BMW Motorradが主催する音楽イベントとはコレ如何に!その先にオートバイを取り巻く新しい世界が見える!?

BMW Motorrad本社が初めてオーガナイズした、音楽とファッション、そしてカスタムバイクという複数のカルチャーをミックスしたイベント。それが「Pure & Crafted/ピュア・アンド・クラフテッド」です。8月末という灼熱のドイツ・ベルリンで、2日間にわたって開催されました。イメージとしては音楽フェスに、ファッションやクラフトワークのブースをプラスし、それにカスタムバイクシーンをミックスした感じ。それでは、そのイベントを紹介しましょう。

■文・写真─河野正士
■協力─BMW Motorrad Japan
Pure & Crafted
CRAFTRAD

 BMWはいま、攻めまくってます。R nineTの発売以来、いや正確にはBMW Motorrad初のスーパースポーツモデル/S1000RRを発売したあたりから攻めの一手。“伝統”という固い殻を積極的に壊し、それまでのBMW Motorradであれば無視してきたであろう新しく、変化に富み、ゆえに刺激的なカデゴリーに触手を伸ばし、それらをBMW流に取り込み、昇華してきたように思います。それがスーパースポーツの世界であり、カスタムの世界でした。


 そんなBMWでも、バイクとは無関係の“音楽の世界”にアプローチしてくるとは思いもしませんでした。ここで紹介する「Pure & Crafted/ピュア・アンド・クラフテッド」はBMW Motorradが初めてオーガナイズする音楽とカルチャーの融合イベント。もちろんBMW Motorradとは、ドイツ・ミュンヘンにある本社です。

 自分は音楽通ではないのでさほど興奮しなかったのですが、それでもThe HivesやRefusedなど名前を知るビッグネームのバンドがコンサートスケジュールに名を連ねていたし、音楽ファンの友人に言わせれば“お前にはもったいないからベルリン行きをオレと替われ”と言われるほど、いま勢いがあるバンドがラインナップされていたようです。イベントオープンは両日ともお昼前から。コンサートが始まるのは夕方からなのですが、人気バンドの登場は、夜の帳がどっぷりと降りてから。もちろんステージ前は夜更けまで大盛況でした。

バイクエリアにあったBMW Motorradのオフィシャルブース。じつに控えめな感じ。しかも主催者でありながら、会場内にBMWフラッグはこのブース周りにチョロっとあるだけ。「Pure & Crafted」のノボリやポスターにも、控えめにBMWロゴが使われているだけ。BMW Motorradはあくまで黒衣に徹している感じ。
日本人カスタムビルダー4人が制作した4台のR nineTカスタムマシンも展示されていました。車両を見ている何人かに話しかけましたが、この4台の実車を見るのを楽しみにしていた、という人ばかりでした。

 オープンエリアのライブステージとは別に、「Postbahnof/ポストバンホープ」という、かつての郵便物の収集&配送の基地となっていていた古い駅舎のなかでは、デニムやレザークラフトなどを扱うブランド&ショップ、オーガニックフードや酒造メーカーがブースを構え、集まったオーディエンスをもてなしていました。そのさらに奥の屋外スペースには、ドイツを中心としたカスタムバイクショップがブースを出展し、多数のカスタムマシンが展示されていました。

 BMW Motorradが主催していることからBMW系のカスタムショップ&カスタムマシンが多かったのですが、国産車や他の欧州車などのカスタムマシンも並べられていたことはもちろんなのですが、音楽を中心としたカルチャーイベント、日本で言うところの“フジロック・フェスティバル”や“サマーソニック”といった音楽フェスに、バイクとそれを取り巻く人々が自然に馴染んでることは驚きでした。バイクしか観ない人&ライブにしか参加しない人は少なく、ウナギの寝床的に細長い会場を、上手く人が対流している感じでした。

 BMW Motorradのマーケティングを担当するRalf Rodepeter(ラルフ・ロドピーター)氏に話を聞くと、それこそが「Pure & Crafted」を開催した理由なのだといいます。

 「音楽ファンのほか、ファッションや食にこだわり、自らのライフスタイルにこだわるユーザーと、BMWをはじめとするバイクファンには共通点が多いのです。プロダクトを消費するだけではなく、プロダクトを手に入れ日々使うことで、それが生活の糧となり、しだいに生活そのものになる。BMW Motorradのプロダクトはそうあるべきだと考え、同時にそういったカルチャーをサポートしていきたいと考えています。BMW Motorradはモーターサイクルブランドではなく、ライフスタイルブランドなのです」と。

イベント開催についての記者会見の様子。じつにカジュアルです。マイクを持つのはBMW Motorradのマーケティングを担当するRalf Rodepeter(ラルフ・ロドピーター)氏。

