その3 1960年 スポーツカブC110 RCテクノロジーとカブが結合

●試乗・文:髙橋二朗
●撮影:富樫秀明

●取材協力:Honda・ホンダモーターサイクルジャパン
      ホンダコレクションホール 




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 1960年登場のスポーツカブC110は、スーパーカブC100のOHVエンジンをベースに、当時世界GPで活躍していたホンダの純レーサー・RC系の吸排気系技術をフィードバック。圧縮比はスーパーカブC100の8.5に対し9.5まで高められ、高速型となるエンジンは冷却性を考慮してアルミシリンダーも採用された。リッターあたり100PSの5.0PSを発揮、最高速度も85km/h(カタログ値)を誇る。

 スポーティなセミダブルシートを採用するC110の他、当時の時代を反映してか、シングルシート+リアキャリアのC110S、シングルシート+リアキャリアにダウンマフラー&遠心クラッチ仕様のC111とスポーツカブには兄弟が存在する。また、55ccエンジンを搭載したC115/C115Sという原付二種モデルもラインナップされた。

 試乗車はスポーツカブの中でも初期型の3速ミッションのモデル。スタイルはフラットなハンドル、アップマフラーなどと相まって中々刺激的だ。青と白のボディカラーの使い分け、短めにカットされたリアフェンダーも軽快感をもたらしている。ボディにアルミが採用されたフラッシャー、カマボコ型のテールランプも特徴。当時のスーパーカブ同様、先端が細くなったレバー類などと共に、当時のホンダ車は50ccと言えど造形にこだわった仕上がりについ見とれてしまう。

 クラッチはマニュアルで、シーソー型のシフトペダルを前に踏み込んでロー、セカンド、サードと変速していく(当時のカタログを見ると「踏往復式チェンジ」というらしい)。ビジネスバイクとして21世紀まで生き延びたベンリイCD50の祖とも言えるモデルだが、その名のごとく“スポーツ”気分は満点。年輩ライダーの中にはコイツに乗って腕を磨いた、という人も多いはずだ。

 参考までに、“カブ”の名は冠されているが、スポーツカブはアンダーボーンではないため、スーパーカブ・シリーズの累計生産台数の中には含まれていない。







①スーパーカブC100と共通、40×39mmのボア×ストロークをもつ4ストロークOHV単気筒49ccエンジンは圧縮比が高められるなどのチューニングが施され、0.5psアップの5.0psを発揮。シリンダーは放熱性を考慮したアルミ製。キャブレターとインレットマニホールドを繋ぐ長めのインシュレーターが特徴的。クラッチはマニュアル。②ライト周りの造形は同時代のスーパーカブとイメージが似ている。フラッシャーのボディはアルミ製。③スポーツイメージを決定づける斜めに跳ね上がったアップマフラー。セミダブルシートも実用車主体の当時としては遊び心を感じさせるアイテムだっただろう。短めのフェンダーにマッドフラップ然り。④フラットハンドルに100km/hまで刻まれた単眼メーター。フラッシャースイッチはスーパーカブ同様に縦アクション。⑤何とも美しいレバーの造形。⑥青い車体と共に軽快感を演出する白いタンク。エンブレムには誇らしげに“Sports”の文字。
●エンジン型式︰空冷4ストローク単気筒OHV2バルブ ●総排気量︰49cc ●内径×行程︰40×39mm ●最高出力︰5PS/9500rpm ●最大トルク︰0.39kg-m/8000rpm ●圧縮比:9.5 ●変速機︰3速リターン ●全長×全幅×全高︰1795×565×905mm ●軸距離︰1150mm ●燃料タンク容量︰6L ●車両重量︰66kg(乾燥) ●タイヤ前・後︰2.25-17・2.25-17 ●車体色:-●発売当時価格︰58000円

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