Kawasaki VERSYS-X 250 ABS TOURER試乗

■試乗&文:ノア セレン■撮影:富樫秀明/依田 麗 ■協力:Kawasaki 

売れ行きも上々という新250アドベンチャー「ヴェルシスX」。旅仕様であるこのマシンに、さらに旅をサポートする各種オプションが装着された「ツアラー」が設定されたのだが、その価格差僅か5万4000円。お買い得なこの「ツアラー」を試乗した。

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ライダーの身長は186cm。写真の上でクリックすると両足時→片足時、片足時→両足時の足着き性が見られます。

 
 250ccクラスにも広がってきたアドベンチャーカテゴリー、その先端を行くのがこのヴェルシスXだろう。オフロード車でもなく、オンロードスポーツでもなく、とにかく旅に特化した「旅仕様」。アドベンチャーと言われると大陸横断のような、夢はあるが現実味はないことを連想してしまい、ついついオーバースペックなものを購入してしまうことも少なくない。快適な旅がしたいのに、買ってみた最強の旅バイクは重くてとてもじゃない、なんて話も聞く昨今、250ccクラスで気軽に現実的な旅仕様バイクが出てきてくれたのは大歓迎だ。
 
 ヴェルシスXのインプレッションhttp://psp-traumland.info/?p=127854)はすでに届けているが、今回は純正オプションがふんだんに装着されている「ツアラー」の方に試乗する機会を得た。しかもステージはツーリング天国、伊豆である。大小ワインディングや海岸沿いの田舎道を走った。
 
「ツアラー」は、ツーリングユースを考慮しスタンダードなヴェルシスXに
①パニアケース
②エンジンガード
③ハンドガード
④センタースタンド
⑤DC電源ソケット(及びそれを取り付けるためのリレー)
 
 を標準装備化した派生モデルだ。
 
 ベースモデルとの価格差は5万4000円だが、標準装備される各種オプションを合計すると12万円弱にもなるためお買い得感は高い。なお価格面だけでなく、工場出荷時からこれらオプションがついているということは、ショップでそのオプションを取り付ける手間や時間もかからないため納車がスピーディであるといったメリットもある。ツーリングをメインに考えている人にとっては、なんともお得な設定なのだ。

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 スタンダードモデルに対してまず目に入るのはパニアケース。左右装着され、それぞれ容量は17リットルを確保。片方ずつ装着することも可能で、それぞれメインキーで開閉できるロック付きだ。縦長でスリムな形状のため、スリ抜け時に幅を気にすることがなかったのがうれしい。一方で最大積載量3キロということもあり、社外の超大容量ボックスに比べれば入る量はそれほど多くないかな、というイメージだ。気にしたいのは乗車時に足を引っかけないこと。無骨なデザインがカッコ良く(ゆえに傷がついても気にならないというメリットもある)それもイメージに寄与すると思うが、角張っているがゆえにバイクをまたぐ際、ぶつけたけどそのまま跨れた、というパターンと、ぶつかって跳ね返される、というパターンがあった。前者なら良いが、後者だと立ちゴケにもつながりそうで少し注意が必要に思えた。
 
 この時に活きるのがセンタースタンドだ。そもそも荷物の積載をする時には車体を直立させた状態がやりやすい。センタースタンドで荷物を積み、そしてセンタースタンドを立てたまま跨るのが間違いないだろう。またこのセンタースタンドがとても軽く操作でき、全くストレスなくかけることができる。筆者はセンタースタンドが標準装備されていないアドベンチャーモデルを所有しているが、「センタースタンドがあったらいいのに……」と思う機会は少なくない。これは大きなプラスである。
 
 エンジンガードについてはイメージの部分が大きいようにも思えるが、これが付くことでアドベンチャーモデルらしい風格がプラスされるのは事実。いざというときの転倒でも一定の保護機能を発揮してくれることだろうし、オプションのフォグランプを装着すればなおのこと盛り上がる。
 
 そしてハンドガード。これは今回の試乗では特に何も感じなかったものの、寒い時期は手元を寒い風から守るとても効果的なパーツだ。こちらもDCソケットと同様、付いていて損はなし、といった便利パーツである。
 
