどかしく、タンデムシートに座ることになるが、空気抵抗を少しでも控え、速度を伸ばしたい……。
 
「125になに遊ばれてんだ」と心の中でつぶやきながらも、楽しくて仕方ない。
 
 バイク歴30年超。この私がスモールデュークでサーキット遊びするなら一番の難易度がコイツだ。コイツを攻略したい。それほど楽しめた。
 
 これは市街地でも常に頭を使って走るコトになるだろう。バイクに乗ると脳が活性化する、という研究結果はなるほど、解る。ビッグバイク比、三倍ぐらい効果が有るんじゃないだろうか。シロウトながら真剣にそう思う。そんな125デュークとのサーキットファイトだった。
 
(試乗・文:松井 勉)

φ300 mmのディスクプレート、ブレンボプロデュースのインドブランド、バイブレ製対向4ピストンキャリパーをラジアルマウントするフロントブレーキ。φ43mmのインナーチューブを持つWP製倒立フォークは142mmのストロークを持つ。左右で圧側、伸び側の減衰を別けるタイプ。前輪は110/70ZR17を履く。鋳造キャストホイールはスポークが細身のスタイル。 ユーロ4対応となった2017年モデル。フラットで開けやすい特性。新しいデザインの排気系はエンジン本体後ろ側に触媒、大きなコレクターボックスを配置。
125クラスとは思えない贅沢なパーツ使いはKTMらしいところ。51万円の価格もナットク。ブレーキペダル、チェンジペダルとも、深々とバンクさせる事を想定。ショートタイプの踏面がミニバイクレーサー風でスポーティー。 800mmから830mmへとシート高は上がっているが、数値ほど足着き感は増大していない。前端が細身にシェイプされたシートは足を着く際、内股に蹴られる感じがない。新たにメインフレームと別体になったサブフレームにより、意匠にもアクセントが付いた。
1290スーパーデュークRのそれをコンパクト化したような意匠の125DUKEの顔。夜のパフォーマンスは未確認だが、輝度の高いLEDのこと、暗いはずがない。ウインカーもコンパクトでネイキッドのグッドルッキンを補佐する。 11リットル→13.4リットル入りにボリュームを上げた燃料タンク。外観意匠としては、サイドのパートが1290スーパーデュークRと共通するエッジの立ったスタイルに。このトンガリ具合はLEDライトユニットにも呼応する。2017年モデルの印象的な部分だ。 クラス初となるTFTカラーモニターを使ったメーターパネル。オプションのKTM MY RIDEを奮発すれば、携帯の電話機能、オーディオプレーヤーとしての機能などをBluetoothヘッドセットとバイクをつなげる拡張性も搭載可能。グラフィカルにガジェット好きを刺激する。
ピボット周りから太さと高さを増す独自のデザイン、コの字断面ながら、リブが入る鋳造製スイングアーム。肉厚の変化など、スタイルはKTMならでは。チェーンアジャスターにも高級感が。 リアブレーキはφ230 mmのディスクプレートと片押し1ピストンのフローティングキャリパーを組み合わせる。リアタイヤは150/60ZR17。サイレンサーはエンジン背後のコレクターボックスから後方に伸びるスタイルに。リアサスのストロークは150mm。イニシャルプリロードアジャスターも新たに装備する。 ヘッドライトを始め、灯火器は全てLEDとなる。いじる必要なし。リアフェンダーも細身で長さも短くなっている。
●KTM 125DUKE 主要諸元
■ホイールベース:1,357(±15.5)mm、最低地上高:185mm、シート高:830mm、乾燥重量:137kg■エンジン種類:水冷4ストローク単気筒、総排気量:124.7cm3、ボア×ストローク:58×47.2mm、最高出力:11kw、始動方式:セルフ式、点火方式:Bosch製EMS、燃料タンク容量:13.4L、変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:スチール製トレリスフレーム、キャスター角:65°、ブレーキ(前×後):φ300㎜油圧式シングルディスク × φ230mm油圧式シングルディスク、懸架方式(前×後):WP製倒立φ43㎜ × WP製モノショック
■メーカー希望小売価格 510,000円

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