SUZUKI GIXXER試乗

■試乗&文:濱矢文夫 ■撮影:鈴木広一郎 ■協力:SUZUKI 

 
 スズキが、2014年からインドで生産、販売を開始しているロードスポーツモデル、ジクサー(GIXXER)を日本市場向け仕様として再開発、1月27日から国内販売が開始された。国内導入にあたっては、若年層を中心とした入門モデル的な存在としての需要が期待されており、125㏄クラスの手軽さと高速道路も乗れる利便性、そして低価格設定などのメリットなどで、多くの若者、エントリー層を引き付けることができるか。さっそく試乗してみた。

 
SUZUKI ジクサー(GIXXER)

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ライダーの身長は170cm。写真の上でクリックすると両足時の足着き性が見られます。

 
 跨ると、154ccとは思えない車格で、ポジションにゆとりがある。250ccスポーツモデルのようだけど、乗って揺すると、股の下にある重さが250より明らかに軽く、そしてスリムだ。シート座面を基準にステップ位置は低すぎず高すぎず、身長170cmだと足着きにゆとりがあるので、排気量からイメージするのとは違いまったく窮屈にならない。もっと身長が高い人でも快適に乗れそうだ。
 
 パイプのアップハンドルは、運転時はおヘソぐらいの高さで、手前の絞りが適度にあって、腕に負担がかからずしっくりくる。乗車時はやや前傾に。そのゆとりあるポジションがあるから、シート高が785mmあって、私の身長だと両足裏の踏ん張れるところまで届くけれど、小柄な人は気になるところ。だが車体が250クラスより絶対的に軽いので、片足が届いたら、安心して無理なく支えられると思う。

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 走り出してのファーストインプレッションは、この空冷SOHC2バルブ単気筒エンジンは、想像以上に中低速トルクがあること。最初は5段変速というスペックを見て、6段がいいなぁ、と思ったけれど、ギアを1段下げて回転数を上げなくても、その中低速トルクのおかげで、街中だと4速に入れっぱなし、流れているバイパス道路では5速のままで、クルマの加減速に合わせて楽に走れてしまう。
 
 ジクサーはインド生産で、アジアや中南米のマーケットをターゲットにしたもの。タンデムや荷物を積んだりするシチュエーションを考慮して、中低速トルクをしっかりと確保したのだろう。そうは言っても、そこだけではなく、高回転域は元気が良く9千回転ちょっと過ぎにあるレブリミットまで軽くスムーズにきっちり吹けきる。速く走ろうとするなら、やっぱり高回転キープが基本になるけど、クルージングならそれは必要ないほど許容範囲が広い。
 
 スマホを横にしたようなフル液晶デジタルメーターに、ギアポジションインジケーターがあるのは嬉しい。スズキは積極的にこの装備を導入してくれるメーカーで、私はとても気に入っている。オートバイに乗り出して30年以上になるけれど、視覚的に、何速に入っているか確認できるメリットは大きいと思っている。使い勝手の良さを感じる小さくない要因だ。
 
 その、アジア、中南米市場向けに開発された部分が、足周りにもあって、前後のサスペンション、特にラジアルタイヤを履いたリア(フロントはバイアスタイヤ)はスタンダードのままだと(プリロードが7段階調節可能)、最初の沈み込みはソフトだけど、そこから奥で急に固くなる。大きな凸凹だといなしきれずに跳ねるまではいかないが、芯のある突き上げがくる。ただ、それによって車体が著しく不安定になるとかはなく、今回は郊外の市街地から、やや標高が高いワインディングまで走ったけれど、固いなぁと思うシーンはあっても不快だとか、それが嫌だとか思うことはなかった。その分、車体と、フロントにインナーチューブ径41mmのフォークを採用するなど足周りの剛性がしっかりとしていて、エンジンパワーに勝っているから、思いっきり走れた。