 ちょうど「Pure & Crafted」開催日は、オーナーイベント「BMW Motorrad Days」が長野県白馬で開催されていました。そのことに触れるとラルフ氏は、もちろん既存BMW Motorradファンとの関係は、今まで以上に親密にしていくと語りました。

 要するにBMW Motorradは今後、既存ユーザーと新規ユーザーを、温故知新の2つのマインド(およびキャンペーンなどの施策、とでも言いましょうか……)で広くサポート&魅了していこう、と考えているようです。「Pure & Crafted」はその“新”の具現化なのですね。すでに次回開催も前向きに検討されているとのことですから、BMW Motorrad本社は十分な手応えを掴んだようです。


会場はベルリンの東側にある「Postbahnof/ポストバンホープ」という、かつての郵便物の収集&配送の基地となっていていた古い駅舎&その周辺。イイ雰囲気の駅舎の中にファッションやクラフトワーク、およびフード周りのブースが出展されていました。
ヘルメットブランド/BELLは新しいフルフェイスヘルメットを使ったカスタムペイントコンテストを行っていました。また欧州のカスタムバイク&ファッションイベントで人気の「お洒落理髪店」も出展。かつての理髪店はサロンであり、カフェ同様、情報交換の場所だったんですね。そのイメージやスタイルが現代に甦っている感じ。デニムやレザークラフトなどのブースも並びます
ベルリンはオーガニックフード文化が盛んで、街中にもオーガニックフードのスーパーを多数見かけました。このイベントにもオーガニックフードの出展があり、とても人気で、なおかつ美味しかった。また音楽やカルチャーが中心とはいえ、お酒メーカーも出展していてジンベースのカクテルが安価なイベント価格で振る舞われていました。バイクがらみのイベントでお酒が出るなんて日本では考えられないと、現地のメディア関係者に話したら、良いことと悪いことの分別が付く大人が集まってるんだから、と……はい、その通りです。

ブーツブランド/レッドウイングも出展。そこでアメリカ出身のタトゥーアーティスト/ダイヤモンド・ジム氏が、タトゥー・マシンを使って、ブーツに作品を描いていました。レッドウイング好きの彼が、トライ&エラーを繰り返しながら、この手法を実現させたそうです。
昼間の会場はこんな感じ。ノンビリゆったり、カスタムバイクやファッションのブースを見たり、食事&ビールを楽しんだり。来場者は、バイク系と音楽系とファッション系が、イイ感じでミックスされていました。年齢層は、比較的若目です。

ライブが始まる前は、みな地べたに座ってノンビリなライブスペース。でも開始が近くなると続々人が集まってきて……ステージ近くには、後から近づけないほどの人、ひと、ヒト。

カスタムバイクエリアに展示されていたバイクたち。やはりBMWが多いですね。またR nineTのカスタムバイクが多いのにも驚きました。


「MOTODROM/モトドロム」というエキシビション。分かりやすく言うと、巨大な木製樽の壁をバイクで走るアトラクション。同じエキシビションを英国などのバイク系WEBサイトでも見たことがあります。バイクはインディアンなど、古い車両ばかり。けたたましい排気音、結構な勢いで揺れる木製樽、樽の最上部に設置された観客席にいても触れられそうなほど近くまで垂直な壁の上部を走る車両、格好いいライダーたち……大興奮です。

8月最後の週末、その金曜と土曜に開催された「Pure & Crafted」。その土曜日の朝に、ベルリン発のカスタムバイク雑誌「CRAFTRAD/クラフトラッド」主催のモーニングクルーズがおこなわれました。今回は、それにも参加できました。 バイクを借りることができず、どうしようかと思っていたところに、タンデムで行こうと誘ってくれたヘアマン(男性)。妹のマリアと参加。猫系Tシャツを二人して着てるから写真撮って、と言われて記念写真。彼はフォトグラファーであり、カスタムバイク雑誌「CRAFTRAD/クラフトラッド」の編集長です。
↑マスキングテープでカスタムされたスズキDRに乗るクリストフと、タバコを吸ってくつろぐジャン。二人ともカスタムバイク雑誌「CRAFTRAD/クラフトラッド」の編集部員。バイクを手配しようと奔走してくれました。

←誘ってくれたのは、ベルリンで活動する写真家でありレザークラフト・アーティストとして活動するデイビッド。ハードテイルのトライアンフに乗っています。僕用のバイクを借りようと奔走してくれました。

30〜40台は居たでしょしょうか?途中から参加してきたり居なくなったりしたバイクもあったので……2〜3時間、東ベルリンののどかな田舎道を流して、皆で一気に「Pure & Crafted」の会場入り。バイクの種類もカスタム具合もバラバラ。でもバイク好き、走ること好きで繋がっている感じ。みなカジュアルな感じだけど、インナープロテクターの装着率が高いのにも驚きました。安全も楽しみも自分自身で選び取り、でも皆でバイクを楽しんでいる感じでした。

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