 この充実のアフターパーツの装着で5万4000円高……お買い得感タップリだ。個人的に購入するとして自分の使い方を考えると、エンジンガードとパニアケースは不要、だけどセンスタとハンドガード、DCソケットは欲しい→それだけですでに4万5000円を超えているのだから、だったらフルセットの「ツアラー」を買うでしょう! パニアは普段は外しておけばいいのだし。

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 さて、こんなお得なツーリングバイクを実際に試乗した印象も少し書いておこう。すでにアップされている記事同様、ニンジャ250に比べるとトルクフルに感じ、常用域で扱いやすい印象。車体が大きいからアンダーパワーを懸念してしまいそうなものだが、合法的な速度内で不足を感じることはまずない。特に細かなワインディングでは一生懸命アクセルをひねりながら、適切なギアを選び、スポーティに走らせるのが楽しかった。一方で少し開けたステージになると、巡航時の回転数が高めで普段は650ccアドベンチャーに乗る筆者としてはそれなりに気になった。どっしりと腰を据えて巡航するスピードは、エンジンの回転域的にも、車体のしっかり感的にも、80km/h付近ではないかと思われる。それ以上の速度域や回転域だと回していくエキサイティングさが勝ってしまい、ついついスポーティな走りをしたくなってしまうのだ。
 
 車体周りは大柄なカウルがついているにもかかわらず、重さを感じさせずとても素直。フロント19インチのホイールの自然さも好印象で、伊豆の奥地の荒れたワインディングでも不安なく走破できる。またバンク角が深くなっても安定感があったのもプラスポイントだ。ステップを擦ってしまうようなバンク角でもドッシリとしており、バイクがもっと寝たがるとか、逆に起きたがるとか、ライダーの意思に反したことが一切起きなかった。この特性と、高回転域にも回り込んでいくエンジンのおかげで、スポーティに走りたいと思う気持ちにも応えてくれるのが意外で楽しかった。
 
 250ccでツーリングに特化したライバル勢にはCRF250ラリーや、発売が近づいているVストローム250があり、これからますます注目を集めるカテゴリーになりそうだ。そんな中で充実の装備を備えてこの価格に抑えたヴェルシスX「ツアラー」は、かなり魅力的な選択肢にうつった。
 
(試乗:ノア セレン)

様々な路面状況でも優れた安定性を実現するリンク式リアサスペンション。タイヤは、リア17インチのスポークホイールとマルチパーパスチューブタイヤを採用。ブレーキはφ220mmのペタルディスク。 低速での粘り強さとスムーズな加速性能を併せ持つパラレルツインエンジン。 130mmの余裕のあるストローク量を持つφ41mm正立テレスコピックフロントフォーク。フロントタイヤは19インチ、ブレーキはφ290mmぺタルディスク。
高いウインドプロテクションを発揮する大型ウインドシールド。 アップライトなライディングポジションを生み出すハンドルバー。フューエルタンクは容量17リットル。 新設計のスタイリッシュな多機能メーターパネル。カワサキの250ccクラスでは初搭載のギアポジションインジケーター。
高い快適性を誇るダブルシート。 スタンダードではオプション設定となるパニアケースをはじめ、DCソケット、センタースタンドを標準で装備。 エンジンガード、ハンドガードも標準装備。PIAA製LEDフォグランプはオプション設定。
●VERSYS-X 250 ABS TOURER 主要諸元
■全長×全幅×全高:2,170×940×1,390mm、ホイールベース:1,450mm、最低地上高:180mm、シート高:815mm、最小回転半径:2.5m、車両重量:183kg■エンジン種類:水冷4ストローク直列2気筒DOHC4バルブ、総排気量:248cm3、ボア×ストローク:62.0×41.2mm、圧縮比:11.3、最高出力:24kw(33PS)/11,500rpm、最大トルク:21N・m(2.1kgf・m)/10,000rpm、燃料供給装置:フューエルインジェクション、始動方式:セルフ式、点火方式:バッテリー&コイル(トランジスタ点火)、燃料タンク容量:17L、クラッチ形式:湿式多板、変速機形式:常時噛合式6速リターン■フレーム形式:ダイヤモンド、キャスター:24.20°、トレール:108mm、ブレーキ(前×後):φ290mm油圧式シングルディスク × φ220mm油圧式シングルディスク、タイヤ(前×後):100/90-19M/C 57S × 130/80-17M/C 65S、懸架方式(前×後):テレスコピック式 × スイングアーム式
■メーカー希望小売価格 683,640円(税込)

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