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 とにかくワインディングで走るのが面白くて面白くて。高性能で高価な部品や、電子的な新技術、驚くパワーなどはないけれど、なんと走るのが楽しいスポーツバイクだろうか。フロントに採用されたブレンボとインドの会社との合弁事業から誕生したバイブレキャリパーを使ったフロントブレーキが、きっちり初期制動がかかって、そこから握り込むとしっかり効く。それがコントロールしやすくフィーリングが良くて、コーナーへのアプローチが思い通りにやれる。深くリーンしている時も安定感が高く、スロットルを早めに大きく開けて、レールの上を後ろから程よく押し出すように進む感じ。
 3速と4速がやや離れているのでコーナーによっては悩む。3速だと低すぎてコーナーリングスピードが落ちてしまう、4速のままだと立ち上がり加速が遅くなる。それをどっちにしようか、旋回のピークを過ぎたら1速落とそうか、など考えながら走るのが面白くて面白くて、どんどん走ることに集中していった。路肩に雪が残るような気温も路面温度も低いワインディングというのもあるけど、それを差し引いても純正で履いているタイヤのコンパウンドは固く、それほどグリップは高くない。速度を上げコーナーリングのGがかかると、滑り出してくるけれど、そこを把握できて制御しやすく、怖くない。この自由自在感が好きだ。走ることにピュアな気持ちになって、操っていると、ただひたすらがむしゃらに走り回っていた若い頃を思い出した。
 これで316,440円はお買い得と言わずになんと言おう。
 
(試乗・文:濱矢文夫)

リア足周りには7段階のプリロード調節が可能なモノサスペンションを採用。リアブレーキのディスク径は220mm。タイヤは140/60R17M/C 63Hラジアル。 エンジンは燃焼効率を上げフリクションロスを低減することによりパワーを落とすことなく低燃費を実現する“SEP”(スズキ・エコ・パフォーマンス)エンジンを搭載。平成28年国内排出ガス規制(ユーロ4相当)に対応。 インナーチューブ径41㎜の正立フロントフォークを採用。フロントブレーキディスクはφ266 mm。タイヤは100/80-17M/C 52Sのバイアスタイヤ。
「毎日乗って使い易く」「スポーツバイクの佇まい」「細部までこだわった造形&処理」を開発コンセプトにグラマラスな曲線とエッジ感を活かしたデザインに。 「スマホをイメージした」というメーターデザイン。スピード、タコ、時計、ギアポジション、燃料、オド、デュアルトリップを表示。 力強い造形と後端部の絞り込みによって、抑揚の効いたタンク周りを実現。
シートカウルと一体化したデザインのグラブバーはボディと同色に。シャープ&コンパクトなテールと一体化。 ファーストバイクユーザーへ実用性も考慮してメインスタンドを標準装備。 テールランプにはLEDを採用。コンパクトなテール周りのデザインに貢献。
●ジクサー(GIXXER) 主要諸元
■全長×全幅×全高2,005 × 785 × 1,030mm、ホイールベース:1,330mm、最低地上高:160mm、シート高:785mm、最小回転半径:2.5m、装備重量:135kg、燃料消費率:58.8km/L(60㎞/h定地走行テスト値、2名乗車時)、51.0km/L(WMTCモード値、クラス2、サブクラス2-1、1名乗車時)■エンジン種類:空冷4ストローク単気筒SOHC2バルブ、総排気量:154cm3、ボア×ストローク:56.0×62.9mm、圧縮比:9.8、最高出力:10.0kw(14PS)/8,000rpm、最大トルク:14N・m(1.4kgf・m)/6,000rpm、燃料供給装置:フューエルインジェクション、始動方式:セルフ式、点火方式:フルトランジスター式、燃料タンク容量:12L、クラッチ形式:湿式多板コイルスプリング、変速機形式:常時噛合式5速リターン■フレーム形式:ダイヤモンド、キャスター:25°45′、トレール:105mm、ブレーキ(前×後):油圧式シングルディスク × 油圧式シングルディスク、タイヤ(前×後):100/80-17M/C 52S × 140/60R17M/C 63H、懸架方式(前×後):テレスコピック式 × スイングアーム式
■2017年1月27日発売 メーカー希望小売価格:316,440円/321,840円(ツートーンカラー)(税込)

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